普通な私
普通とは何か、それは悪いことなのか?
平凡な暮らし、今までの暮らしがいつまで続くかは誰にもわからない…
目に映る、澄んだブルーの大空。
少し角度を変えると眩しい光に照らされる。
手を伸ばし広げると透けるように見えた。
――――ゴオオオォ――――
物心ついた頃、初めて見た時はまだ慣れなかったけれど、大きな白い羽を広げて優雅に飛んでいる動物。
名前はペガサス。
人間界の「馬」にそっくり。
『人間界』と私が産まれた場所、なんて言ったかな?
正直、ここの場所の名前は知らないの。
何故かはわからないけれど、小さい頃にママに聞いたけど名前だけ聞きとれなかったの。
上手く言えないけど、思い出そうとすると頭がボーっとする。
パパは私が幼い頃に、大規模な戦いで亡くなったってママから聞いたわ。だからパパの顔もあまり覚えていない。
不思議よね。私はこの世界にいるのに知らないことがたくさんある。
人間界のことの方がよく知っているかも。
こっちの世界で私はママが造った孤児院のお手伝いをしている。
親のいない子供たちを大切に預かる場所。
名前は「メリー」
名前の由来は知らないけど、短くて覚えやすいし何より可愛いから気に入っている。
外観も白い壁で青い屋根、上には鐘がついているの!
ママが言うにはこの鐘には不思議な力が宿っているんだって。
でもどんな力かはまだ教えてくれないの。
いつかママが話していたのは、私が結婚式をこのメリーで行ったときに教えてくれると言っていたわ。
結婚かぁ・・・
自分で言うのもなんだけど、私は普通。
親友のデイジーはとっても美人。
デイジーは私と同じ19歳だけど、あの子の方が早く結婚するだろうな。
デイジーの家系は『ドラゴン族』なの。
ドラゴンは強くてカッコよくて迫力もすごいのよ。
この世界には『ドラゴン族』の他にも『妖精』や『ドアーフ』、『小人』
他にも私の知らない種族がたくさんいるんですって。
さっき空を飛んでいたペガサスも『ペガサス族』というのがいてね、体は人間だけど背中に大きな白い羽が
生えているのよ。
ママ 「ミアー!ちょっと来てくれるー?あら、あなたそんなところに寝転がって…」
ミア 「いいじゃない、こうやって寝転がって空を見ていると、世界を広く感じられて好きなの」
ママ 「はいはい、それよりお願いがあるの、この手紙を届けてほしいのよ」
ミア 「子供たちはママ1人で大丈夫なの?」
ママ 「大丈夫よ、昔に比べたら今は人数もそんなに多くはないし、みんないい子だからね」
ミア 「わかった!じゃあ早速届けに行くわね」
ママ 「お願いね、大事な手紙だから・・・」
ミア 「はーい!」
ミアは勢いよく起き上がると、手紙をママから受け取り白い布でできたバッグに入れ歩き出した。