第四話 人は見た目によらない
「...落ち着いた?」
ずぅっと泣いてた少女に、エリーテに呼びかけた。
「すぅ...うん...!」
泣き腫らした顔で、エリーテは答えた。
たくさん泣いて、気持ちが落ち着いたようだ。
...涙には、気持ちを落ち着かせる効果でもあるのだろうか?
「...ちょっと、気になるな...」
「?...なにが?」
...どうやら口に出てしまってたようだ。
「こっちの話?ってやつかな。」
「そうなの?」
「そうだよ〜。」
さて、適当に話を逸らした所で、本題に入ろうか。
「じゃぁ...そろそろ行こうか?」
「...んっ...」
...手を差し出して来た。
「...?...えっと???」
何をして欲しいのだろう?
「......て、つないで....」
「あっ、そういうことね...」
そう言ってくれればいいものを...
「はい、これで良いかな?」
「あっ...うん...!」
...不安だったから手を繋ぎたかったのか、繋いだ瞬間、笑顔になった。
「.....はぁ.....」
男達の気持ちが少し分かった気がする。こんな可愛い笑顔を浮かべる少女、自分の物にもしたくなるだろう。
...まぁ、だからって本当にしたらダメだけど
「...それでも、可愛いよなぁ...」
「...ふぇ??!!」
「あっ!」
しまった、また口から出た。変な感じになる前に話を変えよう。
「さっさて、それじゃあ外に出ようか!」
「えっ、あ、うん!」
さて、連れ出したはいいものを...どうするか...
「えっと...あっちって言ったけど具体的にはどんな場所かな?」
「ぁ...うーん......おしろ...?」
お城?どう言う事だろう?城が近くにあると言う事なのかな?
...まぁ、細かいことはついてから聞けばいいか。
「ねぇ...ティーザちゃん?」
「...ちゃん?」
ちゃんとは?何故僕のことをちゃんと呼ぶのだろう?
「...もしかして......僕の事女の子と思ってる?」
「........へぁ???」
どうやら思ってたようだ...いや、自分の顔が男らしくないと言うことは自覚してはいるけど...
「ぃゃ...!?うそ!?ご、こめん!!...そそ、その...!かお、かわいくて、かみもながくて!ちっちゃかったからまちがえちゃって!ごめん!!」
おぉう、追い打ちをかけて来た。
「イ、イヤ、ゼンゼンキニシテナイヨ」
「あ!あの!!ホントにごめん!!!」
まさか、悪意なしで心に傷を負うとは思ってもみなかった...
「あっあの、とうぞくたちは...?」
「......」
本気かこの子?自分を攫った奴らのことを心配してる。
「...ここじゃない所に行ったよ。」
「あ、そっか...」
...流石に眠らせたなんて言えないな...
「あ!ねぇ、おうまさんみなかった?!」
「...馬?先頭にいたけど...」
「あぁよかった!ワタシね、おうまさんのれるの!おうまさんにのせてもらえば、おうちにすぐつく!」
そういって、エリーテは馬がいる方に行こうとした。
...眠った彼等がいる方へ
「わっ!...えっ?」
止めなきゃと思う前に手を掴んでいた。...僕はどうもなかったけどあんなの見たらこの子は...
「......馬は僕が連れてくるから、
ちょっと待ってて?」
「...?うん...」
...馬に乗れると言うのは、強がりではなかったようだ。
「おぉぉ、意外に揺れるね...!」
「そぉ?けっこうふつうだよ〜?」
馬に乗ってみたいと言うのは、外に出てからずっと思っていたことだったけど...
(少し怖いんだな...)
「だいじょうぶ?こわくない?」
顔に出ていたのか心配して来た。...不安させてしまうとは...情け無い...
「大丈夫!初めてだから緊張してるだけ。」
「そっか!」
エリーテはどうやら根明のようだ。あんなことがあった後なのにもう元気になってる。
...お母さんも、傷つきやすい癖に、立ち直るのだけは早かったなぁ...
「えへへ...!」
「嬉しそうだね?」
「そりゃもう!おとうとができたみたいでうれしい!」
...ん?また変な言葉がきこえたぞ?
「えっと、エリーテちゃん?」
「な〜に〜!」
「...エリーテちゃんって...いくつ?」
「ん?ななさい!」
「ぁ...そう言うことか.....」
「ティーザくんはいくつ〜?」
「...................」
「?....ティーザくん?」
「....十歳だよ.......」