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溢れ出す随液  作者: 耕助
第3巻
31/103

時間停止の最中で(前編)

朝起きると、時間が止まっていた。


いや、正確には気付いたのは外に出てからのことだ。

俺以外の全ての時間が止まっていた。


歯を磨く時に水が出ないので「あれー?今日水道工事なんてあったっけか?」

なんてのんきにつぶやきながら、飲料水で口をすすぎ、顔を洗った。


電気もTVもつかなくても、「おいおい停電も一緒かよ。」とか言いながら

ブレーカーを確認し、異常のないことを確かめてからスーツに着替えて出勤した。


近所のおばさんが、笑顔のまま固まっている。

お隣さんが犬の散歩をしていて、犬もろとも固まっている。


まず最初に驚愕した。駅に向かってはみたものの、全てのものが

凍りついたように固まっている。電車が動くはずもない。


もしかしたらこの街だけかも・・・という淡い期待を抱いたが、

もちろん携帯も公衆電話もつながらない。

とりあえず職場まで歩いて行ってみることにした。


途中で腕時計やデジタル時計を確認したところ、皆朝の8時で止まっている。

てことは朝の八時までは時間は動いていたと言うことか。

一体自分が時間が止まってから何時間分過ごしているのか気になったが、

確かめようもないのであきらめた。


一体、どのぐらいの範囲で時間が止まっているんだろう。

まさか宇宙全体が止まっているわけではあるまいな。

それも確かめようもないことなのだが。


時間の停止した空間というのは、物凄く違和感がある。

例えば近所のおばさんの肩を叩いて見たのだが、触れた事のない

独特の感触がした。しかも時間が止まっているので、

何かを動かすことは出来ないようだ。止まった場所でじっと動かない。


一体、何がどうなっているんだろう・・・

とりあえず職場に行って課長に怒られるのを期待しつつ、

(怒られるのを期待するなんて初めてだが、)

歩き続けることにした。今頃遅刻している俺と連絡が取れないと、

心配しているころかもしれないな。


そんなことを考えつつ、職場のある街へと辿り着いたのであった。

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