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018

 起きると目の前にパラダイスが……違うか。

 もう1つのベッドでは、ルナとリーゼが抱き合って眠っていた。ルナはリーゼの胸に顔を埋めている。うらやま……けしからんな。

 リーゼの胸は凄い出ているわけではない。歳相応だと思う。あれ? リーゼ何歳だ? あとで聞いてみるかな。

 と、一階に向かいながら考える。


「あ、おはようコウさん」


「おはようございます……ミレーナさん?」


 正解と笑って答えてくる。間違えなくて良かった。


「わたしもマクシから名前聞いちゃった。と言うか、あっちから教えてきたって言った方が良いかしらね」


「そうでしたか」


「うちのが迷惑かけてたらごめんね」


「いえ、いろいろ教えてくれて助かってますよ」


「そお? ならいいのだけど。1人泊まる人が増えたんだってね」


「あ、はい。ご迷惑かけます。昨日はすみません」


「そんなのいいわよ。ご飯、今から作るから遅れちゃうけど勘弁してね」


「お願いします」


 女将さんことミレーナさんはキッチンに入って行った。

 2人ともまだ寝てたし、ちょっとギルド行ってこようかな。


 部屋に置手紙を残して、俺は1人で宿を出た。



 ----



「んっ」


 ほにほにする感触がある。


「なにこれ……?」


 気持ちいい……。

 まどろみの中で私は手を動かし感触を楽しむ。


「……うにゃ~」


「ん?」


 私の腕の中で何か動いた。


「何だろう」


 目を開けて確認する。


「あっ!」


 ルナ様だ。


「す、すみません!」


「うにゅ~?」


 寝ぼけているみたいだ。


「ルナ様?」


「……スー」


「寝てます?」


 まだ寝ているようだ。

 私はルナ様を起こさないようにベッドを抜け出そうと動く。


「ひゃっ」


「ぬへへ……」


 寝ているルナ様に胸をもまれたのだった。

 おどろいたぁ。

 今度こそ、起こさないようにベッドから這い出る。


「ふぅ」


 ルナ様の寝顔は可愛いかった。初めて耳触っちゃった……気持ち良かったなぁ。

 ルナ様に布団を掛け直す。

 こんなによく眠れたのはお城を出て初めてだ。


「あら?」


 部屋を見渡すがご主人様の姿が見えない。どこに行ってしまわれたのだろう。

 ご主人様が寝ていたベッドの枕元に1枚の紙が置いてあった。


『ちょっと出てくる。朝ご飯できる時間には戻る』


 出かけてしまわれたらしい。私も起こしてくれればよかったのに。

 …………。

 やることがない。


「どうしよう」


 ご主人様のベッドをメイキングしてから自分の顔を洗いに行く。

 こうやって顔洗うのも久しぶりな気がする。昨日はタオルを貰って拭いたけど、真水で洗うとシャキッとした気分になる。


 ベッドに腰掛け一息。

 ユリーナは大丈夫かな? 気をつけてとは言ったけど、無理してないかしら。もう私は奴隷になったんだからきっと大丈夫よね。最初からこうしておけば良かったんだわ。私が逃げなければこんな心配されなかったし、私も心配しなかったのよね。


「……はぁ」


 こんなこと考えても仕方ない。ご主人様が行って良いと言ってくれたんだもの。この目で確かめる!

 ……あの時、ご主人様から差し伸べられた手を取っていたら状況は変わっていたのかな?


「ただいまー」


 ドアが開く。

 ご主人様が帰って来た。


「お帰りなさいませ」


 私はドアの前まで行きご主人様をお出迎えする。



 ----



「ただいまー」


 ドアを開けるとリーゼが出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ」


 ……出迎えてくれる人がいるのっていいな。


「何をしに行っていたのですか?」


「ギルドに渡すものがあってね。あとウマの手配だよ」


 昨日貰った封筒は依頼の完了報告だった。リーゼが掲示板に貼ってあった探し人だったのだ。フードをかぶっていたときは影があり、わからなかったが確かにリーゼは金髪だな。成り行きだったが、金貨1枚儲けてしまった。ラッキーだ。


