先生、死んでいいですか?
「先生、死んでいいですか?」
高校一年の春。
授業中。
篠田先生(24)が声を掛ける。
「質問がある人はいるかー?」
誰も手を上げない中、ある女子生徒がスッと小さく手を上げた。
「はい、水無月」
「死にたい時、先生ならどうしますか?」
し〜ん・・・。
「皆んな、今から自習だ。水無月は保健室に来るように。」
「分かりました。」
二人が教室から去ると、教室の中はザワザワとし始めた。
「あの、私なんかの為に自習にしちゃって大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ない。大事なことだからな。」
「大事・・・」
「水無月はどうして死にたいんだ?」
「分かりません」
「いつそうなる?」
「365日毎日」
「一日中か?」
「はい」
「そうか、それはキツイな」
「先生」
「何だ?」
「死んでいいですか?」
「それは困る!」
「どうしてですか」
どうせ、親が悲しむからとか、死ぬのはいけないことだからとか説教するに決まって・・・。
「俺が悲しいからだ。大事な生徒が死ぬのは困るからな」
「先生は、私が死んだら泣きますか?」
「ああ、泣くな」
「泣くんですか?」
「俺は、普段は泣かないと決めているが
大事な人が死んだ時だけは泣いていいと決めているからな。」
「そう、なんですか・・・」
「それでも死にたいなら、俺も一緒に死のう!」
「え!?何でそうなるんですか!!」
「一人で死ぬより、二人の方が寂しくないだろう」
「先生と一緒に死ぬなんて嫌です!」
「ふむ、困った子だな。」
あなたに言われたくないんですけど!?
結局、時々私は保健室に呼び出されては先生と話をした。
短髪で体格も良くてハキハキと喋る先生は
悩みなんて微塵もないように見えた。
卒業式。
「卒業したから言えるな。俺は水無月が好きだ。」
「え・・・わ、私も先生が好きです。」
クラスメイトが茶化しに入る。
生徒1「やーっぱり、篠田先生、水無月さんが好きだったんですね!」
「バレてたのか」
生徒2「だって、篠田先生が水無月さんのこと見る目優しかったですもん」
「平等に接していたつもりだったがな」
生徒3「バレバレでしたよ〜!」
生徒1「ねー!」
「しかし、分かってて黙っててくれたんだな。
良い生徒たちだ!」
生徒3「ちょっとー、恥ずかしいんで辞めてくださ〜い!」
「すまんすまん」
こうして、二人は卒業式と同時に交際をスタート。
その二年後、結婚した。




