大地震(前編)
「どこまで被害は広がっているんだ・・・。」
先日、大地震が起きた。日常は全て壊滅し、見渡す限りの瓦礫の山に
何時間立ち尽くしていたかわからない。連絡手段も全てが不通となっている。
「まさか、日本全体がこんな惨状ではあるまいな・・・。」
放送関係も全てが機能しなくなり、生きている人間を見つけて尋ねても
事情がわかる人間はひとりもいなかった。当たり前のことかもしれないが。
それで、どこか無事な街はないものかと探索しているのである。
離れた場所に住む家族のことも気になるし、もし連絡が取れないままでいたら
大変心配するであろう。何とか連絡だけでも取りたい。無事を確認したい。
しかし、行けども行けども壊滅した街しか目に入らず、
自分が一体どこにいるのかさえも確認しづらい。
行動を起こそうと思わずに、その場で待機している人間に
尋ねることだけが、唯一の場所確認手段だった。
自分は結構人見知りする方だったので、近所づきあいもなく、
近場に仲のいい人間がいなかった。良いか悪いかはわからないが。
とりあえず歩けるだけ歩いてみよう。とにかくどこかへ連絡できる
通信手段すら確保出来ないのでは話にならない。
焦る気持ちを抑えながらも、人づての情報を頼りに歩き続けるのであった。