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溢れ出す随液  作者: 耕助
第4巻
37/103

リストカッター

「またか・・・」


もううんざりしていた。

暗闇の中で目が覚めて、明かりをつけると予想通りの光景。


「いい加減にして欲しいなぁ・・・」


とつぶやいては見たものの、多分この惨劇は俺がやったものだ。


「多分」というのは、俺にはその時の記憶が全くない。

だから確証が持てない。


「明日捨てに行くか・・・」



記憶がなくなるようになったのは、物心ついてすぐだった。


しかし、俺は生まれつきどこか冷めていたせいか、

『どーせ話しても信じてもらえねーだろ』と思い、

子供の頃から、記憶がない時間帯の出来事を

口八丁で辻褄を合わせていた。


バレないようにバレないようにと努めているうちに、自然と1人でいることが多くなった。

そんな人生を送ってきているのだから、もちろん深い友達がいない。


淋しいと言うほどのことではないのだが、なんとなく夜中たまに外に出て散歩をする。

そんな時に記憶がなくなるようになり、いつの間にかこの惨劇が日常となっていた。


「しかし我ながらうまいことやるなぁ。」


証拠となるような状況が残されていないのだろう。

誰に疑われたこともなく、もう10年になる。


「時効になる前に自首した方がいいかな。なんだか申し訳ないし。」


そういって、とりあえず目の前の死体に視線を落とす。

重そうだ。いつも通り、手首から手が切り離されている。


「この手を忘れないように捨てないと。裏山ももういっぱいだ。

たまに友達も来るから、明日の真夜中には行かなきゃな。」


そう言いながら、慣れた手つきで死体を丁寧にビニールでくるんだ。

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