第二十八話 二度目
やってしもうた.....と、今になって後悔している。
何故なら。
クゥゥゥ........
「.......はぁ..........」
本当にちょっとしか食べれてないから。
食べた物と言えば、ねぎと人参ぐらいしかない。
.......まさかディアドラが、あんな可愛い顔して食べるなんて思っても見なかった事だったから。
思わず、残りのお肉全部渡してしまった。
「んにゃ〜!美味しかったぁ!!」
『満足です!』を顔に出しながら、ディアドラは言った。
ポンポンとお腹を叩きながら。
「ほぁぁ...........................はっ!?」
さっきの脳焼きでおかしくなってしまったのか、その仕草もまた、可愛らしいと思ってしまった。
スタイルの良いディアドラが、膨らんだお腹をポンポンと叩く姿を。
「.......んんぅ!」
「どおした〜?首振ってぇ?」
全く.....変な妄想をするんじゃないよ。
まだ遊び足りない様な子に、それはダメだ。
「何でもないよ!」
「そっか!」
にしても.....閑散としてるなぁ。
フォスターは、街というより村に近いとは聞いたけど......流石に人が居なさすぎだ。
不審過ぎる。
........こういう時は大体何かある時だ。
「.....ねぇ、野宿の経験ってある?」
「結構あるけど.....どったの?」
ここで宿屋を見つけようと思ったが.....
「.....ここ、ちょっと危ないかもしれない。」
僕一人ならまだしも、ディアドラが居る。
こんな子が襲われたら、流石にどうなるかは僕でも分かる。
......そんな事だけは避けたい。
「...言ったでしょ!私、強いって!だから大丈夫だよ!」
「それでも.....ちょっとね。」
何故だか、僕もここに居たくない。
ここに留まるぐらいなら、野宿の方がマシだと思うぐらい。
......僕がこう思うって事は、かなりマズい事があるって事だ。
「........まぁ、ティーザがイヤだと思うんなら野宿でも良いよ!」
......観られたのかな?
観て、気を遣ってくれたんだな。
.........本当に申し訳ないなぁ。
「ごめん.....じゃあ早いとこ外に行こっか!」
「うぃ〜す!.....あと気にしなくて良いよ!」
――――――――――――――――
全く.....変な事を言い出すかと思ったら、こっちを気遣って......
大変な子だなぁ。
「ありがとさん.....」
「んもぉ、気にせんで良いと言ってんのに〜!」
そのまま、街の外に出ようとした........が。
「もし?そこのお二人さん?」
妙な老人に声を掛けられた。
「................何でしょうか。」
直感で分かった。
........コイツは危険だと。
「いえ.....この街は今危ないのでね?子供二人では危なかろうと.....」
.....コイツ、人攫いでは無さそうだが......何だ?
この、心の底から気持ち悪さを感じる悪寒は?
「向こうの方に"教会"があるので、そこまで案内しようと思いましてね?」
....隠し切れないほどの悪意を、この男から感じる。
.......この老人が何者かは分からないが、一つだけ分かった事がある。
ついて行ったら最悪殺される。
「................」
どうする?
この感じじゃ、多分諦めない。
ここで殺し合うならそれでも良いが....ディアドラが居る。
コイツを一撃で屠ってディアドラを護れる自信は、全くない。
........どうする?
どうすれば正解だ?
「........化けの皮、剥いだらどう?」
途端に、ディアドラがそんな事を言った。
「...えっ!?」
「さっきから気持ち悪いんだよ、上っ面だけで。殺したいのならさっさとすれば良い。」
ディアドラが怒っている。
太陽の様に暖かい筈の目が、とても冷たく感じた。
....まるで、殺したいほど嫌いな人に出会った時のように。
「アンタらはいつもそうだ。.....そんな風に回りくどいやり方をするから、余計に人が苦しめられる。そんなに私達が憎いんだったら、何も考えずに挑んでくれば良いでしょ。」
「何を言っているのかな?ディアドラちゃん?」
......老人はそこまで動揺してなかった。
何だか、こうなるだろうと予想してた感じだった。
......て言うか、ちょっと待て?
.........ここで"ディアドラ"なんて言葉、言ってないぞ?
