父様の旅立ちと母様と過ごす日
夜明け前。父様はあやかし道の前に立っていた。
「絶対にすぐ終わらせて帰って来ますから!」
「鋼牙さん…駄々こねないでください。孫一様からの要請でしょ?」
「そうですが…私も桜花ちゃんと遊びたい!」
「分かりましたから。行ってらっしゃい。」
「桃花さん冷たい!」
「父様。気を付けて行ってきてください。帰りを待ってますね。」
「桜花ちゃん…行ってきます」
父様をやっと送り出して、洗濯物をする。
私が洗濯物をしている間に母様は朝餉に使った食器を洗ってくれていた。
「桜花ちゃん。今日はお店を開けるのよね?」
「はい。そろそろ絹江さんと千代さんのお薬が切れる頃なので。」
「絹江さんはヨモギ茶よね。千代さんは?」
「ウワバミソウです。神経痛の症状が出ていてウワバミソウを処方してます。」
「いい判断ですね。千代さんに昨日の蓮の花の入浴剤も試してもらったら?」
「そうですね。今日おまけでつけてみます。」
母様と話しながらお店に向かう準備をする。
着物を着替えて袴を履く。
母様も袴を履いていた。
「私も久しぶりにお店に行くわ。桜花ちゃんのお茶を売り込まないとね♪」
「母様…蓮の葉茶を売り込みたいんですね…今でも売れてますよ?」
「もっと売り込むのよ。美味しいんだから。」
母様の商人魂を侮っていた…
「蓮の葉茶はこの時期限定だからね。蓮の葉は薬効もあるからそこと区別して売っていくわよ。」
「はい。蓮の葉は解熱作用が高いので他の薬草と混ぜて使っても良いですよね。」
「そうよ。段々薬師としての知識も増えてきたわね。」
「母様のおかげです。」
2人で話しながら店まで歩いていく。 背負い籠には蓮の葉茶や蓮の葉、ツユクサにウワバミソウを入れてある。
ヨモギ茶はお店に在庫があるので今日は持ってきていない。
お店の裏庭から入り、荷解きをする。
「薔薇にも薬効があるのよね。」
「そうなんですか?」
「そうよ。今度教えるわね。」
「はい。ありがとうございます。」
話しながら店の準備をする。
お店の前を掃除して暖簾を出す。
そうすると絹江さんがやってきた。
「桜花ちゃんおはよう。いつものお茶をくださいな。」
「絹江さんおはようございます。ヨモギ茶ですね。今お持ちします。」
「おや、桃花さんもいらっしゃるのね。」
「絹江さんおはようございます。蓮の葉茶でも飲んでゆっくりしてください。」
母様はすかさず絹江さんにお茶をだす。
用意周到である。
「このお茶も美味しいわね。1つ買っていこうかしら。」
「ありがとうございます。桜花が作ったお茶なんですよ。」
「桜花ちゃんの作るお茶は本当に美味しいわね。」
「ありがとうございます。」
「今日はヨモギ茶と蓮の葉茶を頂くわ。」
「ありがとうございます。全部で5銭です。お茶はおまけです。」
「ありがとう。また来るわね。」
こうして絹江さんは帰って行った。
「おまけにつけるだなんてやるじゃない。」
「絹江さんは冷え性なので飲み過ぎないようにおまけにしたんです。蓮の葉は身体の余分な熱を取るので相性が良いのか分からないので。」
「なるほどね。そこまで考えているなんて流石だわ。」
「母様程では無いですよ。」
そんな話をしていたら千代さんが訪れた。
「こんにちは桜花ちゃん、桃花さん。いつものお薬貰えるかしら。」
「はい。今お持ちしますね。」
「千代さん、待つ間に蓮の葉茶でもどう?」
「ありがとうございます桃花さん。蓮の葉茶って、なんだか落ち着きますよね。」
「そうなのよ。そういえば千代さんの家にお風呂ってあるかしら。」
「ありますよ。それがどうかしましたか?」
「実はね、桜花が面白い入浴剤を作ったの。良かったら試してみて。」
「ありがとうございます。楽しみです。」
私が薬を準備している間に母様は入浴剤の宣伝をしていた…母様の商売上手は見習わないといけないかもしれない。
「千代さんお待たせしました。いつもの薬と入浴剤です。入浴剤はまだ実験段階なのでおまけでつけておきますね。」
「ありがとう桜花ちゃん。」
「こちらこそありがとうございます。全部で5銭です。」
「はい。入浴剤気に入ったら正式に購入させてね。」
「はい。感想をお待ちしてます。」
この後も薬を求めて色々な人が来てはお茶や入浴剤をおまけにつけた。
おまけが無くなったので昼前に店仕舞いをした。
「さて帰ってこしあんを作りましょうか。私は先に帰って作り始めるわね。桜花ちゃんは店仕舞いお願いね。」
「分かりました。何か買って帰るものはありますか?」
「鯵があったら2尾お願いするわ。」
「分かりました。」
こうして母様は店の奥にあるあやかし道で帰宅した。
私は店仕舞いをしてから魚屋に向かった。
読んでくださってありがとうございます




