書庫を読み漁ります。
御祖父様に書庫に入る許可を得て、母様に書庫まで案内してもらっている。
「母様は書庫に入った事ありますか?」
「ええ。鋼牙さんと夫婦になってから何度か入った事があるわ。人界からあやかし界全ての書物が揃っているわ。でも薬関係の本棚は決まっているから安心していいわよ。」
「分かりました。柊真様の役に立つ本があればいいんですが…」
「そうね。柊真さんは心を病んでいるから本来は薬師の本分では無いかもしれない。だけど桜花ちゃんは香りにも効能がある事を発見したから何か見つかるかもしれないわね。」
母様にそう言われて、やる気が出てきた。
秋祭りに間に合わなくても、柊真様の心の傷を少しでも癒せたらと考えている。
そんな事を考えていたら、書庫の前に着いた。
「桜花ちゃん。ここが書庫の入口よ。」
「ここが…」
そこは蔵のような入口をしていた。
それにしても外観は小さいと感じた。
「ふふ。最初は小さく思えるでしょ?ここは入口なだけよ。中に入れば分かるわ。」
母様はそう言って書庫の入口の鍵を開ける。
部屋の中にももう1つ扉があった。
「さぁ、ここからが書庫の本当の入口になるわ。」
母様の言葉の意味がようやく分かった。
書庫は地下にあったのだ。地下に降りる為の階段を母様と一緒に降りていく。
「膨大な書物を安全に保管する為に地下に書物庫を作ったと聞いているわ。各階層事に置いてある書物も違うそうよ。」
「そうなんですね。各階層に別れているなら探すのも大変ではなさそうですね。」
「そうね。でも膨大な量だからあんまり大変さは変わらないかもしれないわ。私なんて目当ての本を探すのに7日以上かかったもの。」
笑いながら話す母様。それはかなり大変な作業なのでは無いですか…?
「ここが薬草に関する階になるわ。頑張っね。何かあればこの呼び鈴を鳴らすのよ。」
そう母様に言われて手渡されたのは普通の呼び鈴ではなかった。
「この呼び鈴はね、この書庫に入る資格がある者にしか聞こえない呼び鈴なの。だから侍女を呼ぶ呼び鈴とは形が異なっているのよ。」
「分かりました。何かあった時はこれを鳴らせば母様か父様が来てくださるんですね。」
「案外、お義父様が来たりして。」
クスクス笑いながら話す母様。
「…御祖父様が来たら心臓に悪いです…」
「大丈夫よ。私は鋼牙さんのところに行くわね。桜花ちゃん。無理しちゃだめよ?」
「分かりました。探してきます。」
母様と別れて、私は本棚に歩いていく。
それにしても膨大な量の書物がある。これを一つ一つ見ていかないとなるとかなり時間がかかるであろう。
だけど、自分で決めた事なので1冊ずつ手に取り読んでいく。適当に読むのではなく、隅々まで読んでいく。見落としがないように何度も読んだりした。
「鎮静効果…違うな。これじゃない…この薬草はいつも使ってるから効果は分かってる…」
薬草関連の本なのでいつも使ってる薬草も沢山出てくる。覚悟はしていたが、ここまでとは思わなかった。私の考えが甘かった事を痛感した。それでも、新しい使い方も見つけたのでそれはそれで良い発見だった。
「桜花ちゃん。そろそろ夕餉の時間よ。」
どうやら相当時間が経ってたらしい。母様が迎えに来るまで夢中で読んでいた。
「すみません。読みふけってしまいました。今行きます。」
そう言って読んでいた本に栞を挟んで、母様と一緒に書物庫から出た。
読んでくださってありがとうございます。




