深窓の姫君―鋼牙視点―
※残酷な描写があります※
ここは屋敷の地下牢。限られた者しか立ち入る事が許されてない部屋だ。
そこには昼間、桜花を笑いものにしていた女中達が居た。
「この者たちが桜花を侮辱した者たちか。」
「はい鋼牙様。長様は暇を出せと仰っておりました。」
「父上も酷い事を…」
父上が‘暇を出す’というのは
‘妖力を封印して里を追放する’
という意味だ。
「まぁ…里の宝である桜花を侮辱したんだ。それが妥当だな。」
「わ…私達は何も知らなかったんです!」
「どうかご慈悲を…!!!!」
女中達が煩く喚いている。
「知らなかったら何を言っても許されるのか?お前達は自分が仕えている主の孫姫を侮辱したんだぞ?」
「そ…それは…」
「いい大人なら分かることだろ?これから処置を施す。ただの狐として余生を過ごせ。」
「いやあああああああああ!何でもしますからそれだけは!」
あやかしにとってはただの動物として過ごすのは一番の屈辱だろう。
桜花を侮辱した者達には良い末路だ。
「長である父上の決定だ。覆ることは無い。」
妖力を封印する処置はとても痛い。身を焼かれる程だと言われている。
「まずはお前からだ。」
「い…いや…ぎゃああああああああああ!」
猿轡をすれば良かったと施してから思った。
「次の者には猿轡をしておけ。」
「畏まりました。」
そうして次々と猿轡をされていく者たち。
「鋼牙様、準備が整いました。」
「ご苦労。これで静かになったな。次の者にも妖力を封印していこう。」
鋼牙は次々と術を施していく。
終わった頃には意識を失っている数匹の狐がいるだけだった。
「さて…この狐たちを野に放て。場所はそうだな…猟師が多い場所が良いだろう。」
「仰せのままに。」
「しかし桜花を侮辱するとは馬鹿な事を…」
「そうですね。孫姫様の大切さは教えていたんですが…」
「そなたのせいでは無い。無知は罪なだけだ。そなたには今後も桜花を見守っていて欲しい。」
「里にいる間はそれが私の使命ですから。」
「使命だけでは無いだろ?」
「そうですね。孫姫様は努力家で純粋ですから見ていると癒されます。護りたくなります。」
「桜花のそういう所を見つけられる者がこの里に増えてくれれば良いのだがな。」
「増えますよ。これから。」
場に似合わない会話。しかし、これこそが鋼牙が鋼牙らしいところなのであった




