1/1
下水道の怪ーイントロー ①
初めまして、栗猫と申します。小説を書くのは初めてなので、誤用、文法のミスなど目につくところもあるかと思いますが、今後ともよろしくお願いします。
「ハッ、ハッ…!」
ただひたすらに、走る。薄暗い下水道を、走る。
(クソッ、ドジッちまった…!)
簡単な偵察任務のはずだった。相手を侮ったわけではない。自分の力を過信したわけでもない。ただ、相手が悪かった。
なんとかその場は脱したものの、依然として状況は最悪だった。この下水道は奴等にとっては庭みたいなもの。すぐに追いつかれてしまうだろう。
(…水が流れていないのと、明かりがないこと。一応、この二つは俺にとって運が良かったのかもしれない)
しかし、すぐに腰に痛みを感じて顔をゆがめる。
(―この傷がなければ、な)
腰に視線を落とす。服に、赤い染みが滲んでいた。逃げる際、ナイフで切りつけられてしまっていた。
(――ッ)
足を止め、耳を澄ます。
足音が聞こえる。少しずつ近づいてくるようにも感じた。
(クソッたれ…! あと少しなんだよ…! こんな、ところで…!)
力を振り絞り、彼は闇の中を走りだす。