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溢れ出す随液  作者: 耕助
第10巻
100/103

闇薙~中編~

彼の言葉と共に、何かが闇の奥にやってきた。

私はこの感覚をこの場所以外で感じたことはない。


何も存在していないと感覚では認識しているのに、

頭の中に「何かがいる」という思考が浮かんでくる。

この状態をうまく説明できる術が私にはない。


「君は今日も見ているのかい?

その情報が正確かどうかもわからないというのに」


同僚が話し始めた。それに私も言葉を続ける。


「あら。わからないということは真実って可能性もあるんじゃないの?」


「いや、見ているところから、わざとそう見せられている可能性もあるよ。

『情報を得ている』というカマをかけたりしている限りね。」


「でも、情報なんて常にそんなものでしょ。100%正確に伝わる情報

なんてありえないと思うわ。報道なんかがそうじゃない。」


「確かにね。でも、彼が望んでいる情報を得ようとしているのを

無駄だと教えてあげているんだよ。むしろ関係を悪化しかねない。」


「随分と親切なのね。お互いどんな人間か自己紹介すらしてないのに。」


「まぁそれが僕の仕事だからね。・・・さて、君はそれでも見続けるのかい?

それはあまりにも卑怯で、芳しくない方法だというのに。

正確な情報が得られない以上、見続ける意味があるのかな?」


「確かに卑怯な手口ではあるわね。でもそれは同時に彼が臆病なんじゃない?」


「そうかもしれない。情報を卑怯な手で得ないと、関係を保てないというのは

あまりにも悲しく、そして虚しくはないかい?」


闇の向こうの雰囲気が、変わった気がした。

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