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偉大なる先人に感謝

 せっかく造った露天風呂だが、今日中にやることも多い。今入らず、今夜の楽しみにしておく。その後は同じく土魔法で空室の横にトイレを造り(また穴を地の底まで伸ばした)、リビングに土を岩にして大きなテーブル、椅子を用意した。さらに家具として自室と客室に机、椅子、ベッドを用意した所で一息ついた。流しの水を飲む。美味い。

 住環境はとりあえずここまででいいだろう。そう思い外に出てみると、日が中天に差し掛かっていた。そろそろ昼飯時だ。何か食料を探しにいくか。そう考えて、作業場から一番まともなナイフを取り出してくる。刃渡り15cm程。どれほどまともかというと刃に指を押し当ててもまったく切れないという安心設計。砥石もできれば見つけたい。ナイフをベルトとスラックスの間に差し込むと、狩りの準備が整った。


 ・・・オー窟を拠点として、崖沿いに向かって右手方向に30分程樹海を進んだ。これまでの道中で、危険だと解っていてもついつい手が出てしまう茸類5種、謎の草類3種、そして2種類の実を手に入れた。すでに両手は一杯、ポケットの中もパンパンだ。引き返そうか、それともポロシャツを脱いで簡易に袋をつくろうか悩んでいた所、ソレ(・・)は現れた。


 気づいた時にはもうすぐそこにいた。足元に毛でも生えているのだろうか、歩くにもかすかな音しかしない。見た目は長い犬歯の茶色い大きな狼だ。ただ飼い慣らすのは無理そうだ。長い犬歯を剥き出しにしている。唸り声なども発っせず、ただするすると近寄ってきた。奴らは忍者か?総勢5頭。その中で一回り小さいのが3頭。家族の群れかも知れない。しかし難易度高過ぎだろコレ。SWATばりの侵入速度で近寄ってくる大型狼。相対してみて欲しい。恐怖感半端ない。奴らもこちらが気づいたことを察した様だ。小さな足音とともに一気に距離を詰めてくる。

 「ほ、炎が周囲10mを焼く。」これが精一杯だった。

 距離を詠唱に加えることができただけでも自分を褒めたい。奴らを詠唱する上で狼という言葉で捉えることが出来るか一瞬迷って焦ってしまった。一番近づいていたのはもう目と鼻の先だった。助かった・・・。

 炎は半径10mをきっちり焼き尽くして消えた。勿論、それ以上に燃え拡がっている。水を出してすぐ消化した。


 結果3頭焼いて、2頭は逃げだした。こいつら・・・仮称でパーティー犬と名付けよう。とにかく現在最も警戒する相手だ。この森の生態系がどうなっているのかわからないが、こいつらが闊歩してる時点で少なくとも上位に位置することは間違いないだろう。

 推測は置いておくとして、とにかく食料は確保した。首元をナイフで刺して血抜きをした子狼を脇に抱えて帰途につく。これで今夜の食材はなんとかなりそうだ。


 ・・・オー窟に戻り、ダイニングのテーブルに食材を並べる。茸5種、草3種、木の実2種、子狼肉一匹。大収穫だ。子狼は遭遇時に軽く火を通してあるので後から調理するとして、それ以外がどんな効果があるか解らない。とりあえず安全そうな草から試してみるか。土魔法で調理台の横に簡易の竈を造り、同じく魔法で造った土鍋を置く。拾ってきた枯れ木に火を着け湯を沸かし、湯通しした草をそれぞれ食べてみた。


 苦い。苦すぎる。苦さを通り越した先の交差点を右に曲がって3っ目ってくらいの味がする。どれだけ苦さ通り越すんだよ、と若干伝わり辛い表現だった為自分で突っ込む。ともかく食えたモンじゃない。しかし味がここまで苦痛になるとは考えつかなかった。解りづらい方はどうかそこら辺の雑草を食ってみてくれ。食用でなければ食えたモンじゃない。というか、食用でない時点で食うモンじゃない。

 この分だと茸類は怖すぎる。先人はよく椎茸食おうと思ったな。自分じゃ一歩どころか一里ぐらい腰が引ける。現在ある茸の知識をもたらした先人の多大なる労苦に感謝する。しかしここは異世界だ。迷わず捨てた。


 木の実だ。一つは胡桃ぐらいの赤い実。ミニトマトより少し大きいといったところか。もう一つは、何というか・・・フォックスフェイスの横に生えてる耳に当たる部分が無い形、といったらいいのか。(フォックスフェイスは観葉植物で、以前見た時に形が面白くて覚えていた。)意を決して口に含む。・・・どちらも美味い。赤い実はさくらんぼの様なほのかな甘さ。フォックスフェイスはマンゴーの様な熟れた味がした。これで寝るまでに腹を壊さなければ主食としよう。群生してたので収穫も容易だ。今後貴重な食料となるため名前を考える。赤い実は・・・はじけた印象がある。そんな話が教科書に載っていた。当時の自分には理解不能だった。爆裂弾と命名する。フォックスの方は星狐と名付けよう。センスが昭和。

 子狐は毛皮を剥いだ。ナイフが切れない為刺すように剥いでいく。素人作業のおかげズタボロになった。雑巾ぐらいには使えるか?


 パーティー犬の丸焼きと爆裂弾と星狐で夕食を囲った。自分で何を言っているのかわからなくなった・・・。腹は膨れた。


 夕食はさておき、日が暮れた所で待ちに待った露天風呂だ。総天然石の源泉かけ流し。湯は白濁している。淡い魔法光、樹海、満天の星空。それだけだ。ゆっくりとした時間を過ごす。最高だ。


 汗を流し、その日は就寝した。

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