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第七話 火村桜花

中央統制本部での出来事を期に、気持ちを新たに結束した第七戦隊。大会開催に向けて準備を始める-

中央統制本部での騒動を終え、帰路についた剣崎(けんざき)たちは今後の方針について話し合っていた。


「まず情報を整理しましょう。開催は今から2ヶ月後。この大会は個人戦と団体戦でルールが少し異なります。個人戦は予選が相手を倒すことでポイントを得るバトルロワイヤル形式で、ポイント上位30人が本戦のトーナメント戦に出場できます。団体戦は予選がなしで、4つのブロックに分かれた後、3対3のトーナメント戦となっています。そしてどちらも戦闘不能状態になる、意識を失うのどちらかで勝敗を決めるようです」


桐生(きりゅう)が丁寧に説明する。


「誰がどこで出るかが重要だな」


剣崎(けんざき)も頭を抱える。どのバランスで出場すればいいのか。それに応じて訓練内容も多少異なってくる。すると火村(ひむら)が口を開いた


「アタシは個人戦の方に出たい」


みんなが火村(ひむら)の方に注目する。


「お前は団体戦でもやれると思うが」


「いや、アタシは個人戦に出る。そして、この前のリベンジをする」


この前、というのは八塚(やつづか)との決闘のことだろう


「そうか、よしなら個人戦1人目は火村(ひむら)で決定だあとは重複出場の俺とあと一人は...」


「私が出る!」


元気よく手を挙げたのは出雲(いずも)だった。


「私の異能力ね、仲間が近くにいると巻き込んじゃうことも多くて、1人の方がやりやすいの!それから...私もこの前の決闘は悔しかったから。」


珍しくいい顔をしている、この2人は強くなるだろう


「わかった。じゃあ個人戦はそれで決定。じゃあ団体戦は、桐生(きりゅう)神門(みかど)と俺でいいな」


「バランスがいいですし、異論はありません。」


「わ、わたしも、それで、いい、です」


ということで俺たち第七戦隊は、個人戦火村(ひむら)出雲(いずも)剣崎(けんざき)、団体戦は桐生(きりゅう)神門(みかど)剣崎(けんざき)で決定した。


「じゃあこれから訓練開始だ!みんなで勝つぞ!」


「「おー!」」



「ねぇ、ちょっといい?」


みんなが今日は一旦休もうと部屋に帰った後、火村(ひむら)剣崎(けんざき)のところに来た。


「ん?どした?火村(ひむら)


すると火村(ひむら)口ごもりながら言う


「どうして、さっきは助けてくれたの?」


「どうしてって?」


すると火村(ひむら)はポツポツと話しだした


「だってアタシ、アンタのことずっと無視してたし、敵視してたから、その、」


そう言いかけたところで剣崎(けんざき)が割って入る。


「仲間を助けるのに、特別な理由が必要か?」


「え?」


火村(ひむら)がキョトンとする


「お前は俺の部下で、大事な仲間だ。その仲間が困ってるんだ。助けるのは当然だろ?」


火村(ひむら)が必死で言う


「で、でも!アタシずっとひどい態度で、」


「お前が俺になにか思うところがあって毛嫌いしてるのはわかるよ。でもそれはお前が俺を嫌いな理由だ。俺がお前を嫌う理由にはならないだろ?」


すると火村(ひむら)火村(ひむら)驚いて固まってしまった。


「だったら!なんであの時は!助けてくれなかったの!」


目に涙を浮かべながら怒りを露わにする


「アンタは覚えてないのかもしれないけどね、アタシはずっと覚えてる!6年前、アンタはアタシの姉さんを殺した!」


その時、剣崎(けんざき)もはっきり思い出した。

6年前、魔神王が襲来する前日、剣崎(けんざき)ら『七聖』はそれぞれ部隊を率いて《(ゲート)》の対応をしていた。

魔物には2種類あり、こちらの世界で進化、繁栄した魔物、異世界から(ゲート)を通じて送り込まれる魔物の2種類だ。

その時、複数の高危険度(レート)(ゲート)》が発生して、剣崎(けんざき)もそのうちの1つを担当していた。しかし、想定よりも魔物の数が多く、苦戦を強いられていた。そして数匹の魔物が逃げ、住宅街に向かっていった。その時、この先に自分の家族がいると、その魔物を追った女隊員がいた。その名前が


