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雫輪舞(しずくロンド) 水の都の精霊王  作者: 優緋
水霊王と名乗らぬ出会い
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地下水路の奥へ

 フランツ達3人は元の場所に戻ってきて、今度は奥へ進む。

 出てくるスライムはフランツとライアットの2人が剣で倒していくが、奥に行く連れスライムが大きくなってきている。そのため剣が通り難くなってきていて、倒すのが難しくなってきている。

(今はいいが、このままスライムのサイズが大きくなっていくと、まずい)

「フランツ、攻撃魔法でのサポートも切り替えてくれ。代わりに焔、前に立て」

「わかった」

「はい」

 この地下水路では火の力が弱まる上に出てくるのは水属性のスライムのため、火属性のライアットと焔の魔法はあまり効かない。なら、光属性のフランツを後衛にして、振り回し難いが大剣を持つ焔を前に出した方がいい。

 2人が位置を入れ代えるとライアットが声をかける。

「行くぞ」


 役割を変えた矢先にスライムが現れた。

 焔が地下水路の通路で上手く剣を振れず、防御一辺倒になっている。

「っち」

 ライアットが理由に気づき、舌打ちをする。

 剣が大きすぎて、傍にいるライアットとフランツに当てないよう気を使っているから、大振りができていない。けれど、これで舌打ちするような事じゃない。

 舌打ちをしたのは、焔が水路に落ちないように壁側を任せたからだ。蒲鉾型のこの水路の壁側だと高さが足りなくて焔は剣を縦に大振りができない。横には壁があって、横にも大振りができていない。

 中央の水路側なら、天井は高くなるし、横は水路だから横にも大きく振れる。

(紳士気取って、何やってんだ俺は……)

 焔が水路に落ちないよう壁側を選らんだ自分のミスだ。

「フランツ、任せた」

 ライアットが後ろのフランツを見る。

「……全てを貫き光よ疾走はしれ、光弾レイ・ボウ

 詠唱の終わりと共に手を前に掲げると、光の球体が現れ、強く輝くとレーザーのような細い軌跡を残しスライムを貫いた。

 スライムに穴を開けたが、核の右上で核には当たっていない。開けられた穴は、ぬるっと液体が穴の上の部分から落ちて塞いだ。

「もう1度」

 フランツが、再び詠唱を始めた直後、待っていられないと判断したライアットがスライムを両断した。

 その後、何度かスライムと戦って、フランツの攻撃魔法は威力が高いが範囲の狭い魔法と、威力は低いが範囲の広い魔法だと気づく。

 実戦経験が少なく、まだ、上手く扱えていないのがわかった。

「はぁ」

 ライアットは溜息をつくと2人を促して奥に進んで行った。


 更に奥に進む。

 役割を変えたのが上手くいって、スライムとの戦闘がだいぶ楽になった。というより、焔の剣が、やたらと大きいため、簡単にスライムの核に刃が届くのだ。

 スライムが大きくなってきて、ライアットだと、スライムが触手を作って攻撃してきたのを避け、本体が小さくなった所を反撃カウンターでいれないと、ライアットの剣では核を両断できない。

 それでも簡単にはいかなくなってきていて、3人に疲労がたまり始めている。

「まだ、追いつかない。焔、お前の友達の泉ってどんだけ強いんだよ」

 焔は精霊の力なしでも同年代なら充分優秀で強い。実戦経験さえ積めば当時の自分よりも精霊の力が使えるのだから、間違いなく強い。

「えっと、泉さんは、そんなに強くないはずです、けど……」

 学校の魔法の実技の授業でも落ちこぼれで、剣技等の近接戦闘も強くはない。というより、間違いようもなく弱い。踊りのような無駄な動きが非常に多く、隙だらけなのだ。何度も直すように言ったが、直そうともしなくて、話を聞いてもらえない。

 そんな雫がここまで1人で来られるとは思えない。けど、もしかしたら、ここまで1人で来ているかもしれない。そんな考えが頭を過る。

 その考えを頭から追い出そうとしたが、まさか、もしかしたら、とそんな可能性を考えてしまって、頭の片隅に残った。

「何人か仲間がいるのだと思います」

「確かに、そうかもな」

 会話をしながら歩いていると、フランツが足を止めた。

「どうした?」

「ここ、扉がある」

「ほんとだ」

 2人が寄って来て、壁を確かめる。確かにわかり難いが確かに扉がある。

 中を調べようとライアットが無造作に手をかけて開けようとした。

「ライアット、待て」

「どうした?」

「この壁、見た事のない紋様が彫られてる」

「本当だ」

 良く見れば、かなり細かで凝った装飾だ。ただ美しい装飾ではなく、機械的な幾何学模様がびっしりと彫られている。

 確かに見た事はない紋様だけど、地下水路入口の扉の紋様に似ている。魔法的な力が働いている事が伺える。どんな力はわからないが警戒をするに越したことはない。

「なぁ、これ開いてるんじゃないか?」

「え?」

 フランツが驚くが、ライアットが地下水路の扉が開いていたのを思い出しながら、扉を押したら、開いた。

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