ヨモギと妖力 2
今回長めのお話になっております。
次の日、絹江さんのお店に向かう。
絹江さんは呉服屋の女将さんだ。
お店の裏に周り私は声をかける。
「こんにちは。蓬莱堂の桜花です。」
「いらっしゃい桜花ちゃん。待ってたわよ。離れに案内するわね。」
絹江さんにそう言われて離れに案内してもらう。
「嫁子さん…伽耶さんは相変わらずですか?」
「ええ…今日も食が細くて乳の出も悪いの…このままじゃ…」
「分かりました。今日はそれを診る為に来たんです。」
「お願いします。大事な嫁さんなの。」
絹江さんは不安そうな顔をしていた。
産後の肥立ちがずっと悪くて心配なのだろう。
そうこうしていると、離れに着いた。
「ここで伽耶さんは療養しているわ。」
「ありがとうございます。終わるまで人払いをお願いします。妖力を使いますので。」
「分かったわ。終わったら教えてね。」
「はい。では、入りますね。」
離れの入口で絹江さんと別れる。
「蓬莱堂の桜花です。伽耶さん、入りますね。」
声を掛け部屋に入る。
部屋の中には青白い顔をした伽耶さんが横になっていた。
「失礼します。少し触りますね。」
伽耶さんの手を取り妖力の流れを確認する。
予想通り妖力がかなり弱くなっていた。
難産だったと聞いていたが、ここまで弱っているとは…
妖力丸を飲ませただけでは全快にはならない。
人払いをしてもらって正解だった。
「…桜花ちゃん。来てくれてありがとうございます…」
弱々しく話す伽耶さん。
今日来て正解だった。遅かったら手遅れになっていだろう。
「伽耶さん。秘薬の妖力丸を持ってきましたが、正直これだけでは妖力が全快するか怪しいです。なので私の妖力を分けます。そうすれば妖力は回復するでしょう。まずはこの妖力丸を飲んでください。」
私は伽耶さんに妖力丸を飲ませた。飲み込んだのを確認してもう一度妖力を測る。
最初の状態よりは良いが、あまり回復はしていない。
私も妖力丸を飲み、妖力を底上げする。
「これから私の妖力を伽耶さんに流し込みます。身体が温かくなってきたら教えてください。」
そう言って私は人の姿からあやかしの姿に戻る。
この方が妖力を送りやすい。
「いきます。」
いつもは隠してある耳と2つの尾。腰まで伸びた髪。これが本来の私の姿。
この姿でなければ妖力の譲渡は出来ない。
最初は細く、徐々に送る量を増やしていく。
そして最大まで妖力を高め伽耶さんの身体に流していく。
「…温かい。桜花ちゃんの優しく力強い妖力を感じます。」
「感じられるようになったらあと一息ですね。このまま流し続けます。」
「はい。ありがとうございます。」
妖力を注ぎ込むこと半刻、漸く半分以上回復してきた。
「身体がぽかぽかと温かいです。」
「良かった。後は妖力丸で回復しますよ。」
ここまでくれば、妖力を流すのをやめて人の姿に戻る。
「ありがとう桜花ちゃん。桜花ちゃんが来なかったら危なかったです。お義母さんにも迷惑をかけてしまいました。」
「私の事は気にしないでください。むしろ来るのが遅くなって申し訳ない。」
「そんな事ありません。緑香をもう一度抱けます。」
「まだ油断は禁物ですよ。1日3回妖力丸を1粒飲んで、ヨモギ茶とタンポポ茶も飲んでくださいね。伽耶さんには私の夏の着物を織ってもらわないと困りますから。」
「ご予約承りました。本当にありがとう。」
「では、絹江さんを呼んできますね。」
「はい。お願いします。」
そして私は離れを出た。出たところで絹江さんが待っていた。
「桜花ちゃん。伽耶さんの容態は…」
「妖力がある程度回復しましたので、食も時期に戻ると思います。薬も置いてきたので7日もあれば全快しますよ。」
「本当にありがとうございます。」
「大したことはしておりませんよ。ちょっと夏着物の予約をしただけです。」
笑顔でそう話すと絹江さんも笑っていた。
伽耶さんが織る反物はとても美しく評判が良い。
伽耶さんは元々機尋というあやかしなので機織りがすごく上手なのだ。
「では、私はこれで。」
「お代は…」
「今回は夏着物1着でお願いします。」
「分かりました。藍染めの着物とそれに見合う袴を用意しますね。」
「楽しみにしてますね。」
こうして伽耶さんの治療を終えて家路に着く。
流石に妖力を使い過ぎたので、今日は何もせず過ごそう。
まだ日は高いが湯を用意してゆっくり浸かろうかな。
そう考えながら走早に帰ることにした。
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