魔法の可能性と書こうとして叶姉妹と変換・・・
さらに検討を重ねる。
まずは、現在指先からでている炎を前に飛ばせるかどうかだ。近くの木を的にして、魔法を放つ。
「炎よ、飛んでいけ」
ソフトボール程度の炎が一直線に飛んでいった。空に。
普通に考えればそりゃそうだよな。飛べと言われれば宙に浮かんでいく方が一般的だ。ということは、ツンデレ属性のマジックさん(推定年齢18歳、最近幼馴染みと関係がふわふわしている)に対してはあくまで誠実な対応を心がけるべきが一番か。
「炎よ、指し示す木を焼き尽くせ」と、言葉を発した瞬間圧倒的な炎が指から噴出し瞬く間に木を焼き尽くした。そしてあっという間に周囲の木々に拡散し始めた。
「み、水よ。炎を消せ。」と唱えたところでようやく鎮火することができた。無論、放出した水も圧倒的だった。
・・・ヤバ過ぎる。正直マジックさん扱いかねる。下手なこといったら人類滅亡しかねん。実際、今ここで地面よ割れろといったらどこまで割れるのか量りかねる。最悪この世界が惑星なのだとしたら惑星ごと割れかねないのではないか。
流石にそこまでのことはないだろうと思えるが余計なこと口走って、何か重大な被害がでる可能性は高い。発する言葉をあらかじめ決めて、自らに制限をかけていった方が無難か。
唱える言葉は、何が+何を+どうする という形を基本にする。例えば、炎がオークを焼く とかだ。単語もできるだけシンプルにした方が誤爆や暴走を防ぐ意味でもいいはずだ。よし、基本路線は固まった。
その他に水、風、土を試す。水と土は様々なことができたが、風だけは強い風しか起こせない。おそらくイメージが足りてないのだろう。ぶっちゃけ、風のイメージって台風しかない。どうやるんだ、真空のイメージって・・・。空気をこすり合わせて静電気を発生させるって・・・。教えてエロい人。
一通り試して満足した。有意義な時間を過ごした俺は、その総まとめとしてオークが住む洞窟・・・オー窟へと足を向けた。
「小さな光が視界を照らす。」でた。やった。
オー窟にはいると中に光源はなく、20m先からは暗闇につつまれていた。入口からなだらかな下り坂でだんだん通路が細くなっている。明かりが欲しくて試しに唱えたところ見事に成功した。3cmほどの光源が頭上に停滞し、周囲を照らしてくれる。駄目だったら枯れ枝を取りに戻ろうと考えていたので、二度手間にならずに済んだ。マジックさんの気持ちに感謝。なんとなく周囲が明るくなるイメージだけだったから空気を読んでくれたみたいだ。50mくらい進んだところで、開けた場所に辿りついた。
・・・いるいる豚が一杯だ。ここは養豚場かってくらいいる。広場は30m四方だろうか頭上から見ると台形の形をしており、入口からは下辺の真ん中につづいている。|(上辺+下辺)×高さ÷2。復習は大事だ。何を言ってんのと思う人はお母さんに聞いてみよう。
推定50匹はいようかというオークが、獣を引きちぎって食べていたり、寝たり、起きたり、トランプしたりしていた。すまん、トランプは嘘だ。まあ、それぞれ好き勝手に過ごしていた。いわゆる群れだった。
じゃあもう偵察はこれくらいでいいか。俺はオークの集団を指し示し、早速覚えた魔法を唱えてみる。
「土がオークの足首を掴んで固まる。」
全てオークの足元からニョロっと土が盛り上がると、足首に絡みついて岩になった。オークはいきなりの事態に困惑し、わけのわからない言葉で怒鳴っている。
「炎がオークの身体を焼く。」
「水がオークの肺を満たす。」
続けざまに魔法をとなえ、全てのオークが倒れ動かなくなるまで見届けた。よし、成功だ。
オークの群れは殲滅した。オー窟には、ただただ強烈な肉の焦げる匂いだけが残った。
・・・吐いた。そして初めて風の魔法があることに感謝した。
プロット達成率3%