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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第四章 薫衣草とカミツレ(ラベンダーとカモミール)
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柊真と鋼牙 ~柊真の気持ち~

里が土砂崩れにあい、父上と姉上が亡くなった。

そんな俺を鋼牙さんが長様の屋敷に連れて来てくれたのだ。俺が連れてこられた時は重症だったらしく、7日程意識が無かったらしい。

そして目を覚ましたら、俺は話せなくなってしまった。目の前で起きた光景が悲惨過ぎて心が病んでしまったのだろうと言われた。

稀に起こることで、時間が経てば治ることもあるらしい。そう長様に説明された。

里は皆の力で復旧作業を行っていると、鋼牙さんに聞かされた。


それでも俺は喪失感が抜けなかった。


父上から、調香師になる為に教えて貰っていた途中だったからだ。

鋼牙さんにも教えて貰ってはいるが、父上は特別な存在だった。母上が儚くなってしまってから男手で姉上と俺を育ててくれたんだ。その恩を全部返す前に土砂崩れで亡くなってしまった。母上の代わりをしてくれていた姉上と一緒に…

父上と姉上の最期の言葉を思い出す。


『お前だけでも助ける。儂と琥珀の力を使ってでもお前だけは助けてやる!』


『柊真。私と父上の分まで生きなさい!』


これが父上と姉上の最期の言葉だった。

2人は力を合わせて俺の方に土砂が行かないように流れを変えてくれた。それでも全部は防げなくて俺も巻き込まれてしまった。

俺は2人の背中に守られてるだけのちっぽけな存在だったんだと痛感して絶望した。

何が次代の調香師だ。家族も守れない程弱い存在なのに…

毎日この離れでそんな事を考えていた。

そんな時、鋼牙さんの娘の桜花がこの部屋に来た。そして俺の世話をすると言い出した。

俺よりも年下の女に世話されるようじゃお終いだと考えたが、桜花の言葉に驚いた。


『湯浴みが出来るなら湯浴みをしてはどうでしょう?』


怪我が完治してもまだ湯浴みをしていなかった事に気が付いた。


『この離れには温泉があります。父様を呼んできますので、お待ちください。』


そう言うと桜花は部屋の外で待機していた鋼牙さんを連れてきてくれた。

俺は鋼牙さんにされるがまま洗われた。

そんな時鋼牙さんは面白いものを見せてくれた。それは桜花が作った入浴剤だ。

今まで見たことの無い仕掛けで目で楽しめて香りでも楽しめた。こんな風に何かを楽しめたのは何時ぶりだろうか。

湯加減も丁度よく、香りで心が癒されていくのが分かる。それがとても気持ち良くて目を瞑った。桜花が湯浴みを提案したのは身も心も洗ってスッキリしてこいという事だったのかもしれない。

俺は湯浴みを終えても気持ちいい感じが心地好くて冷茶を飲みながらもぼーっとしていた。

読んでくださってありがとうございます。

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