「ここら一帯が静かなのもお前らの仕業でしょ。......じゃなきゃおかしい。」
「..................ふっ。」
老人が笑う。
....悍ましい程、口を歪ませて。
「.....どこで分かった?......ティーザの方は、危険だとしか気づいてなかったが?」
「お生憎、観れるのでね。老人って時点でおかしいと思ったよ。それに........何で知らない筈の私の名を知ってる?」
......そうだ。
違和感があると思ったら、コイツ....老いている!
普通、竜人は歳を取らない筈だ。
例外として取る方法はあるが、普通は無い。
そして......"奴等"は歳を取っていた。
それに.....僕はまだしも、ディアドラは有名じゃない。
世間一般からしたら、まだ誰も知らない筈だ。
........何で知ってる?
「.....もう意味がないか...!」
老人が手を挙げた。
シャラン!!!
手を挙げたのが合図だったのか、老人達が突然姿を見せた。
恐らく、魔術で姿をを隠してたのだろう。
「.....来たみたいだな。」
「........囲まれた...!」
数は五人。
しかし、全員実力者だという事も分かる。
そのぐらいの風格がある。
「申し訳ないとは思うが、ティーザ・ザナルカンド、ディアドラ・ナーギニー。.......我が神の供物になってもらうぞ。」
......コイツら、どこで僕の名を知った!?
訳のわからない事を言って、奴等は魔術をセットした。
........見覚えのある、暗闇の玉だった。
「.....やっぱり、教団か!」
こんな所に現れるとは、正直思ってなかった。
コイツらの狙う場所は、国の騎士団が居ない場所だ。
表立って動けば、本拠地がバレる危険性があるからだ。
フォスターは、戦力が小さいとは言えフルシュの騎士団が居る。
つまり、何かあればすぐに教団がいるとバレる。
だから、いくらここでも教団はいないだろうと思ってた。
「此度はこの程度で来ているのでな。捕まっても本拠地がバレる心配はないのだよ。」
....完全に油断してた。
「ティーザ・ザナルカンド。貴様には計画を無駄にしてくれたお礼がある。........絶対に逃さんぞ。」
........どうする!
「........全く....情け無い事この上ないな。」
ディアドラが口を開く。
その言葉は、落胆混じりの.....罵倒だった。
「......それはどういう事だ?ナーガの転生体よ。」
ディアドラの発言が気に障ったのか、老人は苛立ちながら聞き返してきた。
「......転生体とは言え、大人が子供を大勢で虐めようとしてる事だよ。」
........目がもう冷たいどころじゃない。
刺す様な、鋭い目だった。
「大勢で少数を倒しにかかる。.....それは、『自分はそうしないとそいつに勝てない雑魚です』...て言ってる様な物でしょ?」
「.........貴様...!」
ディアドラのその反応を見て、僕は驚いていたし、納得もしていた。
記憶の中のディアドラは、男に関してだけはとても怒っていた。
.......何故だか、僕は違うみたいだけど。
.....多分、僕だけは特別で.......他の男にはこんな感じなのだろう。
それに、ディアドラのお母さんはコイツらに狙われていると言っていた。
.......お母さんっ子なディアドラにとっては、絶対に許せない奴らなんだろう。
「その上、子供にそれをやるとは........いくら何でも情け無い連中だなぁと、私は思う訳だよ。」
冷たく、興味のない様に、言い放つ。
.......まるで、『お前達は救えない』というかの様に。
「.........相当な死にたがりの様だな...!」
「母ちゃんにも大勢で詰めかけて、情け無いとは思わないんでしょ?.......どうしようもないね。」
老人達はもう、いつ爆発してもおかしくない爆弾の様になっていた。
......そして、爆発した。
「っ!.....殺せ!!ディアドラは半殺しにして、ティーザはこの場でだ!!!」
奴等が魔術を放とうとしている。
.......僕は大丈夫かもだが、ディアドラが大丈夫かは分からない。
「.....っ!!!」
屠る事はそこまで難しい事じゃ無い。......ただ、ここは街だ。
人がまだいるかも知れない。.....そんな中で、あの時の様な一撃を放つ訳にはいかない。
一人ずつ倒すしか無いが.....
あの老人を倒せても、他が魔術を放つ。
......どうする!?
「........ティーザ、大丈夫。」
「...え?」
さっきまでとは違って、とても優しくて、暖かい声で、ディアドラは僕の耳元で囁いた。
「行け!!!」
マズい...来る!
