壊れてしまった それは……
例えば時間をかけて築き上げたものがあったとして、それが跡形も無く消えてしまったら
私は無表情でそこにあったものをみているだろう。
始まりは些細なこと。
そのことで築き上げてきたものに少しだけ亀裂がはいる。
私は亀裂がはいってしまったことに気がついていた。
君との会話がなくなって、言葉では表せない距離ができてしまっていることに。
けど、最低な私は気づいてないふりをして君から逃げた。
きっと……いや、これがいけなかったんだ。
君は私にいってくれていたのに。
独りだといっていたのに。
私はまた一緒にいようと約束をした。
最初こそは一緒にいたけど、時が進むと私は君を再び独りにしてしまった。
その後、私は君のことなんて考えず友達と楽しく過ごした。
君も友達と楽しそうに過ごしていた、けど今思えば本当に楽しかったのかは私にはわからない。
そうして私はこのことが当たり前になってしまった。
だから、小さかった亀裂は大きいものに変わり私たちの関係が変わってしまっていたことに
私は本当に気づかなかったんだ。
君と会話をしなくなって数週間過ぎたとき、君から私の元に一通の手紙が届いた。
久しぶりに貰った手紙に私は嫌な予感しかなかった。
開けて読んでみると、そこにあったのは会話がなくなってから今にいたるまでの君の気持ち。
私が君を裏切った時のこと、会話がなくなったことついてのこと、
そして、最後には私を責めているわけじゃないと書かれていた。
私はやっと君との関係が危ういことに気づいた。
君がどういう気持ちでこの手紙を書いたかわからないけど、私は君の気持ちを知って
自分が逃げてしまったことに後悔した。
次の日、少し遠いところに君を見つけて私は君の傍まで走った。
君の名を呼ぶと君は私へと視線を向けたが、すぐに視線を元の場所に戻す。
一瞬だったけど、君の目がどこか冷めたように私を見た気がした。
けれどそう見えたのは私が君に酷いことをしたと思う気持ちからかもしれない。
私は昨日届いた手紙について話した。
わざと離れたわけじゃない。
自分のことしか考えてなかった。
口から出るのは言い訳がましい言葉。
君はそんな言い訳を冷静で淡々とした声で返事をする。
わかってる。
人間なんだから仕方ない。
私は君がいった言葉になにもいえず、私は君からまた逃げた。
私は目の前にある亀裂だらけのそれをみる。
少しでも力をいれてしまえば壊れて消えてしまいそうなほどにボロボロだ。
なのに、私はそれをみてもどうも思わない。
一切君に対してなにも思ってないわけじゃない。
罪悪感や自分がしてしまったことによる自己嫌悪、そして喪失感。
けど、私は自分が思っているより心が冷めた最低な人間らしい。
心のどこかで私は君のことを他人事のようにおもっていた。
あの日、君と会話したときもそうだ。
私は壊れかけのそれにそっとふれる。
君と過ごした毎日はとても楽しかった。
話題もあうからなおさらのこと。
馬鹿なことして一緒に笑ったりもした。
こんなことがこれからもずっと続くんだとあの頃の私は思ってたよ。
けど、もう終わりみたいだ。
「今までありがとう、君と過ごした日々はすごく楽しかったよ。
……ほんとうにごめんね。……じゃあ、ばいばい」
私はそういって手に力をいれ、それを壊した。
それは砂のようになり、なにもなかったかのように消えていく。
そして私はそこにあったものを無表情でみていた。
私たちはこれから別々の道を進む。
もしかしたら、私の道が君のものと交わり君と前みたいに笑って話せるかもしれない。
けど、私はもうここに訪れることはないだろうと感じた。
私は踵をかえしてここから立ち去る。
そのとき、頬に冷たいなにかが通った気がしたが、私はまた気がついていないふりをした。
この話はだいたいが実話です
私はたぶん前みたいな関係には戻れないと思っています
もし、この話を読んだかたで大事な人と
喧嘩などしてしまい関係が悪いという人がいたら
その人と仲良くしていたいと思っているなら
自分の気持ちをはっきり伝えた方がいいと私は思います
私は君にはもう伝えられず、ただ後悔しか残ってないですから……