4 , 奪取
Class H201 feel Communication log{
[戦闘システム起動、オーバークロックセーフティオン、降下を開始します。]
「やあ、昨日はよく眠れたかい?今回のミッションは、近隣市街地に急遽、天使の発生を確認したとの報告を受けたため、その駆除をお願いしたい。みんな、よろしく頼むよ。」
司令官からの通信が途切れる。
「急に天使が発生した事例なんて、今までになかったわよね...。何かがおかしい気がするわ。」
「そんなことを言ったって、出たものは仕方がないだろ?奴等が湧き出てくる場所自体も、いまだ不明瞭なんだし、今は駆除に徹することが俺たちの仕事だ!」
市街地に降り立つと、既に天使がちらほらと近隣住民を襲っているのが見て分かる。
「さてと、今日も今日とて、張り切って戦おうか!」
ジョイのその一言を皮切りに、皆武器を構え、駆除へ移行する。________
________どれほど時間がたったであろう。そろそろ内臓バッテリーの充電が怪しくなってきた頃合いだった。
「...こいつで最後か。すげぇ数が居たな...。本当にこいつら自然発生した奴らか?」
「ええ、本当に...。まるで、意図して天使を集めたかのような感じだったわね。」
その時、突然背後から鋭利なものが飛んできては、足元である地面に突き刺さった。
「ッ...!!これってもしかして!?」
「君避けるの上手いね!避け方とかにコツとかあるのかなぁ?」
「コツがあるとしたら動かないことだよ、弱ってる奴にくらい当てろよ馬鹿。」
声の方向を見ると、前の合同ミッションの時に現れた二人がいた。
「なっ...!?貴方たちはあの時の!?」
「合同作戦で接敵したシレネジュイのの連中ってのは、あんたらのことか。天使の量が尋常じゃないとは思っていたが、実はあんたらがこの天使を間引いてたってわけだ。噂には聞いてたが、確かにこの感じ、ただ者じゃあなさそうだな...。」
「ははっ!ローズ聞いた?僕たちがただ者じゃないだって!じゃあ何者だ?空け者?」
「空け者はアンタだけでいいわ。ほら、今度こそ殺すわよ。」
「分かってるって。ところで、前回のゲームルールは、続投する?」
「今回は遊びじゃないの、真剣にやって。」
「ははっ、りょーかい。」
相手の魔法使い二人は、武器を構え始める。
「皆、戦闘に備えて。」
私はそういうと、武器を再度取り出す。それに続いて、皆も武器を構える。互いに距離を取っている、緊迫とした状況の中、ジョイが接近し、静寂を破った。
「先手必勝ッ!くらえッッ!!」
ジョイがそう言い、助走の加速の付けたストレートを振るが、敵の男性機体は、それを意図も容易く避け、加速で制御が効かない身体が、後方へ持ってかれてしまう。
「やろうとしていることが、バレバレだよ?もう少し、考えて動かなくちゃ、すぐにやられちゃうよ?ほらっ!」
男性機体はそういうと、いくつものダートを投げて浮かばせ、「パチンッ!」と指を鳴らすと、一斉に浮いたダートがジョイの方へ向かっていき、硬直しているジョイの身体を貫いていく。
「くはっ…っはぁっ!!」
「おおっ...!耐えるねぇ?少しは嬲りがいがありそうで良かったよ!」
そう言い、追撃を決めようとしているところに、デタールネが背後を取る。
「さすっ...!!」
そう言い、短剣を突き刺そうとするが、それも見破られて、剣先を指で止められてしまう。
「これ前も見たよ?同じ手は通用しないとは、まさにこのことだね!」
男性機体は、もう一度指を鳴らすと、ジョイに刺さっていたダートが戻ってきては、デタールネの身体を貫いた。
「...ッッ!!」
デタールネは、その場で倒れこみ、蹲ってしまう。
「リーダー!私たちも応戦しよう!!」
ムーデナのその言葉と同時に、私とムーデナは一緒に動き出し、一緒に男性機体に攻撃を当てようと武器を構えながら走る。しかし、急に目の前に、茨鞭が振られて、足止めを喰らった。
「あっちが二人相手にしてるんなら、こっちも二人相手が常識でしょうが。ほら、アンタたちの相手は、私だよ。」
そう言った敵の女性機体は、ムチを振り上げ、そんな奇怪な動きに、ガードするしかできない。元々こちらが弱ってはいたと言え、相手はペースを乱すことなく着実にこちらの体力を削り取ってくる。
「クソッ...。これ以上はもう、身体が動かねぇ...。」
ジョイのほうを見ると、身体の一部分が、機能停止まで追い込まれているのが一目でわかるほどの損傷をしていた。
「アハッ、一匹撃破!どうする?粉砕しとく?」
「やめとけ、万が一何かしらのトリガーが作動して爆発でもしたら、こっちが不利になるっての。そうなれば、元も子もないじゃない。」
「ところで、そろそろ呼んでも、大丈夫なんじゃない?」
「そうね、まあきっと向こうも理解してると思うけど。」
突如、背後から鋭い衝撃が走った。
「ッッ...!!!」
「やあ、初めましてお嬢さん。今日の目的は君を貰いに来たんだ。」
下を見ると、私の腹部からはレイピアが腹を貫通していた。
「ここまでの能力があるとは、ホリメアの技術は素晴らしいね。君への期待がますます高まるなぁ。ああ、残りのやつらは適当に処理しといて。」
「りょーかい。どうする?ゲームの続きでもしちゃう?」
「そうね。どうせ帰ったって暇だし、適当に遊びましょ。」
その時、デタールネが、私の腹部を刺しているレイピアを持った男性機体へ飛び掛かり、短剣を振ろうとする。
「りーだーを、かえせッ!」
しかしその時、ダートを扱う男性機体によって投げられたダートが頭に命中し、そのまま吹き飛ばされる形で地面にこすりつけられる。
「お前らの相手はこっちだっての。ほら、楽しく遊ぼうぜ?」
自分も応戦をしたいのに、身体が言うことを聞いてくれない。仲間が防戦一方の戦いを強いられているのをみていることしかできないでいると、レイピアが引き抜かれた。傷口からは多量のオイルとクーラー液が混ざった液体が溢れ出る。
「少し眠っててよ。気が付く頃にはきっと着いてる。」
「リーダーッッ______
[OSシステムエラー、スリープモードに強制移行します。]
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