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 魔女が、子供達と一緒に暮らし始めて一か月が経とうとしていたときのこと。一羽の鳩が家の窓にとまった。

「おばさん、お友達から手紙が来てるわよ」

「おや、なんて久しぶりだろう。どれどれ。ミセス・ペッパーからだわ」

「ミセス・ペッパー?」

「この森からさらに離れた山の頂上に住んでいる友人なのだけどね。今週末、遊びに来ないかって」

「そうなんだ! おばさん、よかったね」

 ヘンゼルが明るい声で言った。

「朝早くに出発しても、帰るのは夜になりそうなのだが……大丈夫かい?」

「もちろん。私達で留守番できますよ」


 その週の終わり、魔女はヘンゼルとグレーテルに家を任せ、友人のミセス・ペッパーの家に出かけることになった。

「うーん、パールのネックレスはどこにやったかね……」

 宝石箱を探しても、タンスの中を探しても魔女が一番気に入っていたネックレスは見つからなかった。

(そういえば、この間出かけたときも、宝石が足りなくなっていたような気がする)

 魔女は首をかしげた。ここ最近、出かける前に宝石箱やタンスをのぞくことが増えたのだが、あったはずの持ち物がなくなっているような気がした。

(それとも)

 もともと持っていなかったものを、持っていたものだと思い込んでいたのだろうか。魔女には、それすら分からなくなっていた。なにしろ、ヘンゼルとグレーテルが来るまでは、めかしこんで出かけることなんて十年に一度あるかないかというところだったものだから。

「まあいいか。ぐずぐずしてると遅れちまう」

 結局、残ったものの中からルビーのブローチを選んだ。

「それじゃあ、留守番頼んだよ」

「はい」


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