表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/48

第九話 "世界の剣"



 ...聞いてない!!!こんな話...!!!






































 「マーラ様、ザナルカンドを誘き寄せました。」


 ...この作戦は、相当な被害を受ける事が目に見えていた。側から見たら無駄な行為だろう。

それでもこの作戦を行う理由は...





   成功すれば、ザナルカンドを滅ぼせる。





                 と言うものだ。




 我等にとって、ザナルカンドの一族は、目の上のたんこぶなどではない。








 暴れ狂う暴風。全てを消し去る稲妻。全てを焼き払う地獄の業火。...力を失ってなお、我等を裁く光龍。













 ......そんな物なんぞよりも恐ろしい、()()()()()()()()()()










 己を必要とする者を"護る"為の聖剣...いや
























     "世剣(せいけん)" エクスカリバー





























 ...奪えるものならば、奪いたいほど恐ろしい物だ。...この剣の前では、どの様な魔術も効果を成さない。ただ所有するだけで、持つ者を護る。...もし使用出来れば、あらゆる"魔"を祓い、あらゆる敵を消し去る。



 ...正しく、"最強"の剣である。



 ...奪った所で、我等に使用できるはずもない。それでも奪う事が出来れば、奴らの力はかなり落ちる。



 そのぐらい、エクスカリバーは強いのだ。



 ...しかし奪う事ができない。...理由は......















  ()()()()()()()()()()()()()()




 







 ...もはや、魂そのものと言っても良いほど、世剣は魂と強固に結ばれている。無理矢理引き剥がすことはできない。...仮に引き剥がせたとて、所有者の元にすぐ戻る。






 ...故に、世剣を消し去るには...()()()()()()()()()()




 「...うむ。よくやった...ふふふ....」



 ...マーラ様はやっとこの時が来たと言わんばかりに喜んでいらっしゃる。かく言う私も、顔がほくそ笑むのを抑えている。



 ......あのティーバであれば気づいていたであろう。

しかし、クガルは全く気づいていないだろう...いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 ......敵ではあるがティーバに同情もしたくなる。我等が"ヘマ"を演じている事はやつも気づいている。...我等も奴も、お互いのことは嫌と言うほど知っている。...しかし愚かな男のせいで、無駄な仕事をする羽目になっている。全く、哀れな者だ...








 たった()()()()()()()()仮拠点を、ザナルカンド全勢力で、攻めなければならないのだから。








 「......はっ.....ふはは......!」


 思わず笑いが込み上げてしまう。それ程までに滑稽で哀れだったからだ。


 「...嬉しい様だな?」


 「......申し訳有りません」


 いや良い、とおっしゃってマーラ様はザナルカンドの軍を観ている。


 「......そういえば、貴様はティーバと殺し合った(やりあった)事は無かったな?」


 「えぇ......恥ずかしながら。」


 そう...ここまで言っているが、私はティーバと対峙した事が一度もない。


 ...強いと言うことだけは話で聞いていたが、実際はどうなのかは知らない。


 「そうか...何度か殺し合ったワシから...一つ助言をしよう。」


 「はっ......」


















 「こだわるな、目をつけられたら逃げろ。」


























 「........はっ???」
























 「......ぁあ!かったりぃ!!!」


 全く...クガルのクソ野郎には本当に呆れている...。自分で行けば良いものを、人に押し付けやがって...!


 「うっ撃て!!早」


 「おせぇ!」


 大砲の様に突っ込んで、魔力をぶつけてやった。

ぶつけられた魔力は、爆発して、拡散して、その場に居た教団の連中に襲いかかった。



 ドカァァ!!!



 ...舞う。子供が花びらを空に散らかしたかの様に、連中の肉体が、赤黒い汁を撒き散らしながら、散り散りになって行く。


 いつまで経っても慣れない気持ち悪い感覚。...臓物の中に腕を突っ込んでいるかの様な感覚。



 「...喧しいぞ...猿かよお前らは...」



 ...魔術なんて意味がねえって、何でこいつらは分からないんだか...撃つ前に仕留められるのに。




 「......アイツか...?」




 逃げている、髭の生えた()()()()()男が。





 本来竜人は、肉体が老いる事はない。竜神達の血には妙な力がある。...その力に、歳を取らないと言うものがある。





 ...竜神達はバルド・ザナルカンドによって、()()()()()()()()()()()()()





 その血を引いている竜人達にも、それは適応される。



 しかし、例外として歳を取る方法...と言うか強制的に取らされる方法がある。





 ...それは、()()()()()使()()()()()使()()()()





 メビウスの魔術は全て、殺す為の術式だ。

敵も味方も関係なく、ただ鏖殺する為だけの魔術だ。仲間の生存どころか、自分の生命を考慮しない。自らの寿命を犠牲にする事で魔術の威力をめちゃくちゃに底上げすると言う等価交換。

 



 簡単な言い方をすれば"縛り"と言うものだ。




 人間が使用すれば、ただ一度だけで寿命を全て使い切ってしまうほどの、"消費量"


 そんな物を使用し続ければ、いくら不老の竜人であろうと、"負債"を受けてしまう。


 だから教団の連中は、老人どもばかりだ。



 「......ちっ...!」



 少し面倒ではあるが、逃がす訳にはいかない。

...というか、元はといえばコイツが厄介なことをしでかしてくれたおかげで、俺はこんな所で戦わされている。

 ......そう考えるとムカついてきたな...!

コイツのせいでエリーテを一人にしなくちゃいけなくなったんだからな....!!

















 「...........責任取らせねぇと気に食わねぇな。」


























 其は続きを望むもの



 「.....集まれ」



 理不尽に反抗するもの



 「.......固まれ」



 "石"の衝突すら拒むもの



 「............放つ」



 無垢なる者を護る、その剣は
































   「..............エクスカリバー」





























 転生教団との戦いは、ティーバ・ザナルカンドの"世剣の解放"により、開戦後僅か一時間で...終結した。




 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