プロローグ・また君と逢えて
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夕日に照らされるブロンド。
造形美を感じさせる線の細い輪郭。
こちらをじっと見据える碧眼。
夕闇迫る教室に美少女と二人。
紳士諸君なら色々な妄想が膨らむであろうこの状態を俺はちっとも楽しむことなど出来なかった。
こんな美少女、それも今日初めて会うような子に呼び出されると実際は嬉しさなんかよりも困惑が大きい。
今まさにその状態で、俺の脳内CPUは熱暴走状態だ。
だが俺が黙り込んでいるからか、相手もこちらをじっと見たまま何も言ってこない。
この沈黙はただ俺を焦らすだけで高まる心拍数に息切れしそうになる。
腹を決めた俺は握りしめて居た拳を一度開いてから、もう一度握りしめて言った。
「で、話ってなに?」
「……thenk you very much indeed my god」
すまないが俺はてんで英語が駄目なんだ。
どれくらい駄目かというと赤点ボーダーギリギリなくらいで、中学レベルでも怪しい。
「ゴメンナサイ、私も日本語はちょっとしか話せない」
ちんぷんかんぷんになってどう返そうかと薄っぺらい脳内和英辞典を見ていたらありがたい事に彼女の方から言葉をかけて来てくれた。彼女には申し訳ない気はするが、これで何とかコミュニケーションが取れる。
「大丈夫。えーと、ランチェスターさんの日本語上手だと思うよ」
「サラでダイジョブです」
やっぱり外国の人って名前で呼び合うのが普通なのだろうか。
妹以外の女子を下の名前で呼ぶなんてしたことが無いので少々気恥ずかしい。
「じゃ、じゃあサ…サラさん、話って何かな?」
自分でも声が上ずっているのがよくわかる。海外じゃ男女共積極的というじゃないか、女子のことも名前で呼んだことのない童貞野郎って思われるかなー。死にたい。
「あの……わたし……貴方のヨメ?です」
「ヨメ?読む……read?」
「not read but……」
サラはそこで言葉を濁した。何か言いにくいことでもあるのだろうか?
彼女は俯き、口元をもごもごとまごつかせていた。
今思えば、その時、彼女の頰が赤く色づいていたのは夕陽だけが原因ではなかったのだろう。
「I am your wife です……マイハニー?」