第十三話 決勝トーナメント
遂に始まる個人戦本戦。各々が決意を固める中、七聖の最後の一人の秘密が明らかに━━
『さあさあ皆さんやって参りました!遂に個人戦、決勝トーナメントの開幕です!』
すっかり慣れたアナウンスと歓声を背に火村は開会式に望んでいた
『改めて少しルールを説明します!本戦はトーナメント形式!1体1で勝ち進んでいき、最後に勝った人が優勝になります!戦闘は自由!相手が戦闘不能になるか、降参するまで行います!結界があるので、命の心配はありません!それでは、30分後試合スタートです!』
そして一時休憩となった。その間に火村は剣崎達と対戦相手の確認にトーナメント表を見に行く。
「えーとあたしの対戦相手は...」
「「あ、あった」」
すると、隣にいた隊員と声が被る。思わずそちらを見ると
「あ、この前の爆発娘」
「あ!八塚悠仁!ってあたしは爆発娘じゃない!このデカブツ!」
「あぁ?んだとコラ」
会って早々いがみ合う2人の間に剣崎と泉が割って入る。
「まあまあ落ち着け火村」
「おい悠仁、開口一番ケンカを売るな」
お互い、散歩中の犬が吠えあっているようになって、苦笑する。
「よぉ紅。お互い大変だな。」
「あぁ。昔のお前程じゃないけどな。」
そう言って軽口を叩きながらも手元では2人がいがみ合っていた。
そして自分の名前を探しだすと、泉も気づいたようだった
━━━━1回戦Dブロック剣崎紅対泉珀治
「ハッ、意外と早い再戦だったな」
「だな。もちろん手加減無しだぜ?」
すると、泉は大笑いしながら言った
「舐めたこと抜かしてんじゃねぇよ。お前こそ6年ブランクあるんだから手加減してやろうか?」
今度は剣崎が笑いながら言う
「俺を誰だと思ってんだ?それくらいのハンデあってトントンなんだよ。」
お互い笑ってはいるが、漂う2つの殺気が周りの空気を震撼させている。
いつの間にか、自分たちよりもいがみ合っている上司を見て、火村と八塚はすっかり縮こまっていた。
すると一緒に見に来ていた桐生があれっと気づいたように言った。
「そういえば《七聖》はもう1人出てないですよね」
その時待ってましたと言わんばかりに神門が口を開いた
「あ...たぶん、《亡者の軍勢》ですね!《七聖》の中でもかなりの実力者だった方です!そういえば、大戦以降、あまり活躍を聞きませんね。」
すると剣崎と泉は顔をしかめる。
黙り込んでしまった剣崎に出雲が顔を覗き込む
「どうしたの?こーくん」
すると泉が間に入る
「すまねぇ。ここでは話しにくくてな。それに...こいつにはかなり酷な話なんだ...」
そう言って剣崎に目配せすると、剣崎はゆっくり頷く。
「こいつらは、知っておいてもいいと思う」
全員がきょとんとする中、泉は長く息を吐き、すこし悲しそうな顔でそうか、と小さく返事をした。
「場所を移そう」
そして、着いてこいと言わんばかりに歩き出した。
一行は広めの談話室に集まった。そして道中で出会った柊と防人も着いてきていた。
そして重々しく口を開く
「いいか、これから話すことは一般には公開してない事だ。絶対に他で話すなよ。」
そして《七聖》の3人は顔を伏せる。一息吸って泉が口を開いた
「あいつは...《亡者の軍勢》瓦木一晴は...6年前の魔神王との戦いで...死んだ。」
一瞬、時が止まったように全員が呆然とする。死んだ?いきなり突きつけられた英雄の死を誰1人受け止められないでいた。
すると柊が突然大声をあげる
「行方不明だよ!まだ死んだと決まった訳じゃ━━」
「じゃあなんで!もう6年も音沙汰無しなんだよ!」
柊の言葉を遮り、泉は声を荒らげた。そしてハッとなって頭を下げる
「悪い、つい気が立っちまった...」
柊も続いて頭を下げる
「いや、私も突っかかってごめん...」
そして泉は向き直り、話を戻す。
「...確かに、まだ死んだと決まった訳じゃねぇ。一応行方不明扱いだ。でも、これだけ探して手がかり1つ出てこないなら...な。」
すると、泉はタバコを取り出し、火をつけた。
「あれ、隊長、タバコ辞めたんじゃなかったんすか?」
星詠が不思議そうに聞いた
「いいんだよ...あいつの話する時は誰かが吸うって決めてんだ」
「...理由を聞いても?」
桐生がおずおずと聞く
「...あいつがな。好きだったんだよ。いつもいつもずっと吸うもんだから、しまいにゃ朱音がブチ切れてな。タバコ全部燃やしちまったこともあったなぁ」
そう言って懐かしそうに笑う。話に出た当の柊もそんな事もあったな、と微笑をこぼしている。
「...だからあいつを少しでも思い出す為に、吸うことにしてるんだ。」
そして泉はポツリポツリと語り始めた。




