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第三十話 能力談義

料理回の様なもの。


 「..................」



 集中する。


 上手くいけば、夜ご飯が増える。



 せっかく苦手なミミズを()()()()()()()()


 たくさん。.....これで失敗したら悲しい。



 「........!」



 獲物が来た。



 焦ってはいけない。奴等の危機察知能力は伊達じゃ無い。


 葉音でも立ててしまえば、そこでお終い。



 奴らが油断する.......餌を喰らう瞬間を狙わなければ。



 ......餌を啄んだ。



 「.......ここっ!!」




 ビュン!!



 その一瞬の隙に、鎌風を放った。



 竜人には全くと言っていいほど効かない魔術。


 もはや、イタズラ魔術として使われるぐらいだ。




 だが、神秘を持たない生物には....





 ザシュア!!!




 ......致命的になるほどの魔術。



 鳴き声をあげる暇もなく、奴等の首はストンと落ちた。



 







 ........やった。





 「.......とったどぉ!!」



 ちょっと時間がかかったけど鳥を捕まえられた!


 しかも、二匹!



 「よしよし!....これで完璧!」



 さっき魚も捕まえたし、塩は持って来てるし、その他の調味料は生やせばいいし!


 これで夜ご飯に困る事は無い!



 「じゃあ!後はこれを運ぶだけと。」



 本来なら血抜きしないといけないけど、首チョンパしてるしその必要は無い。


 持って帰って、すぐに料理に出来る。



 「.....ティーザ、相当お腹空かせてたしね。」



 大丈夫と強がってたけど.....明らかにお腹を空かせてた。



 .....きっとあの時、お肉を譲ってくれたからだな。


 パイだって食べちゃったし....このぐらいはしないと!



 「さて、帰るか!」



 ティーザを腹ペコのままでいさせるわけにはいかない。


 早く森を出て、ご飯を作らないと!




 .......と言っても、建てた家のすぐ横なんだけどね。











 「さてと、作るとしますか!...あ、鍋が........石でもいいか。」



 石は万能である!


 いざって時、あれでお肉焼けるしね!



 「おぉ!ちょうど良いところに!」



 人を撲殺出来るほどの大きな石が!


 .....ちょうど窪みもある。



 「これにするか!」



 さてと......じゃあ早速作るか!



 「と、その前に....」



 魔術で分離させてたオリーブ油!


 あれ無いと、作れないからね!



 家の入り口にあったから.....ティーザに取ってもらうか!



 「ティーザ!入り口に油あるから、良かったら取ってくれない?!」




 ..............................



 「ティーザ?」



 あれ?返事が無い。


 おかしいな....家にはいるみたいなんだけど......



 「.......どうしたの〜?」



 ちょっと中に入って、様子を確認した。











 「.......あ。」


 「くぅ.........すぅ........」



 寝てた。


 口からよだれ垂らして。



 「....まぁ、ちょっと待たせ過ぎたしね。」



 ティーザ、なんか疲れてそうだったし。


 .....寝ちゃっても仕方ないか。



 「んん........むぅ.........」



 .......にしてもホント〜に可愛いなぁ。


 こうしてみると女の子にしか見えない。.....そのぐらい可愛い。



 「.......つんつんっと。」



 ちょっと、ほっぺをつついてみる。


 ......結構柔らかい。こりゃ女の子の肌だ。


 ........本当に襲いたくなっちゃうなぁ。




 「んん........ぁむ.....」



 パクッ.....



 「うひゃ!?」



 つついてたら、指を食べられた。


 はむはむと、美味しそうに。



 「んむんむ......」


 「〜〜!!!」



 あぁ可愛すぎるんですけどぉ...!


 白龍状態の私を倒したくせに、何ですかこの異常な可愛さは!?



 こんなのを化け物扱いするティーザの父親は、こんな姿を知って言ってたんか!?



 (無防備過ぎるよ〜!)



 こんなに可愛い顔して.....ちっこいのに強いって、とんでもないギャップだな。



 .....このまま襲って、食べたいところだけど......



 (....その前にご飯作らないとね。)



 私の指を食べちゃうぐらい、お腹が空いてるんだろう。......早く作ったげないと!





 ニュプゥ......



 「ぅぅ........ん.......」





 ティーザの口から、指を引き抜いた。



 ....ティーザの唾液が、糸を引いて指に絡みつく。






 「...............んぅ!」



 それを見て少し欲情しちゃったけど、我慢我慢!


