プロローグ
リディアアーヌはマーロンド国の侯爵家の姫として生をうけた。
侯爵家は精霊のように愛らしいリディアーヌを溺愛した。令嬢の評判を聞いた王陛下は 未来の王太子の妃候補として、リディアを王宮に参内させるよう申しつけた。
しかし、どこにも嫁に出したくなかった侯爵は、一族みな引き連れて王都から離れ、領地に引きこもってしまわれた。
それから月日はたち、16歳になったリディアーヌはすい星のごとく社交界に現れた。月のように光り輝く銀髪、真珠のようにすべらかな白い肌、澄んだ湖のように深く青い瞳、薔薇のつぼみのようにふっくらと赤いくちびる、女神のごとく美しく、聡明な侯爵令嬢は、王国中の紳士淑女を魅了した。
独身貴族は、我先にと娘に縁談を申し込んだが、父侯爵は決して首を縦にはふらなかった。
ある時、王国を揺るがす大事変がおきた。魔王が現れたのだ。魔王は国中に災いをもたらし、人間を苦しめた。そして、未来の王妃と名高いリディアーヌを侯爵家からさらったのだ。嘆き悲しんだ父爵家は、娘リディアーヌを救出したものを婿とすることを公言した。
腕におぼえのあるものたちが、我こそはと名乗りを上げ魔王に挑んだ。マーロンド国の王太子もその一人であった。王太子は王宮の騎士団100人と、白と赤と黒のそれぞれの称号をもつ3人の魔法使いを従え魔王城へと旅だった。
魔王の放つ魔物の軍団に悪銭苦闘しつつも、王子の一団は魔王城へたどりついた。100人いた騎士は12人、3人いた魔法使いのうち黒の魔法使いただ一人だけが生き残っていた。最後の決戦では 生き残った騎士と黒の魔法使いはドラゴンと対峙した。このドラゴンこそが魔王の真の姿であったのだ。
ドラゴンとの死闘は三日三晩続いた。騎士は全滅、魔法使い満身創痍であった。しかし黒の魔法使いは、最後の魔力をふり絞り戦い、ドラゴンの息の根を止めた。
リディアーヌは王子によって魔王城から助けられ、父侯爵のもとへもどったが、王子と結婚はできないと言い張った。リディアーヌを真に救ったのは、あの最後までドラゴンと戦った魔法使いであると主張したのである。
腹を立てた王子は、リディアーヌに刃をむけた。そのとき、一陣の風と共に黒の魔法使いが現れ リディアーヌを助けた。黒の魔法使いは、愚かな王子をとかげに変えた。
その後リディアーヌと魔法使いは幸せに暮らしました。