火村楓(ひむらかえで)...」


「!...そうよ、(かえで)姉さんは魔物を追ってうちの近くまで来たわ。それで私たちを逃がしたあと、大量の魔物相手に1人で戦った。そしてアタシが戻った時、アンタが、姉さんに剣を突き立てるのを見たのよ!」


そういう事か。たしかにあの時赤髪の少女が泣きながら駆け寄ってきた。あれが火村(ひむら)だったのか。なら、()()()()()()()


「お前が(かえで)の言っていた妹だったのか」


「!気安く姉さんの名前を呼ぶな!」


火村(ひむら)の拳が剣崎(けんざき)の頬を撃ち抜いたでも、剣崎(けんざき)は避けず受け止めた。


「?!何を...」


困惑を隠せない火村(ひむら)に俺は続けた。


「あの時俺が追いついた時には(かえで)は虫の息だった...素人目に見ても助からないと分かるほどにな。」


「だからトドメを刺したって?!そんなので納得するわけないでしょ!」


「わかってる。でも(かえで)に頼まれたんだよ。『もう楽にしてください』って」


「そんなこと...!」


「それから俺はあいつから遺言を預かった」


「?!」


あの時、剣崎(けんざき)が到着した時、大量の魔物の死体の中に倒れていた(かえで)は、既に致命傷を負っておりとてもじゃないが助かる状態ではなかった。自分でもそのことは察していたのか、剣崎(けんざき)が来たのに気づくと、あの子は安心したように微笑み、最後の頼み事を2つした。1つは楽にしてくれ、もう1つは、1人残してしまった妹への最後の言葉


「『私はあなたが世界で1番大切だった。それはこれからも変わらない。だから、どうか幸せになって欲しい。いつまでもいつまでも愛している』と...それから...」


剣崎(けんざき)はポケットから小さな袋を取り出した


「妹のプレゼントだっていつも大切そうに使っていたぞ」


袋の中には少し色あせた、黄と緑のシュシュ。姉の誕生日にたった1人の妹からプレゼントしてもらった...宝物


「!...姉さん...」


火村(ひむら)は今は亡き姉の温もりを思い出したように泣き出した――


「もう大丈夫か?」


火村(ひむら)しばらく泣いた後、頃合を見て声をかけた。


「ええ、もう大丈夫。それとごめんなさい。アタシの勘違いで」


「それはお前が気にすることじゃない。それにそんな顔してたら姉さんが浮かばれねぇぞ?」


あくまで、伝えるのが遅くなった俺が悪い。火村(ひむら)が謝ることなど何もない。


「そう、ね。そうよね...」


そして姉の形見でもあるシュシュを大事そうに胸に抱いた。


「ありがとう。頑張って私の中で整理はつけるよ...これから改めてよろしくね、(こう)


その時剣崎(けんざき)は初めて火村(ひむら)の心からの笑顔を見た気がした。


―――二ヶ月後


「これより、『MAA武闘大会』を開催します!」


中央統制本部のすぐ横、巨大なドームと大量のスタンド席を併設した闘技場にマイクの音声が響く。《MAA》全戦線全部隊が入ってもまだ少し余裕のあるほどの広さを誇るこの闘技場は、普段は公共施設として一般開放しているほどだ。しかし今はMAA武闘大会開催にあたり、貸切としている。

そして司会兼実況の女が説明を始めた


「まずは簡単に説明を行います!今回この闘技場には、ステージにのみ特殊な結界が貼られており、その効果でどれだけダメージを受けても結界を出れば元通りになります!魔術も異能力も思う存分使用してください!個人戦、団体戦、共に優勝者には豪華賞品もあるらしいのでぜひ頑張ってくださいね!細かいルールは事前に配布したプリントを確認してください!開催は3日間!1日目は個人戦予選のバトルロワイヤルを行い、2日目は個人戦、3日目は団体戦となっています!それではMAA武闘大会1日目、スタートです!」

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