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溢れ出す随液  作者: 耕助
第3巻
32/103

時間停止の最中で(後編)

職場についた。


予想していたことだが・・・ここでも全ての時が止まっていた。

怒ってくれるはずの課長も、同僚も、それぞれがおのおのの動きの途中で止まっている。

ここでも8時で時計は止まっていた。ここにいる奴らは宿泊組だな。


一体いつまで時が止まっているんだ?

そう思うと怖くなってきた。このままでは食事もトイレもロクに出来ない。


・・・?


不思議なことに気がついた。そういえば、歯を磨いた時

飲料水だけは普通に使えた。冷蔵庫も開けることが出来た。

時間が全て同時に止まったのではないのか?

布団だって普通に出ることが出来た。

大体何故俺だけが動いているんだ。

何が原因なんだ?一体この後、俺は、この世界はどうなるんだ?


気が狂いそうになりながらも、なんとか平静を保ち、

・・・とりあえず家に帰ることにした。





帰路の途中で、ふと空を見上げた。

「・・・・・・・!!!!」

戦闘機?爆弾?なんだアレは?


平和な日本には不釣合いな物物しい一団が、空で停止している。

何か・・・物凄いやばいものを見た気がした。

時間が動き出したら、一体あの爆撃機と爆弾は、この日本をどうするつもりなんだ?


脳内を何かが駆け巡る。

そして・・・気付いてしまった。忘れていた記憶を。

時間が停止しているんじゃない。これは俺の見ている

走馬灯のような現実逃避の妄想だ。


・・・・目の前に爆弾が迫ってくる。


そうだ、そうだよ。時間なんて止まってなかったんだ。

俺が今見ていた景色は、ほんの一瞬の間に見た・・・・・夢。


ものすごい衝撃と共に、俺は光に包まれた。


死の間際に呟いたのは、この一言だった。


「・・・そうだ。俺が爆心地だったんだな。」





そして当日放送されたアメリカでのニュース。


『本日、日本に水素爆弾が落とされました。

爆風は瞬く間に日本全土を飲み込み、生存者に関しては絶望的のようです。

爆撃を行ったのがどの国なのかはわかっていません。

現在、放射能などの影響で、調査することもままならない状況のようです。』

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