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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第三章 蓮と睡蓮
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作り置きをいっぱい作ります。

夜明けまに起きて、土間に向かう。

「母様おはようございます。」


「桜花ちゃんおはよう。今日は薬の作り置をいっぱい作って欲しいの。」


「作り置きですか?」


「ええ、昨夜鋼牙さんと話して夏の終わりに里に帰ることにしたのよ。勿論桜花ちゃんも一緒にね。」


「分かりました。今から薬草園に行っていっぱい採取してきます。」


「ありがとう桜花ちゃん。」


母様に言われて背負い籠を背負って薬草園に向かう。

ウワバミソウにヨモギ、ツユクサに藍の葉を何往復もして採取していく。

作り置きをいっぱい作らないといけないので茣蓙(ござ)もいっぱい広げていく。

ツユクサは1度蒸さないといけないので庭に簡易的な竈を作り蒸し器を用意して蒸していく。

ツユクサを蒸していたら母様から声が掛かった。


「桜花ちゃん。朝餉の支度が出来たわよ。」


「はい。今行きます。」


ツユクサが良い感じに蒸しあがったのでそれを茣蓙に敷き詰めてから家に向かう。

家に入る前に手足を洗い、部屋に入る。


「今日は茄子のぬか漬けと玉子焼き。馬鈴薯の味噌汁よ。」


「ご飯をお(ひつ)に移しておいてね。」


「はい。母様。」


私は言われた通りに炊けたご飯をお櫃に移す。


そうしていると奥から父様が起きてきた。


「桃花さん、桜花ちゃんおはよう」


「鋼牙さんおはよう。」


「父様おはようございます。」


「今日の朝餉も良い匂いだ~」


「鋼牙さん、顔を洗ってきてくださいな。」


母様が笑いながら父様を促す。


「は~い。洗ってくるよ~」


そう言いながら父様は外の井戸に顔を洗いに行った。


「桜花ちゃん、鋼牙さんが戻る前にお膳を盛り付けましょう。」


「はい。母様。」


3人分のお膳を2人で盛りつける。

3人揃って朝餉を食べる。

なんでもない日常がとても嬉しい。


「桜花ちゃん、庭いっぱいに薬草があったけど、あれは作り置き用かな?」


「はい。母様にいっぱい作って置くように言われたので朝から作り置きしてます。」


「そうでしたか。沢山作っておく分には困らないので、いっぱい作っておいてくださいね。」


「はい。父様。」


こんな会話をしながら朝餉を済ませる。

この後は食器を洗って、また薬作りに戻る。

今日もお店は母様に任せてひたすら薬作りに専念する。


「もぐさも作るか…」


もぐさを作るように薬草園でヨモギを採取する。

柔らかい部分だけにして乾燥させる。

乾燥させたら石臼で細かくして網目の細かいざるでふるいにかける。

これを繰り返すともぐさが出来上がる。

まずは柔らかい部分だけにして乾燥させるところからだ。


「桜花ちゃん。これはもぐさかな?」


「はい。趣味で作ってます。偶に灸師さんが買いに来るので。」


父様に聞かれて答える。


「桜花ちゃんはなんでも作るんだね。」


「作るのは楽しいですから。」


「そういうところは桃花さんに似たんだね。」


「そうなのですか?自分じゃ分かりません。」


「そんなものですよ。そろそろお茶にしましょうか。」


「はい父様。井戸から冷えたお茶を持っていきます。」


「ありがとう桜花ちゃん。」


元気良く走っていく桜花を見送りながら鋼牙が一言…


「…熱中して、作りすぎなのでは?」


庭一面に広がる薬草を見て、鋼牙はポツリと呟いた。


読んでくださってありがとうございます

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