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第十七話 火村桜花のリベンジ

決勝トーナメント第1回戦。過去の雪辱を果たすべく、火村は覚悟を決めて立ち向かう────

『それでは!第1試合!始め!』


両者一斉に駆け出した。


「さぁこい!爆発娘!」


「爆発娘じゃないっての!」


お互いほぼ同時に技を放つ


「スキル『爆炎咆哮(ばくえんほうこう)』!」


「炎属性魔術『燃える炎の嵐(フレイムストーム)』!」


威力はほぼ互角。技どうしがぶつかり合い、相殺される。


「クッ!」


「お?前より火力上がってんじゃねぇか。どんどん来いよぉ!」


続けざまに八塚(やつづか)は杖を構える


「雷属性魔術『轟く雷鳴(サンダーボルト)多重展開(アクセラレーション)


『おぉっと!あれは、1つの魔術を同時に複数展開する多重展開(アクセラレーション)だぁ!これはかなり高等テクニック!』


通常、魔術を行使する際は魔法陣を構築するのにかなりの集中と魔力制御を要する。故に、並の魔術師は魔術ひとつ放つのも一苦労なのである。それを同時に複数構築する高等技術。そんなスーパープレーを見せられた実況にも思わず熱が入り、観客の声も上がる


「っ!スキル!『爆進駆動(ばくしんくどう)』!」


たまらず、火村(ひむら)は高速移動で、後退。その勢いで、空高く飛び上がる


「スキル!『手榴弾(グレネード)』!」


魔力で作り出した手榴弾を大量に投下する。しかし


「雷属性魔術『天穿つ雷撃(ファランボルト)』」


全て空中で撃ち落とされ、さらに追撃もしてくる


(相変わらずの魔力制御...!迂闊に飛び込めば即丸焼きね...)


そして一旦距離を取る。


「どーしたよ!逃げてばっかりでよぉ!やっぱり前と変わってねぇのか?」


火村(ひむら)はキツく歯噛みする。絶妙な距離感と火力で、攻撃はほとんど避けられ、防がれる。


(どうにか()()を打とうにも隙が無さすぎる...どうにか隙を作らないと...!)


そして意を決して走り出し、飛び上がっては手榴弾を落とすを繰り返す。


「おいおい芸が無ぇな!もっと他にも見せて見ろよ!」


そして杖を高く振り上げる


「炎属性魔術『炎の巨獣(サラマンダー)』!」


巨大なトカゲを模した炎が火村(ひむら)に襲いかかる


「なら見せてあげるよ!」


そう言って、トカゲを爆発で吹き飛ばすと、またしても大量の手榴弾を投げつける


「だから変わんねぇっての!」


しかし、今度は八塚(やつづか)よりも少し上空で爆発。強烈な閃光と、耳をつんざく轟音を響き渡らせる。


「あ?!クッソ!閃光爆弾(スタングレネード)か?!」


強烈な閃光と轟音で、一時的に視覚と聴覚を奪われる。


(来た!今だ!)


そして着地した火村(ひむら)は技を構築する。


「この技はね、文字通り()()()()()()()()()発動できないんだよ!」


そして火村(ひむら)の上空が魔力で満たされる


「スキル!『広範囲爆撃(エクスプロージョン)』!」


スタジアム全体を覆うほどの広範囲の爆発が、八塚(やつづか)を襲う。


(これなら撃ち落とす事も、避けることもほぼ不可能!防ぐにしてもダメージは入るはず!)


火村(ひむら)の思惑通り、八塚(やつづか)は、ボロボロで、片膝を着いていた。


(体勢を崩した!今なら接近できる!)


しかしこの時火村(ひむら)はまだ気がついていなかった。()()()()()()()()()()()()()()()。そして至近距離に飛び込み、拳を振り上げる


「スキル!『爆裂拳(ばくれつけん)』!」


ドォン!と地響きにも似た音が響く。


(手応えあり!これで...?!)


しかし、火村(ひむら)の拳は受け止められていた。いつの間にか八塚(やつづか)の手に握られていた()()によって


「好機と見て懐に飛び込んだのは愚策だったなぁ!俺の杖は()()()なんだよ!」


そのまま赤と黄色が基調の長剣に振り払われる。


『ま、まさかあれは!八塚(やつづか)隊員の『|古代遺物《アーティファクト』だぁ!?』


(ゲート)》内の攻略を進める中で稀に発見される武器や道具の事を総称して古代遺物(アーティファクト)と呼ぶ。その性能は計り知れず、研究部が日々解析を重ね、やっとの思いで開発した数々の魔道具でさえも、遠く及ばない宝具である。しかし古代遺物(アーティファクト)には意思が存在し、主を選ぶため、組織全体でも使用者は少ない。そして、古代遺物(アーティファクト)は、自らの名を呼ぶことでそれに呼応するように本来の姿を現す。


「魔剣『断魔の剣(だんまのつるぎ)』」


普段は杖という名の()にその刀身を隠した、魔を断つ剣。


(杖が剣に?!でもこれで魔術は放てないはず!)


