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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第一章 はじまり
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ヨモギと妖力 2

今回長めのお話になっております。

次の日、絹江さんのお店に向かう。

絹江さんは呉服屋の女将さんだ。

お店の裏に周り私は声をかける。


「こんにちは。蓬莱堂の桜花です。」

「いらっしゃい桜花ちゃん。待ってたわよ。離れに案内するわね。」


絹江さんにそう言われて離れに案内してもらう。


「嫁子さん…伽耶さんは相変わらずですか?」

「ええ…今日も食が細くて乳の出も悪いの…このままじゃ…」

「分かりました。今日はそれを診る為に来たんです。」

「お願いします。大事な嫁さんなの。」


絹江さんは不安そうな顔をしていた。

産後の肥立ちがずっと悪くて心配なのだろう。

そうこうしていると、離れに着いた。


「ここで伽耶さんは療養しているわ。」

「ありがとうございます。終わるまで人払いをお願いします。妖力を使いますので。」

「分かったわ。終わったら教えてね。」

「はい。では、入りますね。」


離れの入口で絹江さんと別れる。


「蓬莱堂の桜花です。伽耶さん、入りますね。」

声を掛け部屋に入る。

部屋の中には青白い顔をした伽耶さんが横になっていた。

「失礼します。少し触りますね。」


伽耶さんの手を取り妖力の流れを確認する。

予想通り妖力がかなり弱くなっていた。

難産だったと聞いていたが、ここまで弱っているとは…

妖力丸を飲ませただけでは全快にはならない。

人払いをしてもらって正解だった。


「…桜花ちゃん。来てくれてありがとうございます…」


弱々しく話す伽耶さん。

今日来て正解だった。遅かったら手遅れになっていだろう。

「伽耶さん。秘薬の妖力丸を持ってきましたが、正直これだけでは妖力が全快するか怪しいです。なので私の妖力を分けます。そうすれば妖力は回復するでしょう。まずはこの妖力丸を飲んでください。」


私は伽耶さんに妖力丸を飲ませた。飲み込んだのを確認してもう一度妖力を測る。

最初の状態よりは良いが、あまり回復はしていない。

私も妖力丸を飲み、妖力を底上げする。


「これから私の妖力を伽耶さんに流し込みます。身体が温かくなってきたら教えてください。」

そう言って私は人の姿からあやかしの姿に戻る。

この方が妖力を送りやすい。


「いきます。」


いつもは隠してある耳と2つの尾。腰まで伸びた髪。これが本来の私の姿。

この姿でなければ妖力の譲渡は出来ない。

最初は細く、徐々に送る量を増やしていく。

そして最大まで妖力を高め伽耶さんの身体に流していく。


「…温かい。桜花ちゃんの優しく力強い妖力を感じます。」

「感じられるようになったらあと一息ですね。このまま流し続けます。」

「はい。ありがとうございます。」


妖力を注ぎ込むこと半刻、漸く半分以上回復してきた。


「身体がぽかぽかと温かいです。」

「良かった。後は妖力丸で回復しますよ。」


ここまでくれば、妖力を流すのをやめて人の姿に戻る。


「ありがとう桜花ちゃん。桜花ちゃんが来なかったら危なかったです。お義母さんにも迷惑をかけてしまいました。」

「私の事は気にしないでください。むしろ来るのが遅くなって申し訳ない。」

「そんな事ありません。緑香をもう一度抱けます。」

「まだ油断は禁物ですよ。1日3回妖力丸を1粒飲んで、ヨモギ茶とタンポポ茶も飲んでくださいね。伽耶さんには私の夏の着物を織ってもらわないと困りますから。」

「ご予約承りました。本当にありがとう。」

「では、絹江さんを呼んできますね。」

「はい。お願いします。」


そして私は離れを出た。出たところで絹江さんが待っていた。


「桜花ちゃん。伽耶さんの容態は…」

「妖力がある程度回復しましたので、食も時期に戻ると思います。薬も置いてきたので7日もあれば全快しますよ。」

「本当にありがとうございます。」

「大したことはしておりませんよ。ちょっと夏着物の予約をしただけです。」


笑顔でそう話すと絹江さんも笑っていた。


伽耶さんが織る反物はとても美しく評判が良い。

伽耶さんは元々機尋(はたひろ)というあやかしなので機織りがすごく上手なのだ。


「では、私はこれで。」

「お代は…」

「今回は夏着物1着でお願いします。」

「分かりました。藍染めの着物とそれに見合う袴を用意しますね。」

「楽しみにしてますね。」


こうして伽耶さんの治療を終えて家路に着く。

流石に妖力を使い過ぎたので、今日は何もせず過ごそう。

まだ日は高いが湯を用意してゆっくり浸かろうかな。

そう考えながら走早に帰ることにした。

読んでくださってありがとうございます。

お金で支払えない場合は物々交換です。

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