とりあえず会いに行ってみます
御祖父様にまでお願いされてしまったので、とりあえず次代…柊真様に会いに行く事にしました。
「御祖父様、彼に会いに行ってみてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。会わなければ何も始まらんからのぉ。桜花よ。会ってきておくれ。」
「案内は僕と桃花さんでしますね。」
「そうしてくれると有難い。3人とも、宜しく。」
そう言われて御祖父様の部屋から3人で柊真様の離れに向かう。
「桜花ちゃん。大丈夫?」
「はい。しかし、柊真様に初めて会うので緊張してます。」
「そうだね。僕や桃花さんは何度か会っていたんだよ。旅をしながら里にも何度か寄っていたからね。」
「そうね。柊真様は次代の調香師として、先代と鋼牙さんから色んなことを学んでいたのよ。」
「そうだったんですね。」
「けど…今は以前会った時の面影が無いくらい傷悴している。」
父様が声を落として話された。
「僕も色々手を尽くしてはいるけど、話せないというのはとても辛いことなんだよ。」
「そうね。話せないと何も伝える事は出来ないわよね。」
「食欲はあるんですか?」
「多少はあるみたいだよ。だから生きる気力は失ってない。」
ふむ…難しい。食欲増進の薬を処方して無理矢理食べさせるだけなのは違う。
とりあえず会わないとどんな状況かも分からない。
そんな事を考えながら離れに向かう。
「着いたよ。ここに柊真様が居るよ。」
「私達は外で待機してますね。」
「はい。分かりました。」
こうして私だけで部屋に入る事になった。
「失礼致します。薬師の桜花と申します。柊真様にお会いしに参りました。」
そう声を掛けて柊真様の部屋に入る。
父様の結界のお香の匂いがする部屋。
布団に寝ているのか起きているのか分からない状態で柊真様は横になっていた。
私は布団まで行き、もう一度声をかける。
「柊真様初めまして。鋼牙の娘の桜花です。」
「…」
声を掛けると、こちらを顔を向けた。
「父様と長様にお願いして、会いに来ました。」
「…」
「柊真様の事は父様と長様から聞いております。今後は私が柊真様のお世話をさせていただきます。」
「……!?」
反応があった。とりあえず言葉は忘れていないようなので安心した。
「お世話と言っても湯浴みは流石に私では出来ません。怪我が完治しているなら湯浴みをお勧めします。この離れには温泉があるので、父様を呼んで来ますね。」
私はそう言って一度部屋を出る。
「父様。柊真様は怪我は完治しているのですか?」
「ああ。怪我は完治しているよ。」
「ならば湯浴みをお願いします。睡蓮の入浴剤を溶かしたお湯を使ってみてください。」
「なるほどね。分かった。」
私と入れ替わるように父様が部屋に入っていた。何処まで効果があるか分からないが、気分転換に湯浴みをするのはアリだと思う。
他にも香りで心を癒す方法が無いか御祖父様の書庫で探さなければ。
読んでくださってありがとうございます。