そして迷わずスキルを発動する


「スキル!『爆炎咆哮(ばくえんほうこう)』!」


すると八塚(やつづか)は剣を持っていない方の手を挙げる


「炎属性魔術『燃える炎の嵐(ファイアストーム)』!」


すかさず魔術を発動し、相殺した。


「!杖なしでこの威力?!」


すると八塚(やつづか)はかけ出す


「ハッ!杖はあくまで補助程度だよ!それにこんなこともできるぜ!」


またしても魔術を構築する


「雷属性魔術『稲妻の足跡(ライトニング)』!」


すると八塚(やつづか)の足元を雷が纏い、一瞬で距離を詰められる


(強化系魔術?!扱いが難しくて殆どの魔術師は使わないのに、こいつ...!)


そして剣撃を魔力で受けようとして、モロに食らった。


「ガハッ?!」


確実に防御したはずなのにモロにくらい、火村(ひむら)が困惑する。すると八塚(やつづか)が上機嫌な様子で言った


「防御したのになんで?って思ったよなぁ?俺の『断魔の剣(だんまのつるぎ)』の能力は、()()()()()()()()()()事だ。つまり魔力を使った防御は完全に無視できるってことだよ!」


続く剣撃を今度は受けずに全て避ける。思わず火村(ひむら)も逃げに徹する。

総合的に魔術師は近接戦闘を苦手とする。例外もあるが殆どの魔術師は懐に入られると為す術はない。かと言って魔術媒体を手放して剣を持てば、魔術の効力は大幅に下がり、本来の力を発揮できない。

しかし八塚(やつづか)の規格外の魔力制御と相応の魔力量であればこんな芸当も可能なわけである。


(剣術の方もかなりの腕だし、魔術までいきてる!何より魔力の遮断が厄介すぎる!クッ、(かなめ)ちゃんの時に学んだのに...!)


その間も八塚(やつづか)の猛攻は続く。


「どうしたおい!近接戦闘はてめぇの()()()なんだろ?!これぐらいでへばってんじゃねぇよ!」


依然として防戦一方の火村(ひむら)は精神的にもどんどん削られていく


(あ〜!マズいマズい!攻撃に転じるどころか、防御もおぼつかなくなってきた!このままじゃ...!)


その時、観客席から声が聞こえてきた




「...まずいな。完全に押されてる」


観客席から剣崎(けんざき)がボソリと言う。


「多分完全に気持ちで負けてますね。もしくは頭で考えすぎてるのか...」


「ちょっとおーかちゃんらしくないよね」



桐生(きりゅう)出雲(いずも)も心配をあらわにする。


(しまったな。修行で言ったことを鵜呑みにして、あいつ本来の力が出せてねぇ。どうすれば...)


すると、近くに座っていた防人(さきもり)が突然バッと立ち上がった。


「そんなものか!火村桜花(ひむらおうか)!」


突然、周りの喧騒にかき消されることなく耳に届く声があった。


「視界を広くもて!熱くなりすぎるな!そして、もっと自由にやれ!()()()()()()()()()()()!」


言われて、ハッと急に視界が晴れたような感覚になる。

そしてニッと笑った


「応!」


すると火村(ひむら)は1度煙幕がわりの爆破を起こし、後ろに飛びずさる。


(あくまでも防がれるのは()()()()、つまり物理的なダメージは入るはず...まだ上手く制御出来ないけど、やるしかない!)


フーと大きく息を吐き、集中を高める。


(ん?今度はなんだ?まだなにかあるのか?)


明らかに雰囲気が変わり、八塚(やつづか)も警戒を強める。


「炎属性魔術『火矢(ファイアアロー)』」


無数の炎の矢が火村(ひむら)に飛来する。

しかし、火村(ひむら)は直撃も気にせず、避けることなく、スキルを発動する


「スキル!『爆発推進(ロケットブースト)』!」


次の瞬間、火村(ひむら)は目にも止まらぬ速度で、一直線に突っ込んできた


(早い?!だが...)


「魔力は通じねぇぞ?」


そう言って、長剣を構える。しかし


ガキンッ!


「?!」


火村(ひむら)が、剣を蹴り上げた

そして強力な推進がそのまま乗せられた拳が八塚(やつづか)の顔面を撃ち抜いた。モロに食らったため、八塚(やつづか)はそのまま後ろに倒れる


「防げるのはあくまで魔力、でしょ?さっきも、爆風で飛んだ小石には当たってたから、()()()()()()()なら通ると思ったんだよ...当たりだったみたいね」


疲労とダメージで弱々しいが、どこか誇らしげに言う。


「私の...勝ちだ...!」


八塚(やつづか)は大きく息を吐き、薄く笑った


「参ったよ、完敗だな...」


そしてアナウンスが入る


八塚(やつづか)隊員の降参を確認!よって勝者は〜!火村桜花(ひむらおうか)隊員!』


巨大な歓声が上がる。


「やったな」


「流石、桜花(おうか)ですね」


「やったぁぁー!おーかちゃんおめでとぉーー!」


その瞬間、緊張の糸が切れたのか、はたまたスキルの反動か、急に脱力してその場に座り込んでしまった。そしてとびきりの笑顔で、観客席...剣崎(けんざき)達の方に向かってブイサインを作った。

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