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File21 -旅は道連れ、世はいずこ

おや、いらっしゃい。

……いや、私はいつもここにいるよ。


まぁ、つまらないと言えばつまらなくはある。

ただ君のように話を聞きに来てれくれる者がいるから退屈はしのげるさ。


では本日のお話だ。

題して「旅は道連れ、世はいずこ」。


◇◆◇◆◇◆


『紛れ込む』という現象がある。

例えば……。

書類整理中に見知らぬ書類が紛れていたり。

人混みに紛れ見失ったり。


これは、そんな紛れ込みについての話だ。


さて。

君はバスツアーを知っているかい?

駅のロータリーで大きな観光バスが停まっているのを見た事があるはずだ。


ふふ、お察しの通りバスツアーに紛れ込む話だ。

だが乗員・乗客が、という事ではない。

紛れ込むのはバスなんだ。


バスツアーというのは大体1~2台で構成されるんだが、ごく稀に1台紛れ込む事がある。


特にミステリーツアー、目的地がわからないツアーの時に紛れる事が多いらしい。

それに対して、誰も違和感を持たないそうだ。


ん?

いやいや、その紛れたバスに乗ったって害はないんだ。


乗客はしっかりと帰ってくる。

ありきたりな『乗ったら最期』というわけではないんだよ。


それだけなら、不思議なバスが増えたで終わるんだが……。


あぁ、人が入れ替わったとか陳腐なものじゃあない。

確実にその人が帰ってくる。


では、なにが問題なのか。

2つあってね。


1つは、乗客達のツアー中の記憶がない事。

もう1つは、乗客がたまに買ってくるお土産の賞味期限が2095/12/05だということだ。


その日付もたまたま確認したのが、その期限だった形にすぎない。

年月日はまばらだが、共通して必ず未来の日付ということだ。


記憶はないのにお土産は許されるなんて、おかしくないかい?

仮に未来の情報を持ち帰らせたくないならお土産も禁止のはずだ。


そのバスに乗った人は、いったいどこに行ったんだろうか……。


お土産? あぁ、中はお菓子だよ。

ごく普通の、それこそ道の駅で売っていそうな地元銘菓。


どこの誰が調べたかわからないが、成分分析でも不審な点は見つかっていない。

本当に、単なるお菓子なんだ。


以前、怪奇蒐集家の友人 茂木 センテンス氏がそれを持ってきてくれてね。

この話も彼から聞いたんだ。


貰って食べたけど……。

まぁ、特筆するものでもなかったな。

口がぱさついたくらいだ。


◇◆◇◆◇◆


さて、今回はどうだったかな。

紛れ込むバスという単純なものだったが。


タイトル、か。

捻りはないよ。皆で旅に行って、どこに行ったのか、というだけ。


私かい?

私はちょっとした事情があって旅とかは行けなくてね。


そうだ。

もし君がそのバスに出会えたら、心ゆくまで楽しんできてほしい。


覚えていないだろうけど。

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