「あっ、ありがとうございます」


「いいよ、行くって言ったもんな。それはそうと着替え持ってる? いつまでもそれじゃいかんでしょ」


「えっ、あ、すみません、こんなみすぼらしい格好を」


 リーゼは昨日の白いワンピースのままだった。


「みすぼらしくない、似合ってるよ」


「あ……ありがとうございます」


 正直に答えたらリーゼは顔を赤くして俯いてしまった。そんな反応されるとこっちも照れる。つい言ってしまったが、良く言えたな俺。


「洗面所で着替えてきなよ。その間にルナを起こしとくから」


「はい」


 洗面台があるところは壁は少しだけくぼんでおり、ベッドの位置からだと見えないのだ。

 リーゼが着替えに行ったのを見て、ルナ起こしに入る。


「ルナー、起きろーご飯だぞー」


「うにゃ、ごはん~」


 食い意地だけは張っているな。


「よし、行くぞ」


 ルナを無理やり立たせて歩かせる。

 着替えが終わったリーゼは、その様子を見て驚いたようだったが笑顔で受け入れていた。


 3人で一階に行く。

 リーゼの服装は、薄いベージュの半袖と膝丈までの上より色の濃いベージュのプリーツスカートだった。

 もっと高そうな服を持ってると思ってたんだけど普通なんだな。

 城の主の娘だからお金持ちとは限らないか。お金なくて売られたって言ってたし……。


「あら、おはよう」


 ミレーナさんがテーブルにご飯を並べているところだった。


「おはよ~」


「お、おはようございます。昨日から泊めてもらわせている、リーゼロッテと申します」


 綺麗なお辞儀を決め、自己紹介をしたリーゼに優しく笑いかけミレーナさんは言う。


「そんなかしこまらないでだいじょぶよ。あなたたちはお客さんなんだから」


「は、はい」


 ルナは慣れているから軽く挨拶を交わすが、リーゼは緊張しているみたいだ。


「さあ召し上がれ」


 ミレーナさんはご飯を並べ終えてキッチンに戻っていく。


「「いただきます~」」


「……いただきます」





「「ごちそうさまでした」」


「……ごちそうさまでした」


 ご飯も食べ終わったし行くか。


「じゃあ、防具に着替えてから行くとするか。俺はこれ防具だから2人は部屋で着替えできな」


 もちろん昨日濡れたのは乾かしましたよ。装備の手入れはめんどくさいけど怠るわけにはいかない。その点では俺の剣は手入れしなくてもいいから楽だ。


「はーい」


「はいっ」


 リーゼはまだ緊張してるみたいだな。今から行くのだから無理もないか……。

 二階に上がっていくのを見届けてから、俺はミレーナさんに話しに行く。


「あら? コウさんどうかしたの?」


「はい。今からウェルシリアに行くので数日帰って来れないんですけど、大丈夫でしょうか?」


「あらそう、わかったわ。いない日にち分は滞在期間に入れておかないから楽しんでらっしゃい」


 ミレーナさんはウェルシリアに遊び行くと思ったらしい。まぁ普通はそう思うか。しかも、ウェルシリアに行っている期間は泊まってないことにしてくれるとは……サービス良すぎですよこの宿。


「ありがとうございます」


 お礼を言い2人を待つため食堂の椅子に腰掛けた。



 2人はそれから程なくして降りてきた。

 ルナはいつも通りの格好だ。リーゼも俺たちと似たような防具、レザーアーマーを着ていた。下は膝上のスカートで、ももを守るように鉄の長方形のプレートがスカート丈と同じ長さくらいで4枚ついていた。プレートの厚さは見た感じ薄いが、ダメージ軽減はできるだろう。重さもあまりないのかもしれない。髪はうなじ付近で縛り一本になっている。

