表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/48

第二十話 蛇


 「...................」



 走った。



 走って森まで着いた。



 ......後ろには誰もいない。



 「...................」



 .........何で探した?


 探してもいい事なんてないのに.....何で?



 「..................ぁぁ........!」



 視界が曇る。


 .....叶える事の出来ない願いが、頭の中で反響する。


       



       『友達になりたい。』







 「無理だって.....分かってるのに......!」



 頭から消えてくれない。


 .....魔獣の相手をしていって、やっと忘れられた願いだったのに。



 「...............................」




 空を見上げる。


 空からは光が差し込んでいる。


 直接見るには眩し過ぎる光を、葉が少しだけ遮ってくれる。



 「.....................」



 僕にとってのエリーテは、太陽なんだと思う。


 道を間違えない様に、光で道を照らす。

                .....お節介な光。


 でもその光は、僕にはもったいなくて.....眩しすぎて、直視する事が出来ない。


 だから、あの時逃げてしまった。



 「.......分かってるんだよ....」



 逃げちゃいけないって事は。


 でも無理だ.....彼女がどれだけ僕を"人"として見てくれても.....僕が自分を"人"として見れない。



 ......化け物でも良いと言ってくれても、僕がそれを許せない。





 「............うぁぁ.....!」



 遂に、眼から溢れてしまった。



 「............止まってくれよ......!」





 そんなこと言って止まってくれる程、都合の良い物じゃない。



 「............ぅぅぅ......」



 つらい。


 つらい。



 会いに行きたいのに.....僕がそれを許せないのがつらい.....!

























 (――――――――――――)





 「...........えっ?」



 何だ今の?


 .....心の声.........なのか?



 (――――――――――――ち)



 何なんだ?この声は。





 「........呼んでる?」






 いや、どうなんだ?


 呼んでいる様に聞こえるけど.....ただ喋っている様にも聞こえる。



 (―――――――――ちに...........て)



 段々とはっきりしてきているが.....何なんだ?



 (.......こっちに.......来て..........)



 「――――――――――――」



 ........幽霊とかじゃないのはわかる。


 精霊とか妖精でもないのは。



 だからこそ不気味だった。



 ......僕や母さん以上に、こんなに心の声を()()()()()()なんて...





 ......でも。



 敵意が無いことだけは分かった。





 「..........行かないと。」



 もともとは、剣を取りに来たのが目的だ。


 ......道は一つだけ。



 迷う事はない。



 「...進むだけだ......!」



 そして森を歩き出した。






























 「...霧か?濃いな。」



 先に進んでいくほど、霧が濃くなってきた。


 .....いや待てこれ........




 「.......()()()()()()



 そういえばリュウズが言ってた。


 この森は魔力や神秘が溢れていると。





 .....だとしてもこれは異常だ。


 森の魔力が濃い理由は、木が生命エネルギーの余剰分を外に放出するからだ。


 木が密集している森は、その余剰分のエネルギーも多い。


 そこに、人の持つ森へのイメージが、神秘として森に宿る。.....だから森には、魔力や神秘が多い。




 それでもここまではならない。



 「......そういえば。」



 前にネイさんから聞いた事がある。



 竜神達がいた頃の魔力濃度は、今のアヴァロンの数倍あったと。



 それで言うならこの森は.....()()()()()()()()()()()()



 「....まさかここに竜神がいるとでも?...ふっ。」



 自分で言っててあれだが、ないな。あり得ない。



 そりゃバルドの周りの魔力濃度は、濃ゆかったかもしれないが、普通の竜神がここまでの魔力を出すとは到底思えない。



 「じゃあ、剣の方か?」



 でも、リュウズ言ってたよな?


 剣には力が無かったって。



 「んん〜?」



 どう言う事なんだろう?


 この森が何で『白蛇の森』なんて言われてるのかも分からないし。


 .....道中で白蛇なんて一匹も見てないしな。



 「...あっ。」



 いろいろと考えてたら、どうやら目的地に着いた様だ。








 「......あれは剣なのか?...」



 見ている先には、台座に突き刺さっている何かがあった。



 .....錆びついているというより...歪なかたちをしていた。



 妙に歪曲していて、明らかに人を斬れる形をしていない。


 ....例えるなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 「.....?」



 でも何だ?あれが正解のような気がする。



 何であれが、正しい剣だとおもうんだ?



 「......それになんか...」



 ....懐かしい?


 あの剣があるのを見て、ようやく見つけた!と言うより、どこにいってたんだよ!が、先に頭にきた。




 .......僕はあの剣を知ってる?






 シャッシャッシャッ.......





 「...................」



 台座の前まで来て、改めて剣を見る。



 ......やっぱりおかしな剣だ。



 .........でも、見ただけで、これは僕の剣だと思った。



 「.....抜いてみるか。」



 何がどうあれ、それが目的だ。


 もし抜けなかったら、そのまま帰ろう。


 そう思って、力を込めて引き抜こうとした。





 ズボゥゥ!!!



 「うわぁっとと!?.....へっ?!」







 .....拍子抜けするぐらい、スポッと抜けた。



 「えっ?いや...へっ?」



 リュウズは確かに言ってた。


 お前だったら剣が誤認して抜けるかもしれないと。



 .....でも、抵抗がなさ過ぎる。



 まるで、自分で育てた人参を当たり前の様に引っこ抜く百姓の様に、簡単に抜けた。





 「.....これまたからかわれたやつ?」



 ....いやでもリュウズ、本題を話す時にからかったりしないタイプだけどなぁ?






 「.....まぁいいや。」



 剣は引っこ抜けた。


 あの声が何なのかは分からないけど、取り敢えず当初の目的は達成した。


 これ以上ここにいる必要もない。



 「...でもどうするかなぁ。街に帰っても、エリーテがいるかもだし...」












 ズゴゴゴッ!!!



 「おわ!?地震!!?」



 今から帰ろうとした時に.....間の悪い!




 ゴゴゴ.......


 

 .......おさまったか...



 「.....ん?早くない?」



 相当大きい地震だったから長引くと思ったけど....






 ....ちょっと待て、おかしいぞ?



 フルシュには火山がない。あるとしたら森と海だけだ。


 こっちの方で地震なんてそうそう起きない筈...



 と言うか、タイミングが良過ぎる。...いや、悪過ぎるかな。



 剣を引き抜いてから30秒も経っちゃいない。


 .....偶然と言うには少し...




 .....ゴゴゴゴゴッ!!!




 「.....近づいてくる?」



 何だ?剣を引き抜いたら発動する魔術か?





 .....カァァァ!!!



 「はぁっ!?」



 突然、光がこっちにやってきた。


 直感で分かった。これは()()()()()()()()()()




 「危なっ!!!」



 ギリギリ横に大きく跳んで避けた。




 ズゴァァッ!!!



 「うわっ!?」



 眩しすぎて目を覆い隠した。


 ......光は消えたか?


 そう思って目を開けて。




 「―――――――――――」





 絶句した。


 光が通った後は、()()()()()()()()()()()()



 ......あんなもん見た事ない。


 少なくとも......二年前のあの男ではこんな事はできない...!



 「ルォォォォォ!!!!!」


 「っ!?うるさっ!!」



 思わず耳を塞いだ。


 そのぐらい大きなこえだった。




 (鼓膜破れるかと思ったぞ!?)




 上の方から聞こえたよな?何なんだ??

















 「ルゥゥゥゥ.......」


 「―――――――――――」



 見上げて最初に目に入ったのは、






 「..............へ.......び.....?」






 そこに浮いていた、とんでもなくデカい......白い蛇の様な何かだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