第四十五話
*土御門久脩*
まさかあの信長様が一撃とは……。
しかも龍人化した身体を真っ二つ……。
「おい久脩。状況の説明をしろ」
『畏まりました。信長様の胴は真っ二つに斬られており、後暫くの生命かと。また、骨の者に関しては、本当にただの骨になったようです。先程魂が天に召されるのを確認致しました』
「魂が天に……亡霊の類だったか」
『信長様を斬るや否や直ぐに成仏した為、かなりの怨念をあの一撃に込めたのでは無いかと思われます』
「怨みの一撃……そして今は只の骨とは面白い」
『はい。あれほど強大な怨みを買うほど、信長様の力もやはり強大であったと改めて認識した次第にございます』
「ふんっ。嫌味なヤツだ」
『恐れ多い限りです。』
「うむ。久脩。俺はどうやらここまでのようだ。また会おう!!」
『畏まりました。直ぐお供させて戴きます』
⭐︎⭐︎⭐︎
結界が壊れた事で今世に繋ぎ止めていた力が失くなっていくのが分かる。
思いもよらぬ形であったが、ようやく私の努めも終わりを迎える事が出来そうだ。
前世で信長様に仕え、今世では敵となり、今世に関しては封印してから信長様の生まれ変わりと分かった時の驚きは今でも忘れない。結果として生の大半を信長様と共に過ごすとは思いもよらなんだ。
そして最後を見届ける事が出来て本当に良かった。
左近、一刀斎、五右衛門に良い報告が出来そうだ。
しかし此の骨は一体何だったのか……前世、今世含めあれほど強大な力を見たのは初めてだ。
あれほど強大な力だ、強い怨みを持つ魂の集合体の類だろうか……理の域を超えた存在とでもしておくか……良い土産話になりそうだ。
さて……どうやら限界のようだ……。
最後の一仕事をせねば……。
結界が破壊された事で龍脈が荒れている。
多分此の骨が出現した時点で荒れていた龍脈が更に荒れている……。
このままでは大規模災害は免れない……。
残りの力を全て使い治める事が出来るかどうか……。
荒ぶる龍よ……我土御門久脩の命を持って鎮まらんこ……とっ……?
なっ……!?
何だ……アレは……。
魂?
天から魂が降りて来る……?
もしや此の骨の魂かっ!?
そ……そんか事があるのか!?
一度成仏して魂がまた舞い戻るだと!?
おおぉぉぉ……また骨と魂が一つに……。
何と言う事だ……。
何だ?
腕を探しているのか?
あ……歩き出した……。
取れた腕をどうする?
なっ!?
まさか着くのか!?
自己……再生だと……?
亡霊がそのような事をするものか否か……。
やはり此の者は只の亡霊では無いか……。
今度は何だ?
信長様の亡骸をどうするつもりだっ!!
貴様っ!!
駄目だ……。
力失く念話が出来ぬ……。
なっ!?
きっ……消えた……?
信長様の亡骸をどこへやった!!
何と言う力……。
こちらへ来るっ!?
なっ……何をする……。
何も……しない?
何だった?
何がしたかった?
解らぬ……。
ただ近くで分かる事が一つあった……。
唯ならぬ圧を感じた。
それしか解らぬ……。
理を超えた存在の事など解る筈も無いか。
何と言う事か……。
此の者が現れた事で……。
力を全て失くしてしまったようだ……。
このままでは……龍脈の鎮静が……。
済まぬ……もう……。
そのまま逝く事……。
許し………。