 早く何か作ってあげないと!



 「.....もうちょっと待っててね?」



 ティーザに葉っぱの布団を掛けてあげて、油を取って外に出た。









 「ふぅ......むふふ...!」



 まさか、食べられちゃうとは!


 ティーザ.....あぁ見えて、肉食系かな?


 女の子をあんな風に誘うなんて........罪な少年だな!



 指をこう.....あむって!


 可愛いにも程がある!












 「............................あむ。」



 ティーザの唾液が絡んでる指を見てたら我慢できなくて、つい食べてしまった。







 「..........んむ..........」



 ...........ちょっぴり甘じょっぱい。



 これがティーザの味........













 「............んはっ!?」



 いけないいけない....ご飯作るの忘れる所だった!



 「.......んん!!」



 頭に取り憑く煩悩を払う。


 早く作らなきゃ!ティーザの為にも!








 シリャァン!




 「...ヨシ!」



 取り敢えず、ナイフを作っといた。


 と言っても、木のナイフだけど。







 ツシィィ.....



 取って来た鳥を捌く。


 手羽ともも、皮に胸に、首と骨に分けておいた。



 「ここで.....」



 ギュルキュゥン........




 すぐ近くに玉ねぎを生やした。




 タンタンタン!



 そして細かく切って、胸肉に漬けといた。



 「胸はパサってるしね!」



 こうしとけば柔らかくなる。


 母ちゃんが教えてくれた、肉を柔らかくする方法。




 「後、あれもいるなぁ。」



 ついでに、ニンニクと生姜も生やしておいた。


 ぶつ切りにしたもも肉と手羽に、細かくしたそれらを漬けて塩を振りかけておいた。



 「このまま置いといて......」



 次に皮から......



 「あ、忘れてた!」



 火起こししてなかった!




 ズグォォ!!




 すぐさま木を生やした。


 早いとこ火を起こさないと。石は温まるのに時間がかかる。



 「えっと.....『炎よ、目前の木を焼け』。」




 ボゥワ!!




 取り敢えず、大きな火を魔術で作っといた。



 「よっと。」



 その上に、石を置いといた。


 .....これで温まる筈。



 「......仕方がないなぁ。」



 皮を焼くつもりだったけど、先に魚を捌こう。



 「と言っても.....」



 ワタとって、洗って終わりだけどね。




 ツゥゥゥ......



 腹を開けて、ワタを出しといた。



 「後は塩を....」



 振りかけといて臭みを抜くと......よし。



 「.......どうするか...」



 石鍋が温まるまで、何もやることがなくなった。


 .......どうしよう。









 「........骨でも切っとくかな!」



 後で使えるし。





 ドンッ!!!





 どんどん骨を断っていく。ついでに首も小分けにしといた。



 凍らせておけば、悪くなる事もなく次の日に使える。


 鳥は、捨てる部分が少ないしね。もったいない事はしない。



 「....ダシ取り用はこれでオッケー!」



 よし!んじゃあ.....



 「『水と風よ。凍てつけ。』」





 ヒュキンッ!!!




 ....取り敢えず凍らせておいた。


 魔術は自動化(オートマチック)にしといたから問題なしと。



 「そろそろ良いかな?」



 鍋は温まったと思うけど。



 「ちょっと水を垂らして.....」



 ジュウ!!



 「よし!大丈夫そう!」



 油を引いて、皮と玉ねぎを取った胸肉を鍋に入れる。




 ジュウゥゥ!!!



 「ん!良い調子!」



 後は焼くだけだから簡単だ。



 「あ、もう一羽は.....」



 いくらティーザがお腹空いてるからって、そこまでは食べれないと思うし.....



 「.....こっちも凍らせとこ。」



 そうすれば、また取りに行く必要も無くなるし!




 ヒュキンッ!!!




 「〜♪」



 後はもう楽ちん。


 焼いて、ひっくり返して、焼いて、木の皿に置くだけ。



 「一品完成!」



 次は揚げ物を.......あっ!



 「......衣が無い...!」



 しまった....いつも小麦粉があったから油断してた...!





 「.........仕方ない。」



 変更して、葉っぱに包んで蒸し焼きにしよう!


 素揚げしても良いが.....衣が無い揚げ鳥は揚げ鳥じゃない!

 



 キュゥゥ!!!



 家の葉っぱを一部大きくして、切り取った。



 「これにっと。」



 漬け込んでた肉を玉ねぎを下にして包んで、魔術でちょっとだけ鍋から浮かせて、水を注ぎ込む。




 ジャァア!!




