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その1

朝起きたら体がだるかった。




浅井 優一。高校2年生。昔は体がすごくすごく弱かったオレだけど最近では丈夫になったつもり。でも、やっぱりこんな風にカゼ引くときもあるわけで・・・



今日はゆっくりしてよう。



今日は土曜日。学校も休みだし・・・と思ってオレは起こした体をもう一度ベッドに倒す。




コンコン




「?」




ドアがノックされる。




「にいちゃ・・・助け・・・」




廊下で崩れ落ちるような音がしてオレは慌ててベッドを飛び起きる。ドアを開けると案の定、弟の誠二が倒れてた。




「大丈夫か?ってお前めっちゃくちゃ熱いっ!!!」



弟は小学4年。体はかなり弱い。きっと病気がちだった母親に2人とも似てしまったんだろう。


オレたちの母親はオレが10歳のとき死んだ。誠二なんて3歳の時だ。もともと仕事が忙しい父親といない母親の代わりをオレがしながらここまで育てたようなものだからこーゆーときすっげぇ心配になってしまう。



「ちっ・・・あいつのところ行くしかないのか」



オレは一つ溜め息をつくと寝間着代わりにしているジャージを脱ぎ捨てベッドの下に脱ぎ捨ててあるジーンズに足を通し、パーカーを羽織る。誠二にも上着を羽織らせてからオレは熱でうなされる誠二を担いで階段を降りた。



世界が歪んで見える。オレも結構熱があるようだ。玄関でふらつく体を支えながら靴を履きながらそう思った。今から向かう先は3軒隣の矢崎医院。昔から世話になってるけれど今の若先生と呼ばれるやつはかなり危険だ。



なにせ・・・




小さい子供が大好きな変態だから!!!誠二もぜったいカワイイ部類に入るから危険だ!そんなヤツに体をベタベタ触らせるなんてホントに・・・あぁ・・・やばいグラグラする・・・




「ちわぁ・・・」

「わわっ!優一くんっ!!大丈夫!?」

「んー誠二が大丈夫じゃない」



看護師の沢渡さんがオレの背中の誠二を受け取ってくれる。一気に背中が寒くなった気がした。



「すぐに若先生呼んで診てもらうから!若先生ーっ!患者さん見えましたよー」

「はいーっ!・・・っ・・・優一くん・・・」



若先生・・・つまり変態先生。っつか矢崎 田町。田町って呼ぶ方がオレにはしっくりくるのはあいつが医者になる前からの知り合いだからだろう。いや・・・あいつは一時期恋人でもあったんだ。



「患者はオレじゃねぇよっ!近寄んなっ!!」

「・・・ごめ・・・」



田町とオレは丁度一回り歳が違う。そんなあいつと付き合おうと思ったのはオレが世間知らずだったのと、あいつが変態だなんて知らなかったから。子供しか性の対象にならない変態は高校に上がったオレをさっさと捨てやがったんだ。



くそ・・・起きていられねぇ・・・や・・・




オレは待合室の長椅子で倒れるように横になった。

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