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1, 初陣

Class H201 feel Communication log{


 [戦闘システム起動、オーバークロックセーフティオン、降下を開始します。]

 

 内部のサポートコードが情報を連ねると共に、自身を運ぶ運搬空機の底面が開き、身体が落下を始める。


 「よう!新入りさん!初の落下はどうだい?存外に楽しいものだろう?」


 一緒に落下をしている、男性機体の魔法使いが喋りかけてくる。彼の情報を調べると、H106/CNジョイという名前らしい。


 「アンタねぇ...。ごめんね?急に話しかけられてびっくりしたでしょ?彼はああいう性格だけれども、仲良くしてあげてね?私はムーデナ。よろしくね!」


 短髪の女性機体の魔法使いが喋りかけてきた。彼女は、H128/CNムーデナという名前であり、事前に司令官から、自身が入隊する少し前に入隊したということで、大体同期ということもあり説明を受けていたため、彼女の情報は事前に知っている。


 「...あたらしいりーだーには、かんじょーがない。だからはなしかけても、いみがない。」


 背丈の小さい女性機体の魔法使いがジョイに話しかける。彼女の情報を調べると、H116/CNデタールネという名前らしく、先ほどの二人と同様に、この部隊の魔法使いだ。


 「そんな初っ端から諦めるようなこと言うなよ!こうやって話すうちに、感情ってのは芽生えてくるものだって司令官は言ってたぜ?」


 「あーもう、久しぶりのミッションなんだから、もっと静かに降りたかったわ。」


 一緒に降下した3人が、それぞれの意見をぶつけ合っている。そうしているうちに、地面に着陸した。既に周りには、かなりの数の、敵である天使と呼ばれている生命体が、うじゃうじゃといる。


 「さぁて、こっからは行動指示のほど、頼むぜ?リーダー!」


 ジョイはそういうと、セスタスを模した武器を装備する。それに続いて残りの二人も、それぞれ槍を模した武器と、短剣を模した武器を構えた。


 「作戦は、先ほどログで送ったブリーフィングの通り、天使の殲滅を開始する。」


 私は、それを伝えると、剣と銃を組み合わせたような武器を取り出した。


 「...ハハッ、シンプルな指示で分かり易い!」


 「ええ、その通りね。んじゃ、チャチャっと片づけましょうか!」


 ジョイは率先して先陣に行き、敵のヘイトをためつつ反撃をしている。そこに私とムーデナは、固まった敵を一網打尽に攻撃を加える。そして、取りこぼした数体はデタールネが切り裂いていく。


 「ったく、一体こいつらはどこから湧いているんだろうな?しかも、こんな名前をしながら、人のことを襲うと来たら、怖いったらありゃしないぜ。」


 「そうね。これのせいで、私たち魔法使いの仕事が増えているわけだし、とりわけ強いわけじゃないのに、魔法使いの攻撃しか効かないってのも厄介なところよね。」


 ある程度、片がついてきたタイミングで司令部から通信が来た。


 「やあ、フィール。初任務のほどは、順調そうかな?」


 「はい、こちらは順調に作戦が進行しております。」


 「相変わらず堅苦しいなあ...。僕と話すときくらい、もう少し肩の力を抜いてもいいんだよ?」


 そう司令官と話をしていると、デタールネが、まじまじとこちらを見つめている。


 「りーだー、しれいかんとはなしてるの?...わたしもしたい。」


 「デタールネ先輩、別にリーダーは司令官とのお喋りを楽しんでいるわけじゃないんですよ?すぐに配置に戻ってください。」


 「ハハッ、何やらそちらは仲睦まじい様子のようだね。早くも君がこの部隊に馴染んでくれたようで安心したよ。...ああそうだ、言いたいことがあってだね。君たちがいる場所に、シレネジュイ国が奇襲を行おうとしているという情報が入った。対応のほど、お願いする。」


 司令部からの通信が途切れた。


 「ウソッ!?ここからまだおかわりが来るっていうの!?」


 「まあまあ、その処理を任せてくれるってことは、それだけ俺たちを信頼してくれているってことだ。ササっと片づけて、早めに帰ろうぜ!」


 「...うん。はやくしれいかんのとこ、かえる。」


 「ところでリーダー?予想外の事象だけど、対処への作戦はもう考えてある?」


 「既に奇襲への対処を目的とした動きを想定したプログラムはインストールされてある。今、貴方達に作戦を兼ねて共有をする。」


 私は、第三小隊の共有データベース上に作戦用のログを共有した。


 「...相変わらず口頭は使わないんだな。手間が省けて分かり易いな!」


 「作戦は...そうね。確かに相手の戦力を考えると確実性はあるわね。」


 そう話していると、空中にある敵軍の輸送ヘリから、対魔法使い用戦車が二台落ちてくる。


 「お相手も、御託はいいからさっさとしろって言ってるみたいだな!じゃあ、作戦実行と行きますか!そっちは頼んだぜ!」


 ジョイはそういうと、デタールネと一緒に、一台の戦車の注意を引きながら、私たちから離れて戦っている。


 「さて、こっちも始めちゃいましょうか。貴方の力、再度間近で見せてもらいましょうか、リーダー。」


 ムーデナがそういうと、私とムーデナは武器を構え、臨戦態勢に入った。


 私は、敵の戦車から発射される弾道ミサイルを避けつつ、銃弾で装甲を剥がすのに徹し、ムーデナは、支援用の防御魔法を使いつつ、適確に弱点である関節部分を重点的に攻撃する。敵が弱ってきたタイミングで、ムーデナが声を上げる。


 「今回は譲ってあげるわ!さあ、決めちゃいなさい!」


 彼女の声に答える形で、私は剥がれた装甲から見えているコア部分を、剣先を貫いた。途端、戦車は気味の悪い不規則な機械音を鳴らし、火花を挙げている。


 「爆発するわよ!離れてっ、リーダー!」


 私は、すぐさまバックステップをすると、同時に戦車は機械的な悲鳴を上げ、原型をとどめないほどの爆発をした。爆発が落ち着き、一段落していると、ムーデナが近づいて来た。


 「お疲れ様。初任務にしては、なかなか上出来だったんじゃない?まあ、最後の爆発は、私の防御魔法がなければ危なかったかもだろうけどね。」


 ムーデナが話終えると、ジョイから連絡が入った。


 「よぉ、こっちの片は付いたぜ。そっちの様子はどうだ?」


 「ええ、こちらも終わったわ。もう増援が来ることはなさそうだし、帰還の手配をしましょうか。」


 ふと空を見上げると、日が丁度落ち始める時間帯だった。


 しかしそれは、排気ガスによってすぐさま薄暗くされ、緋色というには程遠い光景が広がっていた。


}

※天使について:天使とは、前作である「死を恋うところに魔法少女を。」の敵、モンスター的な見た目をしている。元々ゲームとして作られた都合上、物語とは関係のない雑魚敵として出す予定だったため、この物語上の天使は、正直そこまで重要ではないことから、見た目については好きな解釈で考えてもらっても構わない。

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