 沸騰したら蓋をしておく。



 これで待っておけば完成だ!





 「.....ふう...あっ!」



 そうだ!魚!!


 鳥に夢中になってて忘れてた!





 「えっと.....うん!水抜けてるね。」



 臭みも無くなったし、後は串に刺すだけかな。








 「〜♪」



 まぁ、串に刺すのもそこまで大変じゃ無いけど。



 .....何だったら、母ちゃんに隠れていつもやってたし。



 「火元にやっといて.....よし!」



 これであらかたは終わった。


 んじゃあ。



 「ティーザにこれを食べさせるかな!」



 先にできてる『皮と胸肉の石鍋焼き』を食べさせよう!



 .....ふっ。我ながら良いセンスだ。









 


 「ティーザ!ご飯できたよぉ.......」


 「すぅ.....にゅぅ........」



 家の中に入ってみたが.....まだ寝てた。



 「.....余程お疲れだったんだなぁ。」



 でも、起きてもらわないと。

     せっかくティーザの為に作ったんだから!



 「ティーザ、起きて!」



 肩を揺すって起こそうとしてみる。



 「.....んん....」



 意外にすんなり起きた。




 「起きたかこの寝坊助さんめ!」


 「......んぅ....?」



 まだ目がトロンとしてる。


 .....こりゃ頭の方が起きれてないな。




 「ご飯出来たから!これ食べて待」


 「......かぁさん?」




 ―――――――――――――――――






 「........いって(逝って)なかったの....?」



 あぁ、ホントに寝ぼけてる。


 私を、あの優しいお母さんだと思ってる。





 「.........................かぁさん....」



 ティーザの顔は、嬉しさも混じってた。


 会える筈のない人に会えて、嬉しそうに。








 「.......んもぅ....」



 何が『一人の方がいい』だよ。


 .......君、無茶苦茶甘えん坊じゃん。





 大人ぶってたけど........やっぱ子供じゃん。



 .......誰かにいて欲しかったのに強がって一人になって....我儘も言わずに。


 何でも出来るくせに、何も求めないで......




 ......そんなに人が怖かったの?




 「........起きて?ティーザ。」



 大丈夫だから。


 .......怖がる必要なんて無いから。



 ........一人ぼっちになんて、させないから。






 「.........ん!?ディアドラ!?」



 どうやら、しっかり目を覚ました様だ。



 「ソウデス、ディアドラですよ?」


 「何でちょっと片言?」



 さっきまでの、甘えん坊な態度はもう無かった。


 ちょっぴり抜けてる、剣士の顔になってた。



 「ご飯出来たから!ちょっとこれ食べてて!」



 料理を出して、外に出ようとする。



 「....ねぇ、ディアドラ!」



 そしたら、呼び止められた。



 「.......な〜に?」


 「えっと.....僕、何か言ってた?寝ぼけてたみたいで.....」



 どこ行ってたのとか、ありきたりな事を聞かないんだな。



 「.......秘密!」


 「えっ!?ディアドラ!?」



 あんな事、本人に言えるもんですか!



 



























 「......よし!」



 取り敢えず、全部でけた!



 「後は...!」



 これ運んでティーザと一緒に食べるだけ!


 .....喜んでくれるといいなぁ...!







 「ティーザ!『皮と胸肉の石鍋焼き』はどう?!」


 「あ、おかえり!ディアドラ!」



 元気よくティーザは挨拶してくれた。



 .......()()()()()()()()()()()()()







 「あれ......食欲無かった...?」



 ひょっとして、美味しそうに見えなかった?



 ...........どうしよう。



 「えっ?....あ!違う!!そういう事じゃ無い!」



 お肉食べさせてくれたからって思って作ったのに....お腹空いてるだろうなって思ったのに.......



 ....どうしよう。余計な事しちゃった...?



 「あのっ!...ディアドラが一生懸命作ってくれてるのに、僕だけが食べてるのはおかしいと思って、待ってただけだよ...!」



 そう言っているティーザの心は、焦りに満ちてた。



 (どうしよう....こんなつもりじゃ無かったのに!ディアドラを悲しませてどうすんの!?)







 .........ホントに待ってただけ?



 「......待ってくれてたの?」


 「うんっ!我慢してね!?」



 (こんな美味しそうなもの見て、食欲湧かないわけないでしょうに...)






