第170話 どんどん迷宮を下りて行く
チアキを先頭に、鏡子ねえさん、泥舟、みのり、俺の順番で隊列を組んで迷宮の十一階を進む。
ここら辺のオークやオーガーだと苦戦はしない。
オーガーのバックアタックもあったが、難なく切り倒した。
十一階は何回も来たから結構慣れたな。
まっすぐ十二階への階段をめざして進む。
ジャイアントバットや大ナメクジを蹴散らしていく。
チアキの銃がかなり当たるようになってきたな。
さすがの器用度だ。
スキルの【射撃】が生えれば良いのだが、職業の補正が無いからなあ。
『射手』だったら、わりと早く【射撃】が生えるんだよ。
その職業のメインとなるコモンスキルは生えやすい。
『戦士』だと【剣術】などの手持ち武器スキルや、【頑健】等の戦闘用補助スキルが生えやすい。
『盗賊』だと、【鍵開け】等の技術スキルと【気配察知】などの索敵スキル。
『吟遊詩人』だと、【歌唱】【演奏】などの楽曲スキル、あとは【交渉】【演技】などの対人スキルが生えるらしい。
『魔術師』であれば、【火系統威力増】などの威力系スキルや【高速詠唱】などの詠唱補助系スキルが生える。
『僧侶』だと、【治癒効果増】や、【カウンセリング】なんかが生えるという。
『盗賊』や『吟遊詩人』も飛び道具を持てるがコモンスキルが生えるまで時間が倍ぐらい掛かるらしい。
俺たち『戦士』もそうだけどね。
なかなかスキルを伸ばすのも大変なのだ。
バンバンねえさんが倒して、バンバン魔石とドロップ品が出る。
そしてねえさんはオークハムを囓る。
ジャイアントバットからはまた傘が出た。
うちのパーティの傘はみんなこれになりそうだな。
ありがたく収納袋に入れる。
大ナメクジからは、アンデスのピンク岩塩が出て、レアドロップのナメクジバットが出た。
なんかぬるぬるしているバットだ。
「なんの効果があるんだ、これ」
スマホで調べて見た。
「蛇系モンスター特攻だそうだ。なんでだろう」
「ああ、日本の三すくみだよ、蛇はナメクジに弱い、ナメクジはカエルに弱い、カエルは蛇に弱いってやつ」
さすが泥舟、色々知ってるなあ。
『蛇タイプはここらへんで出るっけ?』
『十七階で出るな、蛇スーツも出るから鏡子さんの着替えが増えるチャンスだぞ』
「ありがとう、それはいいね」
まあ、蛇が出たら試してみるか。
なんかヌルヌルしたバットだけど。
無事十二階の階段に着いた。
休憩無しで下りる。
十二階もまだ楽勝だ。
コボルトやヒュージスパイダーを倒しながら進む。
コボルトハンバーガーが出たが、すかさず鏡子ねえさんが包みを開けて喰った。
どんだけ食べるのだ、この人は。
『あれで太らないのがなあ』
『『拳闘士』の運動量はパナいからなあ』
『この前、地元の中華料理屋で凄い量を食ってた』
『地元いいなあ』
ハイオークからまた高級豚肉ブロックが出た。
この前のトンカツは美味しかったな。
とりあえず、出た物はポンポンと収納袋に入れていく。
十三階の下り階段に着いたので、下りた所の安全地帯で小休止である。
俺はナッツバーを囓る。
チアキはおにぎりを出して食べていた。
「おにぎりいいなあ」
「鏡子はコボルトハンバーガー食べてたじゃん」
「お米は別腹」
「あげないよっ」
「ちえー」
そんな事を良いながらねえさんはコンビニ袋からジャムパンを出して食べていた。
よく食べるなあ。
一息ついて、出発だ。
十三階も特筆する事はあまりない。
宝箱の部屋を見に行かなければ一階分を通過する時間はそんなでも無いしね。
ワンダリングモンスターを倒しながら前進する。
ヒュージスパイダーから糸巻きが出た。
弓矢の弦にすると良いらしい。
うちには弓矢をつかうのはみのりだけで、最近あまり装備しているのを見た事が無いな。
「みのり、弦を変えるか」
「え、あー、どうしよう」
あんまり興味が無いようだ。
戦闘中は歌で参加している事が多いからな。
ヒュージスパイダーに【ぐるぐるの歌】を掛けると床や天井を動けなくなるようで床にぼとぼと落ちてくる。
そこをねえさんが踏み潰す簡単な狩りになっている。
蜘蛛煎餅も出たが、ねえさんとチアキがぼりぼりと食べ尽くした。
床の罠があったが二回目なのでチアキが素早く処理をした。
やはりチアキは有能だな。
十三階もなんなくクリア。
十四階へ階段を使って降りていく。
オーク、ハイオーク、オーガー、リザードマンとおなじみの連中がでてくるが、そんなには苦戦しない。
ドロップはざくざくである。
楽譜の【おはようの歌】が出た。
これは呪文屋で売るかな。
前の時は途中の宝箱がポップしたが、今日はポップはしなかった。
途中冒険者のパーティとすれ違うが、当然、挨拶は無しだ。
大人のプロっぽいパーティだな。
宝箱のポップ漁りかな。
さて、十五階だ、ここは真ん中にリドルドアがあるだけで特筆する仕掛けは無い。
「タ、タカシくん……、おトイレ……」
みのりが頬を赤くしてそう言った。
「……」
スキル【気配察知】、うん、あの小部屋には魔物が居ない。
俺は小部屋のドアを開けて中を確かめた。
よし、空部屋だな。
「ここでしろ」
「えー……」
「大丈夫、問題無い」
「問題無い」
チアキも太鼓判を押した。
『女子の冒険は大変じゃな』
余さんのコメントが流れて行った。
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