 この世界では、全身を鎧で覆う人は少ない。ギルドでたまに見かけるがそういう人は大抵盾役をやっている。

 敵が動くのだから防御力を削ってでも動きやすい服装じゃないと攻撃を受けてしまう。いくら防御力が高くても防具が重く攻撃が当てられなければ本末転倒だからだ。

 それにしてもリーゼの格好は……激しい動きをすると見えてしまわないだろうか。す、スカートの中のものが……。


「よ、よし行こう」


 変なこと考えちゃいかんな。


「うん!」


「はいっ!」


 ウェルシリアはヴィンデルよりさらに北方面にある。なので俺たちは街の北口に向かう。



「ここで、乗合馬車に乗るんだ」


『163年8月12日 10時19分42秒』


 少し早く来すぎたかな。馬車は10時は30分出発なのだ。


「あ、ありがとうございます。行ってきますね。絶対帰ってきますから」


 ……何を言っているんだこの子は?


「何言ってるの?」


 ルナが俺の言葉を代弁してくれた。


「え? ですから私はウェルシリアに行きますのでその……一旦のお別れを」


「一緒に行くに決まってるじゃん」


「えっ!?」


「ねー、コウちゃん」


 リーゼは俺の方を見る。

 俺は黙って頷いた。



 ----



 馬車に乗り込んで数時間。

 リーゼは1人で行く気だったようで、俺たちがついて行くとは考えていなかったみたいだ。

 まったく。……あの驚きようは面白かったな。




 俺が黙って頷くと。


「えっ、でも、ご、ご主人様に迷惑が……」


「ご主人様はやめてくれ」


「あっ、失礼しました。コウ様に迷惑がかかってしまいます」


「そんなこと言われてもなー。もう馬車のお金払っちゃったしな」


「えっ、そんな」


 リーゼはあたふたしている。

 馬車は護衛をするからと言い値段を安くしてもらったので、実はお金の問題はないんだよな。


「リーゼちゃん何やってるの?」


 ルナは笑いながらリーゼに問いかける。

 リーゼはそれでもあたふたしている。その姿は見ていて面白い。近くを歩いている人もリーゼを見て顔をほころばせていた。

 結局、落ち着きを取り戻したのは馬車に乗ってからだった。




 馬車は馬2頭がゆっくり、けれど人が歩くより早く動いている。

 馬車の中は壁沿いに長椅子があり、出入り口の所に1人、他の壁沿いに3人ずつの10人は座れそうだ。床に座ってもよければもう少し乗れる大きさだ。

 乗客は俺たちを含めて5人しかいない。1人は感じのよさそうなお婆さんで、もう1人は小太りなおじさんだった。

 俺たちはいつでも魔物の襲撃に対応できるように出入り口付近に座ることにする。


「リーゼってどんな武器使うの?」


「私は盾と剣です」


 なんと王道な装備だろうか。


「じゃあ前衛は俺とリーゼ、後衛はルナになるな」


「うん!」


「はい。武器出しましょうか?」


「いや、いいよ。他のお客さんもいるしな」


「あら、わたしは大丈夫だよ」


 お婆さんが話を聞いていたらしく、俺たちに話しかけてきた。


「えっ、いいんですか?」


「ねえ、お兄さんもいいわよね」


「……ああ」


 小太りのおじさんは、俺たちを睨みつけてきてからそう言った。

 なんなんだこの人。感じ悪いな。


「ありがとうございます」


 感情を隠して礼を言う。お婆さんはいい人そうなのにな。


「坊やたちのおかげで馬車の代金が安くなったからね」


 坊やか……。お婆さんから見たら俺たちもまだそんなものなのかもしれないな。

 しかし、何で安くなったんだ?


「馬車に乗るときは襲われた時のために戦える人を雇うんだ。大抵が冒険者なんだがな。その雇う金は乗客がみんなで払うことになっている。君たちが乗ってくれたおかげでそれがなくなり、安くなったという訳だ。更に普通はこんな少人数だと雇う金の問題が起きて出発しないのだが、それもなかったという事だ」