 ......そっか。


 ........我慢しててくれたんだ。



 お腹空いてるだろうに。.......私のために。



 「.......全く!我慢しなくてもよかったのに!」



 元々ティーザの為に作った料理なんだから、遠慮しなくても良かったのに。


 ......優しいなぁ。



 「いや、あの.......食べるなら、ディアドラと一緒が良かったから...と言うか、何というか......」



 恥ずかしいのか、顔を赤くしてゴニョゴニョと喋る。


 その仕草が可愛かったもので。



 「なになに〜?もっとハッキリ言ってよぉ?」



 ちょっとからかっちゃった。





 「〜!!....何でも無い!」



 プイッと顔を背けた。



 .......そういうところが可愛いんだよ君は!!!



 「はいはい、ごめん!...じゃあ食べましょっかね!」


 「あ、うん!」



 私が椅子に座った途端に、ティーザは食べ始めた。


 我慢の限界だった様で、目に見えない速さで肉を取ってた。






 「はむ........〜!!!美味しいよディアドラ!!」



 無邪気な笑顔を浮かべるティーザ。


 その笑顔がとても可愛らしくて。

    ......その笑顔を向けてくれた事が嬉しくて。



 「...まぁ?!私が作ったからね!」



 ちょっとだけ自慢しちゃった。





 「この.....なんか変な葉っぱ包みは何?」



 変な葉っぱ!?


 そっ、そんな語弊のある言い方されるなんて....



 「これは、『ももと手羽の包み焼き』だよ!」


 「包み焼き?.....そんなのあるんだ。」



 あるのです!



 .....まぁ、母ちゃんがやってただけで本当にある作り方なのかは知らないけど。



 「すん.........この匂い、ニンニクと生姜?」



 何!?


 ティーザ....まだ包みを開けていないのに、中身に気づいた!?



 「鼻がきくねぇ。その通りさ!」



 スタミナ付けさせようと思って、ニンニク使ったんだし。生姜は香り付け。



 ......本当は揚げ鳥の予定だったんだけどなぁ。




 「.....この近くにあったの?」


 「いやいや、生やしといた!」



 動物は難しいけど、植物なら簡単だしね。



 「生やす?.......あぁ、君のか!」


 「そうです!」



 能力使った方が手っ取り早いし!



 「なんかごめんね?....爆睡かまして、食料取りに行かせちゃった挙句、料理もしてもらって.......」


 「気にせんでいいよ!」



 私も久しぶりに料理したかったし!





 「そっか......ありがとう、ディアドラ!」



 あ......お礼.....



 「―――――――――――――――」




 .........言われたくてやった訳じゃないけど.....



 「....ふへっ!...気にすんなって、ティーザ!」



 ....やっぱり言われると嬉しい。



 「....ディアドラも食べなよ。君、フォークが動いてないよ?」


 「おっと!」



 いけないいけない.....ティーザに見惚れてしまって食べる事を忘れてた。



 あの時のティーザとおんなじ事やるところだった。



 「じゃあ....ぁん!......んぅ!上手く出来てる!」































 「ぷわぁ!美味しかったぁ!」



 こんなに美味しいの食べたのは、久しぶりだな。



 ......ディアドラ、料理も出来たんだなぁ。


 ..........最強すぎない?



 「美味しかったんなら、良かった!」



 ディアドラは褒められて嬉しいのか、ずっとご機嫌だった。



 .......こんな子が、教団の連中にだけは冷たいのが意外なんだよなぁ。


 氷なんかよりも冷たかったし。



 「あ、ねぇディアドラ?」


 「何ですかい?ティーザ君!」



 そう言えば、気になってた事があった。



 「えっと.....君の能力ってさ?....どんなのなの?」



 木を生やす能力かと思ったら、そうじゃないみたいだし.....一体どんな能力なんだ?




 「ん?.....ティーザとちょっと似てるだけだよ?」


 「......僕と?」



 ディアドラには能力を見せてない筈......なのに知ってる。


 .......なんで?




 「えっと....ティーザの能力って『星の願いの具現化』でしょ?」


 「......当たってる...!?」



 嘘でしょ!?言い当てた!?



 そんな....母さんから教えて貰ったから、有名なのかなって思って聞いたら、みんな知らなかったのに。




 「....まぁ、ティーザの能力を知ってる奴はそうそういないよ!」


 「.....じゃあなんで君は知ってるの?」



 知ってるやつがいないなら、君が知ってるのもおかしな話だよ?




