学校へ行く理由-れい said-
私が学校へ通う理由。それは仕事中の出来事がきっかけになった。とある音楽番組の収録で共演者に学校生活について質問された。私はその時、学校という場所についてデータが何一つなく、簡単な質問にすら答えられなくて無理矢理誤魔化すことしか出来なかった。こんな簡単な質問にも答えることができない…ロボットなんだからある程度のことは完璧なはずなのに基本的なところが足りてない。それが自分で許せなくて、悔しくて、学校に行きたいと言い出した。
学校に通うこと。もちろん大きなリスクがたくさんある。学校関係者にいつかロボットであることがバレるのではないか。もし在籍する間に仲良くなれた友達ができたりしたら、その人を悲しませる日が来るのではないか。考えるだけでも恐ろしい。どんなに高性能にできていても、人間にどれだけ近づくことができても、結局はロボットだから…。
教室に入ると柚瑠が私のところに来た。
「大丈夫だったか…?」
心配してくれてたんだ…。
「うん、もう大丈夫。迷惑かけてごめんね…」
「いやいや、良くなったならいいんだ」
そう言うと、柚瑠は友達のところに戻って行った。心配してくれてたんだ…と思うとまた少し胸が苦しくなった。なんで苦しくなるのかな…。どうしても柚瑠といるとき、少しだけデータの処理が追いつかなくなる。理由がわからないからどうすることもできない…。
放課後、いつもみたいに望月さんが迎えに来てくれて仕事に向かった…。