「......『絡め取れ』。」
ディアドラが何かを呟いた。
目を閉じて、集中する様に。
.......その仕草が、能力を使う時の僕と同じだった。
ズゴッシャァ!!!
.......そして突然、地面から大木が生えて来た。
「何!?」
「えっ!?何これ!?」
老人の方も、僕も驚いた。
何の起こりもなく生えて来たからだ。
そして.......
ギュルギュルギュン!!!
「うわっ!?」「がっ!!!」「何だ?!!」
ドグォォ!!!
「うぐっ!!!」
その場にいた教団の奴等を、全て絡め取ってしまった。
「―――――――――――――なっ...!」
呆然としてしまった。
能力を持つ者を初めて見たというのもあるが.......
ここまで大規模な能力があるとは、聞いた事がなかった。
「...こんな...!」
「だから言ったでしょ?私、強いって!」
ディアドラは胸を張って、言い張っている。
「あっ!一応全力じゃないからね?」
........これで......全力じゃないのか...!
「..............すごい...!」
心の底から出た本音。
自分が強いとは、ずっと思っていた。
/自分以外は弱いと思ってた。
これは慢心でも何でもなく、そう思ってた事だ。
だから、凄かった。
......そんな僕に、『この子は強い』と思わせたこの少女が...!
「......〜〜!!そうでしょそうでしょ!!凄いでしょ!!!」
「うぇっ!?」
褒められた事が嬉しかったのか、尻尾があったら激しく振っているんじゃないかと思うぐらい、飛び回ってた。
「ここまで大きいのだと、時間がかかるんだけど!相手が話を聞いてくれたから上手くできてね!!凄いでしょ?!凄いよね?!!」
結構しつこく聞いてくるなぁ。
......よっぽど嬉しかったんだな。
「....うん。正直びっくりしちゃった。.......本当に凄いよ、ディアドラ!」
だから、本音を言ったげた。
「〜〜〜!!!やったぁぁ!!!」
ぴょんぴょんと飛び回るディアドラ。
親に褒められた幼子の様に、可愛らしかった。
「わぁい!!!」
ふゆん、ふゆん.....
.......幼なげな顔にしては、たわわな胸が揺れて.......目のやり場に困る。
「ぐっ......こんな物....!」
奴が、魔術を使おうとする。
...大木を壊すためだろう。
「やめた方がいい。.....死にたいの?」
淡々と、ディアドラは言った。
...テンションの落差が激しすぎて、びっくりした。
「っ!.......どこまで舐めれば気が」
「その木には、反射魔術を掛けてる。.......下手な事すると死ぬよ。」
....しれっととんでもない事を言った。
反射魔術。....読んで字の如く、魔術を跳ね返す物だ。
とても便利な物ではあるが、『転移』とは違う意味で難易度が高い。
難易度が高い主な理由は、反射魔術は『実体のない魔力を跳ね返す』物だからだ。
例え魔術を用いられた物でも、目に映っているのは現象だけで、魔力ではない。
反射魔術は、現象を跳ね返す物ではない。
魔力を持って魔力を跳ね返す、ある種、超技だ。
しかも跳ね返すには、魔力を"流す"必要があるらしい。魔力を張るのも難しいのに、そこから魔力操作をしないといけない。
だから、反射魔術も難しい。
「―――――――ハッタリを抜かすな!!あんな物、魔力操作なしでできるか!!!」
.......まぁそうなるよね。
魔術は自動化する事は出来るが......それは簡単な魔術に限る。
そこまで難しい魔力操作を必要としない魔術........炎や、風の発生.....魔力掃射などに限定される。
.....少なくとも、反射魔術は無理だ。
「ハッタリだと思うのならどうぞ?....警告はしたから。」
ディアドラのこの反応.....
........心を聴かずとも分かる。
これはハッタリじゃない。
「......舐めるなっ!!!」
警告されたのにも関わらず、老人は魔術を木に放った。
キャン!!!
グォン!!!!
