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藤の花で優雅に
読んでくださってありがとうございます。
妖力をかなり消耗した状態で帰宅した。
それでも湯浴みをしたい。
出掛ける前に湯殿の準備をしといて正解だった。
後は火を付けて入れる温度になるのを待つ。
待っている間に葛湯を飲む。
疲労回復効果があるし、落ち着くのだ。
湯が沸いたら、湯浴みの準備をする。
湯殿に藤の花を飾り、妖力を込める。
すると、藤の花が湯に少しづつ散り始め湯に解けてゆく。
湯の色が薄紫に染まり、湯殿には藤の香りが漂う。
その湯に身体を沈め、ゆっくり堪能する。
「ふぁ~気持ち~」
つい声が出てしまったが、本当に気持ちいいのだ。
香りを楽しみながら暫く湯に浸かる。
妖力を使い過ぎた時にはこんな風に湯を楽しむのが好きなのだ。
藤の花が全て散り、湯に解けていく。
それを眺めながらゆったりと湯を楽しむ。
熱くもなく、ぬるくもない丁度いい温度。
湯殿全体に香る藤の香り。
最高の湯浴みの時間。
今は藤の花だが、夏になったら薄荷で涼しくするのも良いなと思いながら、藤湯を堪能した。