第十六話
*如月蓮*
どうしてこんな事になったの?
召喚、異世界、龍王ドゴラン、石川五右衛門、島左近、伊藤一刀斎、土御門久脩。
これらのワードは聞き覚え、見覚えがある。だってそれは私が昨日までプレイしていたゲーム、
『異世界無双』
このゲームに出てくる名前だから。
多くのヒット作を出している無双シリーズの中で、唯一のクソゲーと言われた作品。流行りのゲームが欲しいって言ったのに、安いからという理由で買ってくれた作品。達成率100%になったら何でも欲しい物を買ってくれると約束した作品。評判通りのクソゲーぶりで、達成率100%なんて絶対無理だと思いながら6年やり続けた作品。そして昨日ようやく100%達成した作品。
最初に選択出来るキャラは4人しかおらず、その4人をクリアすると、次は異世界モンスターを使って遊べるようになるんだけど、スライムとかゴブリンとか雑魚過ぎて、売りのハズの無双が全く出来ないクソ仕様になっていた。
そんなクソ仕様を何とか気合いで乗り越えて、ようやく約束を果たしたと思ったのに、なんでその世界に来る事になってるの? しかもプレイしていた時から四百年後の世界みたい。このゲームにニ作目なんてあったかな?
そんな事はどうでもいいの。
私はこの忌まわしいゲームから逃げる事が出来ないのだろうか。
「蓮ちゃん!」
ん。
「やっと気づいた!! さっきからずっと呼んでたんだよ? 何か考え事?」
この子は同じクラスの早乙女結衣。色々と気がつく子。とても優しい子。
「んっ? 悩みがあれば相談しろよ? こんな世界に一緒に来た仲間なんだからさ!」
こいつも同じクラスで生徒会長の桐生隼人。元気が取り柄のバカでデリカシーのない奴。
「帰りたいなって、考えてた」
「だよねっ!! 私も帰りたい〜!!」
「そんな事かっ!! 俺はやるぜっ!! 何せ英雄らしいからな!! 困ってる人を助けようと思う!!」
あぁ……早く帰りたい。
⭐︎⭐︎⭐︎
今日は城の外に出て初実戦の予定。この城はゲームでも最初の城、名前もそのままファースト城。
ゲームと同じなら、多分行き先は最初の平原かな。出現する魔物はスライムや角ウサギくらい。無双してなんぼのゲームなので、かなりの雑魚。
「皆様お疲れ様です。ここが本日実戦して頂く最初の平原です。ほぼスライムしか出ませんが、たまに角ウサギがでます」
私達を担当してくれているチュートさんが教えてくれたのは、やはり最初の平原。ゲームだとここでレベルを上げたらチュートリアルが終わる様になっていた。スライムルートの最難関がこの最初の平原でのレベル上げだったな。
そんな事を考えていたらスライムが出てきた。ゲームと同じ、小さく丸いフォルムがなんとも可愛いモンスターだ。
「こちらがスライムです。攻撃は体当たりしかしませんが、刺激するとたまに分裂します。刺激する前に倒しましょう」
「よしっ!! 俺からだっ!!」
隼人の一振りでスライムは真っ二つに割れ、黒い霧となって消えた。
「流石ですっ!! 最初の一振りで倒せるなんて流石英雄様っ!! 倒した魔物は霧となって、このように魔石だけ残ります。これは街で換金出来るので集めて下さい。魔石は色々な燃料として使われている便利な道具です」
そう言えば魔石を換金して新しい武器や防具を買っていたな。成る程、魔石は燃料として使われていたのか。
「次は魔法で倒すっ!! ホーリー!!」
隼人の手から飛び出した光の球がスライムに直撃し、スライムは霧になって消えた。
「ホントに魔法使えた!!」
凄い。私も魔法を使ってみたけど魔物を倒せるような魔法では無かった。暫く武器で頑張ろう。
「蓮ちゃん見てっ! 私も魔法使えたよっ!」
結衣も凄い。隼人も結衣も魔法と武器を使ってスライム無双をしている。
ん。あれは一緒に召喚された……確か田中くん。彼も魔法使えない? 頑張れ。
⭐︎⭐︎⭐︎
「今日は終了です。今日一日で皆様レベルが上がったかと思います。レベルが上がればスキルポイントも増えるので、好きなスキルを獲得してご自身を強化されて下さい。それでは皆様お疲れ様でした!!」
ん。
「情報開示」
ーーーーーーーーーーーー
名前:如月 蓮(15)
種別:人間
職業:黒魔道士
レベル:2
スキルポイント:2
固有スキル:闇属性魔法
スキル:魔力強化
装備:魔道士の杖
異界の制服
ーーーーーーーーーーーー
ホントだ。レベル上がってる。スキルポイントを使ってスキルを増やすのもゲームと一緒だ。
ゲームだとここでチュートリアルが終わって、好きなシナリオを進める事が出来た。ここはどうだろう。
ここまでゲームと同じ流れだし、帰るにはゲームをクリアするしか無いかな。ラスボスのドゴランって、確か織田信長が転生した設定だったよね。ゲームだと最後に解放されるキャラがドゴランで、世界征服シナリオは面白かった。凄いチートキャラだった。そんなドゴランに勝てるの?
ホント早く帰りたい。




