赤い糸
ある日朝起きたら、僕の指先から一本、赤い糸が出ていた。
なんだろうと思って触ってみると、なんだかゴムみたいに弾力があって柔らかい。
軽く引っ張ると、なんだか力が抜けてくる。
そういえば耳の穴から白い糸が出て、
それを引っ張ると、視神経に繋がっている為に
失明するなんて都市伝説があったなぁ。
でも、都市伝説はあくまで都市伝説であって、
それほど信憑性はないものばかり。
・・・と、僕は解釈してる。
何より耳から出ていたのは白い糸であって、
赤い糸ではない。でも引っ張ると力が抜ける。
あんまり良くないのかな。引っ張ったら。
不思議と人間と言うものは怖いもの見たさというか、
引っ張ってはいけないと思うと引っ張りたくなるもので、
だんだん誘惑に負けて一気に引っ張りたくなってきた。
どうしようかな・・・・。
指先からちょろっと出た、赤い糸?を見つめる。
意を決して、引っ張ってみることにした。
ブチブチブチッ!!!!
体中の内部から、何かが千切れる音がした。
・・・・なんだろう・・・・凄い寒くなってきた・・・・・・
それに、なんだか力も抜けて、意識も遠くなっていく・・・・・・
ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今回の被害者は、またずいぶん不可思議な死に方をしたもんだな。」
死体を目の前に、刑事が言う。部下なのか、もうひとりの男がメモを見ながら話しかけた。
「なんでも、身体中の血管が引きずり出されていたようですよ。」
「そんな事件聞いたことないぜ全く・・・・。」