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溢れ出す随液  作者: 耕助
第5巻
44/103

五里霧中(前編)

もう何日も山の中を歩いている。

1m先も見えない霧の中を。


たまに疲れてその場に寝てしまうこともあったが、

風邪もひかずこうして無事に生きている。


しかし、これだけ下ればもうふもとについてもいいはずなのだが・・・。

何か異次元の世界にでもハマってしまったのだろうか、

という馬鹿な考えまで浮かんでくる始末。


しかも、友人の幻を見たり、とっくに亡くなった祖父母を見たりと

妄想も満載。我ながらかなり極限状態になっていると思う。


それとも、下りているつもりでも、登ったりしてしまっているのだろうか。

そうだとしたらお手上げだ。この霧が晴れるのを待つしかない。


幸い、食料はかなり持ってきていたので、餓死することは当分ないだろう。

少しづつ食べていけば、二ヶ月は大丈夫だと思う。

しかしこの霧の中にそんなにいたくない。何より帰りたい。


無常にもいつまでたっても霧は晴れない。

こんなことってあるのだろうか?不思議でならない。

そのうち、三途の川でも見えてくるんじゃないか・・・。


などと思っていると、何やら本当に川が見えてきた。


おいおい・・・俺死んでるのか?


目の前の川岸に、舟が停まっていて、船乗りが話しかけてきた。


「乗ってくかい?六文だよ。」


地獄への橋渡しか?勘弁してくれよ。


「乗る気がないならとっとと帰んな。」


「でも、帰りたくても帰れないんです。」


「なんだお前、道に迷っているのか。こんなところに来てはダメだ。

送り返してやるから、目をつぶれ。」


言われるがままに目をつぶると、何かの光に包まれた。

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