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3 , 狡猾

Class H201 feel Communication log{


 [戦闘システム起動、オーバークロックセーフティオン、降下を開始します。]


 降下中、司令官から連絡が入る。


 「やあ、フィール。昨日はよく眠れたかい?それで、今回のミッションの件だが、今回のミッションは周りを見てもらえばわかる通り、第一小隊との合同作戦だ。第三小隊からは、君とムーデナを配備した。そのため、今回の作戦は第一小隊のリーダーに合わせるよう動いてくれ。」


 司令官からの連絡が途切れる。そして、隣で一緒に降下している第一小隊隊長であるH103/CNライエンが口を開く。


 「君が、噂のマーリンR.O.S,2.0適応機体か。直近の第三小隊のミッション成功率が100.0%を記録している、異例な事態を引き起こした要因だと噂になっているぞ。今回は私が率先をするわけだが、君一個人の力はどれほどのものなのか、期待させてもらうとしよう。」


 ライエンがそう言い終えると、その横にいた、もう一体の魔法使いが顔を覗かし、話始める。


 「ところで、隊長。私は今回前線に出てもよろしいのでしょうか?」


 そう話した、彼の情報を確認する。H121/CNクワイラ。彼も第一小隊の一人であり、今回合同作戦を一緒に行うもう一人の人物らしい。手には、スナイパーライフルを携えている。


 「今回の作戦としては、いつものように動けるわけでないのは明白だ。私たちが注意を引くから君は狙撃に集中してくれ。」


 「了解です。」


 そうやって、第一小隊の二人が話終えたところに、気まずそうに割り込みながら、ムーデナが喋りかける。


 「...とりあえず、自己紹介をするわね、初めまして、第三小隊のムーデナよ。よろしく。」


 「貴方達の情報は事前に受け取ってあるから、そのくらいは分かっていますよ。」


 「クワイラ、これは社交辞令だ。大人しく聞き入れろ。こちらこそ、よろしく頼む。第一小隊隊長のライエンだ。」


 「...クワイラです、よろしく。」


 不服そうに自己紹介をするクワイラに対して、ムーデナは、少しばかり気に食わないようだ。


 そんな中、ライエンのサポートシステムに連絡が入る。


 「今回のミッションは、事前に伝えたとおりだが近隣天使の駆除と周囲の視察だが、今、シレネジュイの連中がこちらを嗅ぎまわっているとの情報を貰った。総員、常時警戒態勢を怠るな。」


 少し怒り気味な口調の第一小隊司令官からの連絡が途絶える。


 「そっちの司令官、かなり厳しそうな人ね。」


 「お前たちにはそう見えるであろうが、これは警句だ。人間を光の中で殺すために、我々は闇の中で死ぬのが私たちの使命であろう。」


 「隊長、来ますよ。」


 「総員ッ!戦闘態勢につけッ!移住区域には、毛一本も侵入を許すなッ!」


 「はぁ...。なんか今日は疲れそうね。私たちは気楽に行きましょう?リーダー。」


 天使たちがこちらに気付いたように、襲ってくる。


 私たちは武器を取り、戦闘態勢へと入る___________








 _____「...粗方は片付いたか。だが、先ほどにも連絡が入ったように、シレネジュイの魔法使いが奇襲を仕掛けて来る可能性が大いにある。警戒態勢は常に張っておけ。」


 すると、突然空から鋭利なものが飛んできては、足元の地面に突き刺さる。


 「ッ...!!これは...ダート...?」


 「へぇ、意外と読みがいいじゃん。それを避けられるなんて。」


 声のする方向を見ると、二体の魔法使いがいた。


 「ドアホ、今のはアンタのエイムが悪いだけだよ。」


 「えー?僕は相手の動きを予想して投げただけなんだけどなぁ?もしかしてそれすらも気づかなかった?」


 「もしそうだとしたら、アンタは読みすら下手糞な大戦犯野郎ってことになるわね。」


 「ハハッ、相変わらず手厳しいねぇ?そんなカリカリとしたこと言ってると白髪が増えるぜ?そうだ、今度の誕生日には白髪染めをプレゼントしてあげるよ!」


 「...アンタ、帰ったら覚えてなさい。とりあえず、こいつらをやるわよ。」


 「分かってるさ。多く倒したほうがオイルの交換奢りな?」


 「アンタ、最近変えたばっかでしょ。そんなに頻繁に変えても、無駄になるだけだよ馬鹿。」


 相手は会話を終えると、こちらに向き治し、武器を構える。


 「シレネジュイの魔法使いか...。総員ッ!戦闘態勢を取れッ!ここから先には、指一本侵入させるなッ!」


 「何が何だかわからないけど、こいつらは少なくともただ物じゃなさそうね。気張っていきましょう、リーダーッ!」


 ムーデナがそういうと、私たちは武器を取り出し、シレネジュイの魔法使いに向かって、戦闘を仕掛ける。


 私は、銃弾で牽制しつつ、距離を詰めようとするが、敵の魔法使いもダートを投げて、こちらの移動を制限してくるため、上手く近づけない。


 「ほらほらぁ!果たして僕に追いつくことはできるかな?」


 「掛ったわね!」


 ムーデナがそういうと、事前に配置についていた彼女は、上空から槍で突き下ろそうと飛び込む。しかし、もう少しの所で、ムーデナは茨のムチのようなもので体をがんじがらめにされ、地面に叩きつけられる。


