第五話 経緯
「あ、あの...」
「ダイジョーブ!ホントーニ!!キニシテナイカラ!!!」
「そのわりには、なみだがたくさんでてるよ!?」
またやっちゃった...さっきもおんなのこっていってきずつけちゃったのに、こんどはとしまちがえちゃった。
「ほっホントにごめん!!」
「いやいや、気にしなくて良いよ...君の目から見てそう思ったのならそう言うことだから...だけど...
うぅぅ.....」
アワワ、どうしよう...!せっかくたすけてもらったのにどんどんきずつけちゃってる...!いやでも、こんなにかおがおさなかったら、かんちがいしちゃうよ...!!
「えっと...えっと...!...あっ!ねぇ!!」
「なぁぁに?」
「なんでこんなところにいたの?!」
はなしかえなきゃ!たぶんこのこずっとひきずる!よくわかんないけどおとうさんににてるもん!!
「...えっと、それは...どうして助けてくれたのっていみ?」
「ぁ...いやそうじゃなくて...ぁぅぅ...」
どうしよう...うまくいえない...
「んん〜??.....あぁ、そう言う意味ね」
「ぁっ、えっと...」
「んまぁ〜物凄く簡単に言うと...家出かな?」
「...へぁぁ?」
いえで?いえでってなんだろう?
「なにそれ?」
「...まだ分かんないかな。要するに、もう家にはもどりませんよ〜ってこと。」
...なんで???えっわかんない。なんでそんなこというんだろう?...もしかして。
「...おとうさん...きらいなの?」
「......そう言う訳じゃないよ。」
(ちょっと!!何で無視してるの!!!)
(...無視などしておらん)
(じゃあ、ティーザに対するアレはなに!!!)
(調子づかせてはいかんだろ?...あのような化け物)
(っっっ!!!息子でしょう!!!!)
(あの様なもの産ませる気などなかった!!!!!)
「...父上にも事情ってのがあるんだよ...」
「....?」
...きっとこの子は、お父さんが大好きなんだろう。だからこんな、意外そうに聞いてくるんだろう。
...怨みとか憎しみがあるかと言われると
...正直なところわからない。...あの人が僕を怖がる理由は何となくわかる。...怖がりだったから
「元々家は出なきゃ行けなかったんだ。一二歳になれば教会に行く事になってたしね。」
「じゃあ...なんでいえをでたの?」
「......居る意味が...無くなっちゃったんだ」
(ティーザ、こっちにきて?)
(...お身体に触りますよ。)
(いいから。)
(...頭くすぐったいです。)
(ふふ...可愛いねぇ...)
...あの人が居ない所に居ても、...虚しいだけだ。
「......それに、外に出て色んなこと、したかったしね!」
「いろんなこと?」
「そ!家を出た時、正直驚いたよ...!あぁ、空ってこんなにひろかったんだなぁ...!って!」
そんなふうにはなすティーザくんのかおは、"そらとぶふね"をつくって、よろこんでたおとうさんとおんなじだった
「道は家で見たどんな道よりも長くて分かんなくて!家で見たことない生き物まで居て!」
あたりまえのことをだいぼうけんしたかのようにはさす。...はなすものだから、ついききいっちゃって。
「あぁ!本当に!」
「御伽噺のようだなって!」
(おい!そこの我が小娘!!)
(はっ!!なんじゃいコノヤロー!!)
(えぇ、誠に申し訳ないが...君を始末する。
あしねぇぇぇい!!!)
(ふん!!!)
(こぎぇぇぇえ!!!!)
(やった〜!!またワタシのかち〜!!!)
(ぬごぉぉああ!!なっ、なんて痛みだ!!!あっ足に力が入らん!?!?)
(そこまでやってないでしょ!!!)
(まぁなぁぁ!!ふははははは!!!)
あぁ、そっか。このこおとうさんとおんなじだ...
「...思えば全力で走ったこともなかった。そんな道を見ちゃったもんだから走りたくなっちゃって!」
だから、こんな風に
「楽しくって楽しくって!つい丸一日走り込んじゃって!!」
めちゃくちゃで、明るくて、楽しいんだ。
「そしたら、君の声が聴こえたから、きみに会いにいったってわけ!」
「...ふ...ふふ...!」
「ん?どうし」
「アッハッハッハッハッ!!!!」
「!?!?!?!!どっどうしたの?!」
「ごっ、ごめん..ふふ..アハハ!!いや!めちゃくちゃだなぁって!!思っちゃって!!!」
「?????」
...なっ、何があったのか知らないけど...まぁ
「...喜んでもらえたならよかったよ!」
...こんな僕でも、人を笑顔にできるものなんだなぁ