お店での仕事
読んでくださってありがとうございます。
『蓬莱堂』
ここが私のお店だ。
家から持ってきた薬を棚に並べていく。
それが終わったら店先の掃除。
「桜花ちゃん、今日も元気だね。後でいつもの薬頼むね。」
「絹江さんおはようございます。お待ちしてます。」
近所の方と軽く言葉を交わして暖簾を出す。
薬屋の開店だ。
この町。。。。というかこの世界はあやかしと人間が仲良く暮らしている。
そしてあやかしも普通に職を持っている。
私の両親も狐のあやかしだ。
代々薬師を生業として生きてきた。
なので私も薬師として生活している。
妖力で効能を上げた薬は良く売れる。
今は春の季節なので、体調を崩しやすい人も多い。
葛とヨモギを多めに持ってきたのはその為だ。
両方とも解熱効果あるし、葛と混ぜれば滋養強壮にもなる。
「桜花ちゃん。タンポポ茶とタンポポの葉あるかい?」
先程、挨拶を交わした絹江さんだ。
「用意しておきましたよ。いつも通り5日分ですね。」
「ありがとう。桜花ちゃんとこのタンポポ茶とタンポポの葉の青汁は薬効も高いからよく効くんだよ。」
「そう言って貰えると薬師やってて良かったと思えますよ。」
たわいない会話だが、新米の薬師としては褒められると嬉しいものだ。
「全部で4銭ですね。」
「いつも悪いね。」
「こちらこそいつもお魚を分けてもらってますから。」
こうして近所付き合いも兼ねてお喋りするのも好きなので、楽しく仕事が出来ている。
絹江さんとお喋りしていると次のお客さんが来た。
「すみません。医者から薬をここで出してもらうように言われたんですが。。。。」
どうやら新規のお客さんのようだ。
「分かりました。お医者様から貰った紙はありますか?」
「これです。」
私は紙を見ながら、書かれている薬を出していく。
「これが書かれていた薬になります。1日3回煮出して飲んでくださいね。」
「あ。。。。ありがとうございます。こんな小さい子がやってる薬堂なんて初めてで。。。。」
「あははは。こう見えて狐のあやかしなので、年齢は結構いってますよ。」
「狐のあやかし。。。。これは失礼しました。」
「気にしないでください。お大事に。」
「ありがとうございます。また来ます」
小さく見えても狐のあやかし。齢100歳は超えてます。
1銭=200円です