撃ち出された闇玉は、木に当たって.......反射して、老人の頭に直撃した。
「......................マジか。」
ハッタリじゃなかった。
........まるで吸い込まれたかの様に、老人の首から上は消え失せていた。
「なっ!?」「嘘だろ...!」「本当だったのか!?」
他の連中も驚いている。
そりゃそうだ。さっきまで威勢よく話してた奴が、頭を無くして、痙攣しているのだから。
「.....こうなりたくなければ、何もしない方がいい。........まぁ、死にたけりゃどうぞ?」
ディアドラは、さっきまでとは比べものにならない程、冷たかった。
........救えない奴には、ここまで冷たかったのか...
「ん?................まぁ、ここまでやれば来るか。」
ディアドラが明後日の方向を向いて、妙な事を呟いた。
「ディアドラ?............あぁ、そういう意味ね。」
こっちも感じ取れた。
.....誰かがこっちに近づいて来ている。
「......騎士かな?」
「そこら辺だと思うよ。.....数も多いな。」
少しマズい。
こんな場面を見られたら、確実に『支部まで来てくれ』と言われる。
そうなったら、エリーテに捕まるのは確実だ。
「.......どうしようか。」
「.......よし!ティーザ!ちょっとじっとしててね!」
「えっ?何する気」
ムキュッ.....
............唐突に抱き寄せられた。
「――――――――――――――――」
.....あったかい。......柔らかい。.......懐かしい。
ディアドラは少し体温が高いのか、ぽかぽかしている。
それに少しだけ甘い香りがして、眠たくなってしまう。
顔のところに胸があって、柔らかい。
密着してる部分全てが柔らかくて、もっとくっついてみたくなってしまう。
......懐かしい。
トクッ.....トクッ......
.........鼓動が聞こえる。......安心できる鼓動が。
................こんな事されたの、母さん以来だ......
キィィィン!!!
.......ちょっと待って?
「ディアドラ?....君、何しようとしてる?」
足元に魔力が集まってるんだけど...!
何か.....とてつもなく嫌な予感がするんだけど!?
「....ふっふっふっ...!」
ディアドラは、笑顔のままこっちを向いて。
「.....ティーザ。"カタパルト射出"って知ってる?」
.....とんでもない一言を言った。
「――――――――――――冗談でしょ...!?」
カタパルトという言葉は、聞いた事がある。
.......だから、ディアドラが何をしようとしているのか、一瞬で理解してしまった。
「さぁ、ティーザ!!楽しい空の旅の始まりだぁ!!!」
「ディアドラ待って!?流石にこれはまず」
ドォグォァァァ!!!!!
そうこうしてるうちに、大木が足元からとんでもない速度で生えて来た。
「いィィヤヤァァァ!!!!?」
「イェェェイ!!!!!」
とんでもない勢いで、大空に投げ出された。
「うぁぁあ!!?何で二日連続で空に放り出されるのぉぉ?!!」
「私に関わっちゃったんだ!!諦めて運命を受け入れるがいい!!!」
「こんな運命いやだぁぁぁ!!!!!!」
ディアドラに抱き抱えられながら、僕らは空に消えてった。
「.......えっと、何かあったのかな?」
私達はフォスターに転移した。
シルワに居ないのなら、後はここだけだろうと思って来たんだけど......
「......アレは木....でしょうか...?」
なんか大きい木が、地面から生えてお爺さん達を捕まえてた。
「.....ちょっと聞いてくる。.......あぁ、申し訳ねぇ!ちょっと話聞いてもいいか!」
彼等を引っ張り出そうとしている騎士達に、アインが話を聞きに行った。
「済まないが後にしてくれ!今、コイツらの捕縛中で...」
「そいつは分かるんだけど.....こういう者だ。頼むよ。」
アインは、ウチの紋章をその騎士さんに見せてた。
出る時に決めてた時で、身分を示す時は紋章を見せてバレない様にしようと決めていた。
(!?......では、あそこにいらっしゃるのは...!)
「そういう事だ。」
慌てた様子で、騎士さんがこっちに走って来た。
「まさかエリ」
「ちょっと待った!....身分を隠してる。どうか内密に頼めないだろうか。」
名前を大声で言いそうになったから、シュイノが止めた。
「あっ.....申し訳ございません....!」
「いやっ、気にしないでください!」
身分を隠してるこっちに問題があるんだから。
「それであの.....何があったんですか?」
「それがどうやら.....教団の連中の様で...」
―――――――――――――――――
「!?何考えてる貴様!!!」
「えっ!?」
「落ち着けシュイノ!.....事実を言っただけだ。」
教、団......?
