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あやかしの薬屋へようこそ  作者: 相楽未音
第二章 藤の花
13/87

作り方を調べる。

読んでくださってありがとうございます。

自宅の書物庫を読み漁る。


「あった。これだ!」


目的の書物を見つけた。

筆跡は父様のだか、父様が書き残しておいてくれたのだろう。


「どれどれ…花の精油、椿油、蜜蝋…精油とは椿油とは違うと。取り出し方は…妖力で凝縮させて精製する…椿油は売ってるもので大丈夫…蜜蝋は蜂のあやかしから買う…椿油と蜜蝋は入手出来るけど、花の精油は練習するしかないな。」


父様は妖力の扱い方が繊細でとても上手だった。

花の精油の精製方法も書いてあるが、今の私の技量ではとても難しい。

かなり練習しなくてはいけない。


藤の花を集める前に蜜蝋を買いに行かなくては。

あやかしの蜂蜜屋は町外れにある。

歩いていくには遠いので、妖術で道を作る。

これで町外れまですぐに着く。


《蓮華堂》

ここがあやかしの蜂蜜屋だ。

蜂蜜だけではなく、蜜蝋も扱ってる。

「抄伽さん。蜜蝋ください。」

「はーいって、あら~桜花ちゃんじゃないの~どの位必要かしら。」

「ちょっと実験で使うのでいつもの量の2倍でお願いします。」

「はーい。ちょっと待っててね。」


抄伽さんは女王蜂のあやかしだ。

その為、色々な花の蜜を置いている。

ここの蜂蜜は本当に美味しい。


「お待たせしました。いつもの2倍だから50銭ね。あとこれおまけの蜂蜜。それにしても実験で使うには多くない?」


「初めて扱うものを作るので多めにしたんです。」


「そうなのね。桜花ちゃんは頑張り屋さんだから、心配になるわ。」


「倒れない様にしますね。足りなくなったらまた来ます。」


「はーい。待ってるわ。」


蓮華堂を後にして、妖術で道を作り急いで帰宅する。


「蜜蝋もいっぱい買ったし、後は藤の花を採取してこなきゃ。」


蜜蝋を薬品棚に仕舞い、薬草園の奥に進む。

父様の書物によると花は大量に必要と書いてあった。

籠いっぱいに採取して、1度家に戻る。

そしてまた違う籠を背負って藤の花を採取する。

これを三往復。

かなりの量の藤の花を採取出来た。


「書物によると、採取したての花を鍋に入れに妖力を徐々に流し込みながら混ぜ合わせ、妖力を纏わせて凝縮させる。凝縮させて花の香りが強い液体が出来上がったら花の精油の完成って書いてあるけど…出来るかな。」


薬を作る時にも纏わせ混ぜ合わせたりしたことがあるが、そのまま凝縮させた事はない。

やったことは無いが、やってみるしかない。


「最初はゆっくり…徐々に流す妖力を増やして…」


花全体に妖力を纏わせる事には成功した。

薬作りと一緒なのでここまでは出来る。

妖力を帯びて徐々に藤の花が溶けていく。

これを凝縮させれば良いのだろう。


「ゆっくりゆっくり…焦らずに…」


しかし、幾ら混ぜ合わても花の香りが強い液体にはならない。

額に汗が滲んでくる。それでも妖力を注ぎ混ぜる事をやめなかった。


「駄目だ…花の香りが強くない…」


出来上がったのは多少花の香りはするが、これでは練り香水にした時に香りが飛んでしまう。

凝縮させることには成功したが、これは失敗だ。


「花を凝縮ではなく、香りを凝縮させるのかな…」


初めての挑戦で上手くいくわけないと分かっていても、落ち込んでしまう。

けれど、落ち込んではいられない。

作った花の精油を瓶に移し、新しい花を準備してもう一度挑戦する。

しかし出来上がるのは香りの少ない花の精油のみ。

いっぱい採取した藤の花を使い切ったところで日が暮れた。


「初めて挑戦する事だから難しいとは思っていたけどここまでとは…」


失敗作だらけの室内。

とりあえず落ち込みながら使った道具を洗いに外へ出た。





桜花ちゃんは努力家です。

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