 わかったか、と偉そうにおじさんは言ってくるが、要は俺たちのおかげということなのだろう? 少しは感謝をしてもいいではないか。


「そうなんですか」


「ああ」


 おじさんはそれ以上喋らなかった。


「そうそう。だから私たちのことは気にしないでいいわよ」


「そうですか。リーゼ、武器はでかい?」


「いえ……普通の方だと思います?」


 リーゼはどのくらいで大きいのかわかってないようだ。まぁ、大剣と大盾でないなら大丈夫だろう。


「よし、じゃあ出してみよう」


「はい」


 リーゼはボックスから先の尖がった細身の剣と丸い形をした盾を出す。

 レイピアか。それと……バックラーっていったっけこういう小盾のことを。

 ゲームで得た知識を思い出しながら考える。

 どちらも銀色に光っていて手入れが行き届いているのがわかる。


「……良い剣と盾だな」


 感じの悪いおじさんが話しかけてきた。


「わ、わかるんですか?」


「ああ。これでも商人の端くれだ。武具も少しは取り扱ってるからな」


「これは私が15歳になった誕生日の時、貰った物なんですよ」


 リーゼは大切そうに愛剣をなでていた。


「にゃっ!」


「うお!」


「きゃっ!」


 いきなり馬車が揺れる。

 お婆さんは椅子に体を倒して耐えていたが、おじさんは椅子から落ち尻餅をついていた。


「す、すいません! 魔物です!!」


 運転手がそう言うのを聞いて俺たちは外に出た。


「……厄介だな」


 外にはウルグ4体に似たような赤っぽいオオカミ1体がいた。

 ウルグはコボルト並みに素早いんだよな。速さはウルグの方が上だが瞬発力は同じくらいだ。


「あれはウルグとレッドウルグです!」


 赤い方の名前をリーゼは知っていたみたいだ。

 ……赤だからレッドか? いや、これ以上は言うまい。


「赤い方は強いのか?」


「普通のウルグよりは少し強いです。あと、火の耐性があります」


「だそうだルナ。最初、赤いの頼む」


「りょーかーい」


「リーゼ、俺たちは馬車に近づけないようにするだけでいいからな」


「は、はい」


 リーゼは左に盾を持ち右手で細剣を構える。左半身を前に出し、魔物の攻撃に備えている。

 ルナが雷光をレッドウルグに放つ。

 瞬発力は良くてもいきなりの魔法には対処できなかったようだ。一撃で黒焦げになり消えていく。その近くにいたウルグ2体も巻き込んで倒していた。

 残りあと2体。


「あっ!」


 その2体は逃げ出した。力の差がわかったのだろうか。賢明な判断だが……。

 ルナは後ろを向いている2体に火の玉を放つ。

 後ろを向いているせいで、ウルグたちの反応が遅れている。直撃だ。

 そのまま燃え尽き、粒子となって消えていく。


「……終わったか」


 やっぱり出番はなかったな。


「ほぇー……」


 リーゼは1人呆気に取られていた。


「ルナお疲れ」


「うん! 余裕だね」


 馬車に入り、倒した旨を伝える。


「ありがとうございます。では、出発します」


 運転手は馬車から降りて行った。


「お疲れ様」


 お婆さんが感謝の意を込めて言ってくれた。


「いえ、余裕だったみたいですよ」


「そうなの? みんな若いのにお強いことでねぇ」


 戦いの場を見てないからルナが全員倒したということはわかってないのだろう。

 俺もそれ以上は何も言わなかった。


「あ、あの」


 小声でリーゼが話しかけてくる。


「ん?」


「失礼かもしれないんですけど……ルナ様ってな、何者なんですか?」


 その質問、いつか来ると思っていましたよ。


「あー、俺も詳しくはしらないけど、命の恩人と言える人だよ」


 そういえば俺もルナのこと全然知らないな。獣人で寝るのと食べるのが好き。更に魔力が超あり、魔法も無詠唱でバンバン使う娘ということ以外は知らないような気がする。

 ルナの素性とか知らないしな。機会があったら聞いてみよう。


「コウ様の命の恩人……ですか?」


「そうそう。魔物にやられて死にかけた時に助けてくれたんだよ。それから一緒に行動するようになったな。と言っても、それは1週間前くらいの話なんだけどな」


「1週間?」