 「っつぅぅ…うぐっ!」


 「ったく、アンタの存在にこっちが気づいてないとでも思ってたわけ?これだから、天使ばっかり狩ってるやつは。」


 「その言葉、そっくりそのまま返そう。こちらがお前たちの考えに気付いてないとでも思ったか?」


 そう声が聞こえると、ムチを所持している女性機体の背後を取るように、ライエンが自身の武器である打刀型の武器で切りかかる。女性機体は、ギリギリのところで、ムチでガードをする。


 「ハァ!?いつからそこにいたわけ!?」


 その言葉に続くように、ライエンは連撃を加え、体制を崩したところにクワイラの狙撃が命中し、身体が吹き飛んでいく。


 「ゲホッ...。ちょっとはやるようじゃない...。流石は第一小隊といったところね。」


 「ちょっと大丈夫~?本当に体のガタが来てるんじゃない?」


 そう、ダートを使って攻撃を行う男性機体が言い、目をそらした隙に、私は一気に距離を詰める。


 「お前の相手はこっちだ。斬るッ...!!」


 そう言い、私は脚部をめがけて、斬撃を放った。


 「痛った...これ以上は、こっちの体が持たないなぁ。ローズ、ここは一旦退こうか。」


 男性機体は足をよろめかせながら、女性機体に向かってそう話す。


 「ああ、今アンタとおんなじこと思ってたところだよ。ったく、プリンスにはなんて報告すればいいんだか...。」


 「あいつならわかってくれるさ、それにこの状況を鑑みるに、次はアイツも一緒に来てくれるって考えたら少なくとも敗因は現状一つも考えられないさ。」


 「そうだね、それよりも、アイツの能力...。」


 女性機体は、私の方を見つめている。


 「そうだね。ホリメアのやつら、新技術をさっそく使うなんて、どうかしてるよ。けれど、プロトタイプとはいえ、アイツは能力は目を見張るものがあるね。ちょうどお迎えが来たことだし、帰ってお茶でもしながらゆっくり話そうよ。」


 「そういえば、アンタさっきの発言、忘れてないわよ…!!」


 「まあまあ、落ち着けって。直ぐに怒ると白髪が増えるぜ?」


 そう会話をしながら、呼んできた敵軍の輸送ヘリに乗り込もうとする。逃がさまいとライエンがすぐさま指揮を執る。


 「クワイラッ!ヘリを落とすように撃てッ!」


 そういうと、クワイラは有無も言わずに銃口をヘリに向け、引き金を引く。しかし、銃弾は投げられたダートによって阻害されてしまう。


 「何度も言うけど、君たちの考えなんて、筒抜けってわけ。衝動的に動くんじゃなくて、もうちょいCPUを働かせた方がいいと思うよ?」


 「アンタも初弾を外す癖を治したほうがいいと思うわよ。」


 そう会話をしながら、ヘリは海の向こうへと消えていく。


 これ以上は追えないと分かったタイミングで、ライエンが喋る。


 「...今回のやつらの動きを考察するに、我々の連携が取りにくい合同作戦を狙い、また、第一小隊の私と、ーリンR.O.S,2.0プロトタイプであるフィールを狙っていた可能性が考えられる。クワイラ、メンテナンスが終わったのち、すぐさま奴らの口にしていたプリンスなる人物の情報を集めろ。そして、フィール。君は奴らの会話から察するに、標的にされている。自身の情報源はできる限り守り通せ。これは君のためでない、ホリメアのためだ。」


 空を見上げると、既に日は落ちており、ホリメアの輸送ヘリが向かってきている。夜空は青く、また、排気ガスの生暖かい空気が、全身に心地よく当たっていた。


}



 * * *



 Class S104 Prince Communication log{


 薔薇、チューリップ、アネモネ...、彼女にはどれが似合うであろうか。いや、こんなものを渡しても、スペースの邪魔になるだけだ。であれば食事などを誘うのはどうであろうか。しかしながら、彼女が食事を喜んで食すところなどは見たことがない。見れたとしてもサプリメント接種であろう。では、香水などは...


 そう、通販サイトを開いたタブレットと睨めっこをしながら考えていると、背後にあるドアが開く音がした。


 「よお、プリンス。今日も司令官へのプレゼントをお探しか?」


 「ああ、ダルヴァか。ちょうどよかった。実のところどういったものを渡せばよいのかわからなくなってきていてね。渡したとて、プリンセスは顔色一つ変えずに淡々としていて喜んでもらえているのかわからないんだ。だから、どういうものがプリンセスにふさわしいか、喜んでもらえるのか相談を...どうしたんだい!?その傷は!?」


 「ああ、この傷はさっきそこで転んだんだ。とんでもなく、盛大にね。」


 「ハハッ、冗談は止してくれ。君のような魔法使いがそこまでやられるとなると、ホリメアの技術部はもう例の試作品を完成させたということかい?」


 「いいや、見た感じあれはプロトタイプだ。しかし、プロトタイプを実戦投入してくるとはね。ビックリしてローズも一緒に転んじゃった!」


 「なるほど、ということは一緒に派遣させたローズもただでは済んでいないということだね。これは大変な事態になりそうだ。このまま彼らを放置しようものなら、もし戦争を仕掛けたとて、シレネジュイの敗北は明白だ。」


 「それで?策はもうあるのかい?」


 「勿論さ。花が咲く前に芽を摘む、それが定石というものだろう?」


}

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