その頃の鋼牙。
※今回は少々残酷な表現が含まれます※
鋼牙は襲撃してきた一族が住む集落に来ていた。
「野狐一族とは…全く我らを舐めすぎだな。」
野狐一族と孫一率いる狐族は仲が悪い。
野狐一族は人を騙して生活しているあやかしの一族であやかし界隈では討伐対象とされてきた。
今回狐族の里を襲撃してきたのは自分達が調香師になりたいが為だったのだろう。
鋼牙は妖力丸を2粒かじると真の姿を現した。
長い銀髪に九本の尾。つり上がった紫の目。
桜花には決して見せたことの無い姿だ。
「我らの里を襲撃した事を後悔させてやろう。」
そう言ってゆっくり里の真ん中に降り立つ鋼牙。
手を軽く振り下ろすと周りが爆破されていく。
「何奴!?」
「なぁに。お礼参りに来ただけさ。」
「お…お前は狐族の鋼牙…!!」
「さぁ。楽しい死合いをしようではないか。」
鋼牙が歩く度に爆発が起こり辺りは悲鳴で溢れていく。
男達が束になってかかって行っても吹き飛ばされて終わってしまう。
「弱いねぇ。そんなに弱いのに我が里を襲ったのかい?それとも俺が出てきたのが予想外だったか?」
ゆっくりとでも確実に野狐一族の長の屋敷まで歩いていく。
「今日は手加減なんてしないよ。我が里への賠償は一族全ての命で許してやろう。」
女子どもにも容赦なく攻撃していく鋼牙。
そこにはいつもの優しい鋼牙は存在しない。
「こ…この子だけでも…!!」
母親らしい人物が赤子を抱いて懇願する。
「知らんな。あの里にも赤子はいた。襲撃したのはそなたらが先だ。」
そう言うと鋼牙は親子共々焼き払った。
里中を炎の海にしながら長の住む屋敷まで辿り着く。
「これは長殿。覚悟は出来ているようだな。」
「襲撃したのは我らの若い衆だが、一族のツケを払うのが長の務めじゃ…」
「理解しているなら結構。その首頂く。」
「あぁ…これで野狐一族も終わりじゃ。」
長の言葉を聞いて、鋼牙は首を跳ねる。
「長は出来た人だったのにな。」
物陰からガタガタと震えた小狐が出てきた。
「わ…私も殺すの?」
「野狐一族は討伐対象。だがお主は野狐一族では無いな?」
「分からない…生まれてすぐここに連れられてきた…」
「ならば我が里に来るといい。匂いで野狐一族かそうでないか位分かるさ。」
「良いの…?」
「あぁ、安心するといい。お主は稀に狐から生まれたあやかしだろう。名前はあるか?」
「五番って呼ばれてた。生贄にする為だから名前はつけて貰えなかった。」
「そうか。我が里で里親を探してやろう。」
「ありがとう。おじさんについて行く。」
こうして鋼牙は野狐一族の里を滅ぼし、生贄として育てられていた狐のあやかしを保護したのであった。
――――――その頃の桃花さん――――――
「鋼牙さん無茶してなければ良いんだけど…」
読んでくださってありがとうございます。




