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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第二章 藤の花
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足りなかったもの

読んでくださってありがとうございます

抄伽さんの助言を思い出す。


『花にも蜜にも香りはある。』


私は今まで花びらだけ、蜜からだけ、と区別して妖力を意識して使っていた。

もしそれが間違いだったとしたら、失敗続きだったのも頷ける。

試してみたいが、時間も遅いので大量にある香りの少ない藤の花の精油で石鹸を作る。

大量に作って保存しておけば後で困ることもないだろう。

そうしてその日の夜は石鹸作りに励んだ。


朝一で薬草園の奥にある藤の花をまた採取しまくる。

そろそろ藤の花も終わりに近づいている。

早く完成させないとお客様をがっかりさせてしまう。

昨日、抄伽さんに言われた事を思い出しながら、花全体に妖力を纏わせていく。

最初はゆっくり少なく…妖力と花を混ぜ合わせる。

花びらにも蜜にも妖力を纏わせる様に意識をする。

徐々に藤の花に流す妖力を多くする。

混ぜる速度は一定に保ちながら、花全体に妖力が行き渡るように意識してゆっくり混ぜ合わせていく。

そうして混ぜ合わせていくと、藤の花の香りがどんどん強くなってきた。

ここで気を抜かずにしっかりと妖力と花を混ぜ合わせる。

鍋いっぱいに入れた藤の花はかさを減らし、鍋半分位まで減ってきて油っぽくなってきた。

そこからまたゆっくり混ぜ合わせていくと…

一気に花の香りが強い精油が完成した。


「やった!成功した!藤の花の精油の完成だ!」


藤の花が凝縮された精油が完成した。

花の精油は花全体に妖力を纏わせ意識して混ぜ合わせて作る。

私に足りなかった部分は細部まで意識して妖力を使う事だったのだ。


細部まで意識して使う。これは今後、私が薬師として仕事をしていく時にも役に立つ。

今回の依頼が無ければ気が付かないことだった。

この依頼主に感謝しなくちゃ。


「この花の精油と蜜蝋、椿油を混ぜて完成させなきゃ。」


大きな鍋に湯を沸かし、そこに小さな器を浮かべて蜜蝋を溶かす。そこに椿油と藤の花の精油を混ぜて湯から下ろして、りんご貝に移して冷やし固まるのを待つ。

固まるのを待ちながら、藤の花の精油に劣化防止の術をかけておく。

母様と父様に自分が初めて作ったものを見せるためだ。

固まるまでには一晩掛かりそうなので、今日はもう寝ることにしよう。

明日の完成が楽しみだ。







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