 「母ちゃんから聞いた!」


 「あ、そう言うことね.....」



 君のお母さん、博識すぎない?




 「んで、私の能力ね!....『星の生命の具現化』だよ!」


 「.......はい?」



 待って?なんて言った?


 .....『生命の具現化』?


 ........僕のも意味不明だけど、この子のも意味不明だ。



 「えっと......簡単に言うと、()()()()()()()()()()()()


 「.........はぁ!?」



 生み出すって.....一から!?



 それはいくらなんでもおかしすぎる!


 生命と言うのは、母となる者がいて初めて生まれる。


 そこから色んなのを受け継いで、生命は生まれてくる。



 その行程をすっ飛ばして、生命を生み出す!?



 「いやっ.....流石にそれは....」


 「ティーザだって、願ったら簡単に叶うでしょ?それと同じだよ!」



 いや、それはそうだけど......それは最早、魔法でどうにかなるものじゃない。



 「まぁ、生命を生み出すって言ったけど、意識せずに出来る訳じゃないよ?私の場合、物に生命を吹き込んで生み出してる訳だし。」



 ......そうか。


 物を"母体"に見立てて、生命を生み出してるのか。



 だったら、不可能じゃない。


 ......不可能じゃないけど、簡単な事でもない。




 魔術や魔法で出来る生命は、大抵は"再現"だ。


 本物じゃない。.....その生命を、術式が演じてるだけ。



 それをディアドラは、"実現"まで持って行ってる。




 「.....能力と魔力の掛け合わせ?」



 生命を生み出す能力と、ディアドラの()()()()()()()()


 それがあって、そんな奇跡を生み出してるのか?



 「魔力?.......あぁ、勘違いしてるね!」


 「.......勘違い?」



 何が間違ってると言うのだろう。



 「私の魔力は、()()()()()()()()()()!...掛け合わせなんかじゃないよ。」


 「.....えっ!?」



 ちょっと待って?


 .....それって、あの魔力は余剰なんかじゃないって事!?








 ......いや、それだったら出来なくもない。


 魔力で生命を作っても再現になってしまうのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 生命活動において、いらない物とされるのが魔力。


 魔力は、生きなければいけない状況で生命活動の邪魔にしかならない。



 体内である筈のない現象を起こされたら、死んでしまうからだ。





 生命エネルギーは、その場に"在り続ける"為に必要な、『プラスのエネルギー』。


 逆に魔力は、その場に"存在しない"現象を引き起こす為に必要な、『マイナスのエネルギー』。



 生命活動に要らない魔力を注ぎ込んでも、再現にしかならないのはここにある。





 「.....でもそんなことやったら...」



 普通は死ぬ。


 生命エネルギーは、必要最低限しかないからだ。


 そんな物を使えば、魔力を無理矢理作り出す事よりも、消耗は激しい。




 「私の身体は特別でね?....()()()()()()()()()()()()()()


 「.....なにそれ...?!」



 そんな話聞いた事がない。


 生命力が人より多いなんて話は、なんぼでもある。でも、生命力が無尽蔵なんて話は聞いた事がない。



 そりゃ、他人から奪えば話は違うだろうけど.....


 素の状態でそこまでの生命力を持つ者は、まず居ない。



 「まぁ、私はナーガの転生体だからね!.....ティーザだって、周りと違う特性がある筈だよ?」


 「.....僕が?」



 ディアドラの様な特性があるのか?


 .....でも、そんな特別な事なんて無かったと思うんだけど.....



 「当たり前になりすぎて分からないだけかな?.....バルド・ザナルカンドは、体力が無尽蔵だったらしいけど?」


 「.......あ!!」



 そうだ....よく考えたら、僕は体力がなくなる事がなかった。


 その気になれば、ずっと走り続ける事も出来る。



 「.....それが僕の?」


 「肉体の特性だね!」



 体力が無尽蔵。





 .....あり得ないと思ってた事は、僕が既に実証していた。



 僕がそうなら、ディアドラのもあり得ない事じゃない。



 「だから、生命を生み出す事が出来る訳!」


 「.....なるほど。」



 ディアドラの能力の秘密が分かった。


 そう言う事だったら、おかしな事ではない。



 「私の能力は、見方によっては魔法と同じだから!.....何だったら、ティーザの方が凄い能力だよ?」



 ......僕の方が?


 いや、どう考えても...