 あっ、この世界に1週間とかの概念は無いんだった。こっち来て1年以上経つのにたまに言ってしまうんだよな。16年間の習慣というものは抜けないものだな。


「7日前くらいだな。ルナに会ったのは」


「……最近なんですね」


「そうだ。俺が冒険に出たのが8月初めだからな」


 そう考えると、まだ全然経ってないんだな。


「ルナのことはだな、異常に強い魔法使いと捉えてくれればいいと思う」


 最近、ルナはチートを使ってるのではと思っていたりするが、現実でそれは無理だとも思っている。……って俺も特殊能力持ってるじゃん! それに能力も上げてもらってるし!! それこそチートなのではないか? でも、特殊能力は武器が魔法つきかわかる能力だしな……。戦闘には使えないチートか。いや、能力補正があるしこの剣だってチートではないか。


「……そうだったのか」


 それでもルナより弱いということは……きっと近接と遠距離の差だな。うん。


「な、何でしょう?」


 俺の独り言にリーゼが反応した。


「いや、こっちのこと」


「そうですか」


 リーゼはリーゼで何か考えてるようだった。



「今日はここで野営をします」


 馬車を止めて運転手がそう言う。

 野営といっても寝るのは馬車の中だし、外にはご飯を作って食べるくらいだ。俺たちは護衛という仕事があるためこの限りではないが。


「明日は9時ごろ出発します。寝てるのは良いですが、どこかに行かないようにしてくださいね」


 焚き火を囲んでそう説明をしてくれる。


「わかっている」


「わかりましたわ」


 乗客のお婆さんとおじさんが答える。


「冒険者さんたちは夜の護衛お願いします」


「もちろんです」


「あっ、お鍋もう大丈夫みたいですよ~」


 鍋の番をしていたお婆さんからオッケーのお言葉が。


「では、いただきましょう」


 運転手の一言でご飯が始まった。




 ご飯も食べ終わり片付けに入ると、「片付けはわたしたちでやるから、護衛の打合せやっちゃいなさいよ」とお婆さんが言ってくれたのでそうすることにした。


「3人だからな……2人護衛で1人が寝るというのが良いよな」


「まかせる~」


「そうですね」


 ルナはいつもお任せだ。リーゼはちゃんと答えてくれたというのに。


「今は……」


『163年8月12日 21時18分33秒』


「21時か」


 22時からとして、9時までは11時間だな。交代するのは2回だと……割り切れん。約3時間半で交代かな。


「3時間半くらいで1人交代はどうだ?」


「おっけー」


 即、返事が返ってくる。

 ……ルナはわかっているのか?


「大丈夫です」


 リーゼがいるからなんとかなるか。


「じゃあ順番を決める。最初から2連続か、最初寝るか、途中で寝てまた起きるかの3択だ。希望があるならどうぞ」


「「…………」」


 だと思いましたよ。


「じゃあ最初から2連続は俺がやるから、あとは2人で決めてくれ」


 そう言って俺は顔を洗いに水辺に行くことにした。

 ここは、池か湖かはわからないが水があるのだ。流れが緩やかで、水の範囲も広いから川ではないと思う。水は綺麗で馬も飲んでいるし、俺たちもさっきのご飯のとき使っていたから大丈夫だ。大丈夫でなければもう遅いが……。

 そこで顔を洗いさっぱりさせる。


「ふぅ」


 遅くまで起きるんだ、寝ないように気をつけないとな。

 両頬を軽くパンパンと叩き2人の場所に戻る。


「決まったかー?」


「はい」


「あたしが最初寝るー」


「了解。起こすからな、ちゃんと起きろよ」


「うん! おやすみー」


 ルナはさっさと寝に馬車の中へ行ってしまった。


「私たちも寝ますので、どうかよろしく」


「あ、はい。わかってます」


 運転手とおじさん、お婆さんも馬車に入る。もう寝るようだ。

 横を見ると、水辺近くの林の木に逃げ出さないよう紐で止めていた馬2頭もすでに寝ていたのだった。


補足です。

時間は1日24時間であります。書いていなかったと思うので003に付け足しました。

読み返さなくても内容は変わってないので大丈夫です。

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