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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第四章 薫衣草とカミツレ(ラベンダーとカモミール)
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桜花倒れる。

桜花が決意した次の日、鋼牙が東の里にカミツレと薫衣草を探す旅に出た。


「いいかい。無理はしちゃだめだよ?」


「はい父様。行ってらっしゃい。」


そんなやり取りをして、鋼牙は出立した。

そして、その日から桜花は無茶をするようになった。

昼間は礼儀作法と里の事を今まで以上に学び、夕餉の時間を忘れて予習、復習に加えて薬師としての勉強もしていた。

大好きな湯浴みの時間や睡眠の時間さえも削って、ただ勉強に勤しんだ。

その合間に柊真の元にも通い、睡蓮の入浴剤を渡したり、話し相手にもなっていた。

柊真はまだ言葉を発する事は出来なかったので、桜花が一方的に話しているだけだった。そうして休まる時間の無い桜花を心配して、桃花が声をかけるが、


「私は未熟者なので、もっと頑張らないといけないのです。」


という言葉を放ち、休む事を拒否してきた。そんな日々を送っていた桜花の身体は限界を超えて倒れてしまった。倒れた原因は過労と睡眠不足だった。


「申し訳ありません…」


「だから言ったでしょ?無理は禁物だと。」


「でも、私は未熟者だから…」


「本当の未熟者は自己管理が出来ない人のことを言うのです。桜花ちゃんは詰め込みすぎなのよ。今日と明日はお休みです。これは決定事項ですからね。身体が悲鳴を上げているんだから、しっかりと休みなさい。」


「はい…母様…」


こうして強制的に休みを与えられた。

あの日から睡眠時間を削りひたすら勉学に勤しんできた私は、急に与えられた休みに戸惑いを隠せなかった。


「桜花ちゃんは充分頑張ってるわ。それなのに倒れてしまっては意味が無いでしょ?」


母様の言葉がとても刺さる。倒れてしまったのは事実だからだ。


「鋼牙さんとも約束したのに…」


「申し訳ありません…」


「桜花ちゃん。孫姫なんて呼ばれて頑張らなきゃって気持ちは分かるけど、無理は禁物よ。」


「はい…」


「今日は雑炊にしてもらうわね。後はゆっくり湯浴みして、ゆっくり眠りなさい。」


「はい…」


4日間の休みの間に体調を整える事を言い渡された。4日間は離れの部屋を出ない事を桜花に言ってから母様は部屋を出た。


まずは湯浴みからしないと始まらないので、湯浴みの準備をする。

今日の入浴剤は蓮の花にしよう。蓮の花には気持ちを落ち着かせる効果があるからだ。


湯に蓮の花を溶かして湯船に浸かる。

こんな風に湯に浸かったのは本当に久しぶりだ。1度湯船から出て身体を洗う。そして湯で泡を流す。その後、もう一度湯船に浸かる。

そして今までの事を振り返る。お飾りの姫になりたくなくて自分の許容範囲以上に勉学に励んでしまった。そして倒れてしまった。

そして、母様や御祖父様を心配させてしまった…

もっとやり方があったはずなのに、自分の考えだけで突っ走ってしまった。


「みんなに心配かけて…私はダメだなぁ…」


もう少し周りの事も考えなくてはいけない。私は里では孫姫という立場。人界の薬師としての桜花ではなく、孫姫としての振る舞いを意識しなきゃいけなかった。礼儀作法や勉学だけではなく、周囲に気を配る事が大切だったのだ。

そして、それは里だけでは無く、人界でも同じ事だと気が付いた。

今までも周りの人々に助けられてきた。

私には足りない部分がいっぱいある。

それを直ぐに補うなんて無理な話だ。

足りなければ、どうすればいいのか。

ここに居る間に少しでも学べれば良いな。

御祖父様や母様だけでなく、兄様にも話しを聞いてみたい。そうすれば今は見えないものが見えてくるかもしれない。そうと決めたけれど、今は静養して体調を整えよう。

そろそろ母様が雑炊を持ってきてくれるだろうと思い、湯船を出て浴衣に着替えた。

読んでくださってありがとうございます。

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