 「生命を生み出す方が凄いと思うけど?」



 だって、その気になれば動物の軍隊を作る事が出来るって訳だから。


 しかも、本人も強いときた。



 僕の様な、何が何なのか分からない物よりも凄い。



 「捉え方の問題だね。『願いの具現化』って言ってるけど、要は()()()()()()使()()()()()()()()()()()


 「........魔法を!?」



 魔術の心得は一切ないのに、空を飛べたり、届かない斬撃を届かせたり出来たのは、魔法を使ってたから?



 .......でも。



 「.....僕、魔法の事を理解できてないよ?」



 どんな物であろうと、それの事を理解できなかったら使う事は出来ない。



 魔術を使うには、その魔術を理解しなければ使えない。


 詠唱、術式、魔法陣、魔力量、イメージ。



 その全てを理解した上で、魔術は成り立っている。




 それは、魔法でも同じだ。



 でも魔術と違って、魔法は再現じゃなく、実現だ。



 ほぼイメージだけで構成されている。それが世界に反映されるのが魔法だ。



 「ティーザ。....魔法もね、願いと同じなんだよ。」


 「.....えっ?」



 魔法が願いと同じ?


 ....どう言う事だ?



 「.....誰かを助けたい、助ける為に敵を倒す、誰かを温めてあげたい。.....そんな願いを叶えるのが、魔法なんだ。」



 .......?



 「えっと...?」


 「まぁ、要するに!ティーザが何かを願うと、それを能力が叶えようとして、魔法が発動しちゃうって事!...簡単に言っちゃうとね!」



 .....ちょっと理解できないが、要するに僕は...



 「.....魔法の原理を理解してるってこと?」


 「自覚はしてないけどね!」



 .......ダメだ、頭がこんがらがってきた。


 前も魔術の本を読んで、理解出来なくて知恵熱を出したからなぁ。



 ....この子の様に、魔術を理解出来てる訳じゃない。



 「....んん?」


 「まぁ、理解は出来なくてもいいよ?....大事なのはイメージさ!」



 .....イメージ?



 「火をつけたい、水を出したい、雷を出したい。....その願いを明確に出来ればいい。......まぁ、魔法の理解を深めるんじゃなくて、能力の理解を深めた方がいいって話!」







 .................だったら何で....



 「.......僕は......」


 「ん?どしたぁ?」



 ................いや、無駄だ。


 考えた所で意味が無い。



 .......もう、終わった(母さんは逝った)のだから。



 「...........んもぅ.....」



 ......観られたのだろうか。


 .........失望されたかな。







 「......そうだティーザ!お風呂入らない?!」


 「.......お風呂!?」



 ディアドラがまた変な事を言い出した。



 「えっ!?今から水汲みに行くの!?」



 正直、もう寝たいんだけど.....



 「違う違う!.....この家、何もしなくてもお風呂に入れるんだよ!」


 「......マジで?」



 街中の様に、水道が通ってる訳でも無いのに?



 「自動化魔術を使ってね?.....あれ便利なのが、一度術式をコピったら、そのまま扱える事なんだよね。」


 「.....まぁ、分からなくも無いけど。」



 自動化魔術は、一度使った魔術を"記録"しておけば、難しい行程をせずに行使する事ができる。


 そして何より、別に本人の魔力じゃなくても良い所も利点だ。



 昼間の鍋屋の印の様に、大気中の魔力を使う事もある。



 「前にやっといた、『水の召喚』の術式を使ってね?なんぼでも水を使えるのよ!」


 「.......それって、あったかいのも?」


 「もち!出来る!」



 .....召喚自体は難しい事じゃ無いけど....あれを自動化(オートマチック)にするのは骨が折れる筈だ。



 召喚しながら、記録をしないといけないのだから。



 ......本当にこの子は凄いなぁ。



 「私は食器を処分するから、先入ってていいよ!」


 「えっ?....いや、処分なら僕が」


 「まぁまぁ良いから!...ね?」



 そう言ったディアドラの目は、やる気になってる母さんと同じ目だった。




 (......これは譲らないな。)



 ....仕方ない、ここは大人しく言う通りにしとくか。

 


 「分かった、じゃあ先にお風呂に入っとくね?」


 「それで宜しい!....あ!お湯出す時は、印に魔力を通してね!」


 「分かった!」



 頷くとディアドラは、食器を持って外に出て行った。



 「.....さてと。」



 じゃあ、噂のお風呂に入ってみるか。



ちなみに俺は、片栗粉派!

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