........何で、こんな所に.....?
「しかし!.....お嬢様、大丈夫ですか?」
「........大丈夫。....ちょっと動揺しただけ。」
そう、大丈夫。
もうあの人達は、何も出来ない。
........こっちが危ない目にあう事はない。
「........住民の人達は...?」
「あぁ、どうやら眠らされてた様です。全員無事でした。」
良かった......
殺された人はいなかったみたいで。
「.....その人達が、何で木に捕まってるんですか?」
「それが.....奴等の話だと、能力を使われて拘束されたとか。」
能力?
......確かにあの木の生え方は、急に生えて来た様に見える。
能力で生やしたのだったら、納得もできるけど....
もしその話が本当なら。
(シュイノ、これって....)
(はい、まずありえない筈です。)
能力によっては、生命に力を渡すなんてものもあるけど......これはそんな話じゃない。
.....間違いなく、自分の魔力から生命を創った。
普通ならありえない。
生命を創るのは、奇跡でも使わない限り不可能だ。
それも、"遺伝"じゃなくて一からなら絶対に。
それを平然と行っていた。
......『木を生やす』事に特化した能力なら可能かもだけど。
"再現"じゃなくて"創造"は、どんな物であろうと難易度が高い。
......それを一瞬で行った?
「........ちょっと、木に触れてもいいですか?」
「えっ?....まぁいいですよ。」
木に近づいて、見上げる。
「.......この木は何で生やしたんだろう?」
その木は、少し斜めに立っていた。
妙に高く立ってるけど......意味ないでしょ。
ペタンッ
試しに木を触れた。
......その時感じたのは。
「........何これ...?!」
「.....お嬢様?」
......理解できなかった。
いや、間違いなく何かを感じてはいる。.......だけど、その何かが全く分からない。
魔力に似てる様にも感じるけど.......魔力じゃないものがこの木に流れてる。
それだけしか分からない。
「えっと......何か分かりましたか?」
......これはどういう事?
「..........これをやった者は、得体の知れないナニカだって事しか.....」
そのぐらいしか説明できない。
説明しようにも、理解できないから。
.......一体、誰がやったんだろう...?
「......なぁ?この近くに金髪の.....ティーザ・エリンって奴いなかったか?」
「?.....傭兵のですか?」
「あぁ、ひょっとしたらこれに一枚噛んでるかもしれねぇ。」
....そうだ。
元々は、それが目的で来てたんだ。
「......関係あるかはわかりませんが、近くのレストランに居たそうですよ。」
「!....それ本当ですか!」
良かった!やっぱり予想が当たってた!
ひょっとしたらまだこの街にいるかもしれない。
.........今度こそ、ちゃんと話さないといけないんだ。
化け物って思ってても良いって。
それでも良いから、一緒に居てって。
........あの時、伝えられなかったから。
絶対に会って、話さないと。
「ですが......白髪の少女と一緒に居たそうですよ?」
「........白髪?」
聞いたことの無い情報が耳に入って来た。
(.....アイン、そんな子の情報...)
(いや、入って来てねぇぞ?.....誰だそいつ?)
二人も知らないとなると......一体誰?
竜人に、白髪はそう居ない。
......そんなの居たら目立つ筈なのに...
........最近出会った?
「えっと.....その子達がどこ行ったとかは知らないか?」
「そこまでは......すみません。」
..........何だろう?
何か引っかかる様な........後もうちょっとの様な気がする。
何か......全てが納得できる様な何かが....ある様な。
白髪......お母さんから何か聞いた覚えがある筈......
ただ、珍しいだけじゃなかった筈.....何だったっけ.......
「.....ちゃん?.......嬢ちゃん!」
「わぁ!?」
どうやら集中し過ぎてたみたい。
......耳元で言われてびっくりした。
「ここに居ても邪魔になるだけだからさ、早いとこ宿探して泊まろうぜ!」
「......まぁ、もうすぐ夜だしな。」
.....そうだ。
こんな所にいる理由はもう無い。
「.......それもそうだね。」
「では、行きましょうか。.....アイン。」
(あぁ、ちょっと探り入れてくる。)
考えるのは、部屋に着いてからにしよう。
そう思って、私達はその場を後にした。




