第三話 "名前"
(...ん?...何だあいつ?)
...とつぜんばしゃがとまった。どうやらとうぞくたちのまえにだれかいるみたいだけど...
(...なんでガキがこんな所にいる?)
...?!
「んーー!!んんんぅぅ!!!」
(っ!おい黙れ!ぶち殺されてぇか!!)
やばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!
このままじゃ...そのこまでつれさられちゃう!!
(おい、どうする?)
(....相当な美形だな...多分高く売れるぞ...)
とうぞくたちは、そのこをつかまえたあとのことをはなしてる。このままじゃ...!
(...にげて!!!あぶないから!!!)
こころのなかでおもってもつたわるわけないのにそんなことを、ねがってた。
(...?)
とつぜんなにもきこえなくなった。さっきまではなしてたとうぞくのこえがきこえない。
...シャ、シャ、シャ
...かわりに、こっちにむかってくるあしおとがする。
...カチャ
...えっ?かぎがはずれた?
そしてきゅうにとびらがあけられた。
「......大丈夫?」
めのまえにあらわれたこは、おとうさんのようなきれいなきんいろのかみで、ほしをちらかしたようなきれいなめをした
...かみさまのようなこだった
「...盗賊ってあんなのかな...?」
聴こえた方向には、馬車を連れた二人組の男がいた。傷跡が身体中に蜘蛛の巣のように張り巡ってて、ハエが棲みついているくらい不潔な男たちだった。
「...うん」
見た感じ、ただ格好だけのようだ。...弱い
(...?...んだ..いつ?)
どうやらこっちに気づいたようだ。珍しいものを観るような眼で、僕を見ている。
(...!おい黙れ!ぶち殺されてぇか!!)
...どうやら中にいる子が騒いでいるようだ。
...彼等は馬鹿なのだろうか?子供は騒ぐ生き物だ。皆で騒いで周りの大人を困らせたり、不安にさせたりする...すぐに死んでしまう生き物だ。
そんな子を無理矢理閉じ込めたら、その子だって抵抗する。怖いから。
...彼等にも子供の時はあっただろうに、なんでそんな事をいうのだろう?
彼等がこっちに来た。多分僕も連れてく為だろう。
(...にげて!!!あぶないから!!!)
...そんな声が聴こえた。
...全く、この子もあの人と同じだ。...自分を後回しにする。
...早く助けてあげないとな。きっと、今一番怖いだろうから
「おい、そこのお嬢さ」
油断しきってる男の剣を奪った
「...はっ?」
どうやら何が起きたのか分かっていないようだ。
容赦なく男の身体を斬った。
ぐちゃ、びちゃっという音が聞こえる。どうやら切れ味が悪かったようだ。途中で少し引っかかった。
ごろんと、袈裟斬りした男が二つに分かれて倒れた。
「...へっ?」
...やっぱりだ...あの時木刀で殴った時より気持ち悪い。
「...おっ...お前...」
もう一人が怯えてる。...そりゃそうだ。子供を攫おうとしたら、人が死んでいるのだから。
「...お前は...何だ?...」
おかしな事を言う。...あぁ、そう言うことかな?
「...悪魔...かな?」
男の顔が白くなる。まるで〆られたタコのように。
もう二度、会いたくたかった者に会ってしまったように
「っ....!」
男が振りかぶる。遅い。
躊躇う事なく剣を振り上げた。
「...ぶぅっ!!...はぁ...?」
...そんなに焦っていたのだろうか。斬られた事に気づいていない様だった
「...あぁ、また...あっち....まっ...た.......」
そんな事を言って、眠った。
「......君にあった覚えはないよ...?」
...鍵が掛かっている。
「...外れろ」
カチャ
「んんん?んぅぅ」
...縛られている女の子がいた。
とても元気がありそうで、活発な雰囲気があって、いるだけで周りを明るくしそうな女の子が。
...その印象を、手足を縛っている縄と、口を縛っている布が否定しているけど。
「......大丈夫?」
「んんぅ...」
どうやらかなり参っているようだ。
「...解けろ」
シュル、サァ...
「えっ?なんで...?」
解かけたことを疑問に思っているのか、そんな事を少女は言った
「...単刀直入にいうね。」
「...へ?」
...怯えさせないように、優しく。
...不安がらないように、堂々と。
「...僕を呼んだのは君?」
...どうやら心あたりはあるそうだ。
「...あっ....えっ..と...」
遠慮しているのか、言い出せないようだ。
...どうすれば、いいのだろう...
...母さんのようにしてみようか...
「...大丈夫。」
「...んぇ?」
「僕、強いよ?」
(私、お母さんですよ〜?)
そんな風に言って、僕にわがままを言わせそうとする、あの人がよぎった。
「んんぁ...!!」
...泣いてしまった。...でも辛い涙じゃない。
きっと、安心して流してしまってる涙だ。
「...もう一度...言ってくれないかな?」
できる限り、優しく声を掛けた。
「僕を呼んだのは、君?」
「.....うん....!」
...やっと、本心を聞き出せた...
「...家はどこ?...連れてってあげるから」
「...あっ...ち...!」
「分かった。...泣き止んだら行こうか?...あっ」
そうだ、肝心な事を忘れていた。
「ごめん、名前教えてもらえる?」
「ぅぅ.....エリーテ.....ザナルカンド.....」
...奇妙な偶然だ。
「僕と同じだね」
「...ぅぅ?」
「僕はティーザ。
ティーザ・ザナルカンド。」